マイニング業界での発掘力UPに向けた更なる動き
- 仮想通貨関連
- 2020.01.10.
- ニュース
- マイニング業界での発掘力UPに向けた更なる動き
マイニングは、いかに他のマイニング業者と比較してマイニングを成功させ、利益効率を上げるかが課題です。
そのため、マイニング業者は常に電力の安い国や地域を探し、少しでも高性能なマイニング機器を入手しようと躍起になっています。
そんなマイニング業者の一端が垣間見えるニュースが届きましたので、ご紹介しましょう。
また、日本の仮想通貨関連企業が新しくマイニング事業を始める情報も届いていますので、合わせてご説明します。
NASDAQ上場マイニング会社が最新マシン大量購入
米NASDAQに上場している仮想通貨関連企業であるRiot Blockchain社が、マイニング業界最大手のBitmainから最新鋭のマイニングマシンである「Antminer S17 Pro」3,000台が米オクラホマ州の施設に納品されたことを、自社サイト内の2020年1月8日付けNewsで発表しました。
画像引用:Riot Blockchain
Riot Blockchain社がBitmainに発注していたのは4,000台で、1月中にも残り1,000台が納品される予定になっているとのことです。
なお、購入費用は635万ドルで、日本円に換算すると約6億9300万円もの金額になります。
アップグレード後のマイニング能力
4,000台の「Antminer S17 Pro」は、Riot Blockchain社のキャパシティのおよそ90%にも上る台数です。
Riot Blockchain社では、これだけの台数を4週間ほどで設置完了させる予定になっていますが、現在の電力と最新鋭機の性能を加味すると、これまでのハッシュレートと比較して240%増加する計算になります。
Riot Blockchain社の事業計画
Riot Blockchain社の事業は前述したマイニング事業だけではありません。
子会社のRiotX社が2019年3月に仮想通貨取引所のライセンスをSEC(米証券取引委員会)に申請しています。
すなわちマイニング事業を軸にして、仮想通貨関連事業を幅広く展開していることを計画していることになります。
ビットコインは2020年5月には半減期を迎えるため、マイニング報酬も半額になってしまいますが、それでも6億以上の予算を投入してマイニング事業を充実させるということは、それなりの勝算があるということでしょう。
LSE上場のマイニング企業も最新マシンを導入
LSE(ロンドン証券取引所)に上場している仮想通貨マイニング会社Argo Blockchain社が、Bitmain社製のマイニングマシン「AntminerT17」を3616台導入することを2020年1月2日に発表しました。
画像引用:Argo Blockchain
なお、Argo Blockchain社では導入した3616台のマシンを2020年1月10日までに稼働させると発表しています。
アップグレード後のマイニング能力
Argo Blockchain社の今回導入したマシンが稼働すると、従来のマシンの処理能力と比較しておよそ75%向上すると予想されています。
なお、今後新たなマシンを追加導入し、2020年中に6384台のマシンを設置する予定になっており、それが実現すればマイニング処理能力は204%向上させることができると試算しています。
Argo Blockchain社の今後の計画
Argo Blockchain社は2020年の内に世界最大のマイニング上場企業になることを目標に掲げており、そのためにマイニング事業経験者であるPeter Wall氏をCEOに昇進させ、シェア拡大につないでいきたい考えです。
SBIとGMOが米で最大規模のマイニング事業を開始
米テキサス州のロックデールにおいて、SBIホールディングスとGMOインターネットがマイニング企業と契約し、この数カ月のうちにマイニング事業を展開することが2020年1月7日にBloombergで報道されました。
画像引用:Bloomberg
契約したのは独のマイニング会社であるNorthern Bitcoin社の子会社で、米に拠点を置くWhinstone社です。
実際にマイニングをおこなう施設は米ロックデールにある世界最大規模のもので、全エリアをマイニングに利用すると広さはおよそ40万5,000平方メートル以上に及びます。
発電可能な容量はなんと1ギガワットにも達するとされています。
この規模は、世界的なマイニング企業のBitmain社が所有するテキサス施設のおよそ3倍にあたるものです。
現在はまだ全ての施設建設が終わっておらず、段階的に規模を拡大していくようですが、まず2020年の第一四半期中に300メガワットを超える発電容量が可能な、世界でも最大規模のマイニング施設として稼働させることが計画されています。
そしてその後、1ギガワットの発電容量の施設にしていくとのことです。
またこの施設ではマイニングだけでなく、映像データのデジタル編集やAIアプリケーションを利用するための施設としても活用していくとのことです。
なおこの情報は公式に発表されておらず、Northern Bitcoin、SBI、GMO の3社はBloombergからの問い合わせに対しても応じていないようです。
テキサスでマイニング事業をおこなう利点
米テキサス州には仮想通貨のマイニングをおこなっている企業の施設が多数存在しています。
またSBIホールディングスとGMOインターネットがマイニングをおこなうロックデールには、中国の仮想通貨マイニング会社であるBitmain社の施設もあります。
どうしてテキサス州にマイニング業者が集まっているのでしょうか。
それにはマイニングに不可欠な電力の問題があります。
大量の電力を使うマイニングでは電気代が高いと利益率に影響してしまうため、少しでも電気代の安い地域でマイニングするのが必須条件です。
テキサス州の中でも特にロックデールは石炭が非常に豊富なことで有名で、その石炭が発電に使われるため、電気代を安く抑えることができます。
加えてロックデールでは風力発電も充実しているため、米の他の州と比べても明らかに電気代が安くなっています。
つまりロックデールはマイニングに非常に適した地域であり、マイニング企業が成長するためになくてはならない場所であるということです。
マイニングの主流は中国からテキサスに?
現在、仮想通貨のマイニングの70%近くが中国でおこなわれています。
その理由のひとつは電気代の安さにあります。
中国の電気代は、日本と比較すると半分か、もしくは3分の1程度だといわれています。
利益と直結する電気代がそれだけ安いと、マイニングが事業として成立しやすくなります。
そしてもうひとつが、マイニングマシンを扱っているのが中国のマイニング企業であるBitmainやCanaan Creativeという点です。
すぐ近くに最新のマイニングマシンを扱っている企業があるのですから、入手しやすいわけです。
ただテキサスも電気代が安く、しかもマイニングマシンを扱っているBitmain社の施設もあるとなると、条件は中国と変わらなくなります。
今後、テキサスがマイニングの中心地になる可能性も十分考えられます。
今後厳しくなるマイニング環境
仮想通貨のマイニング事業は、今後厳しくなっていくことが予想されます。
それはビットコインが半減期を迎えるからです。
次の半減期は2020年5月だといわれていますが、その時にはマイニング報酬が現在の12.5BTCから6.25BTCになってしまいます。
さらに最近のビットコイン価格は100万円を切っているのがほとんどで、実質的にマイニング報酬額が下がっているのと同じことになります。
中国の最大手マイニング企業であるBitmainでさえも、社員の半数に対してリストラを始めたことが2020年1月7日の中国メディアによって報道されています。
前述したRiot Blockchain社やArgo Blockchain社の最新マイニングマシン導入は、他社より少しでも有利にマイニングを進めるための生き残り戦略なのかもしれません。
このような環境下でのSBIホールディングスとGMOインターネットの大規模施設におけるマイニング事業は、今後どうなっていくのでしょうか。
まとめ
マイニング業界における最近の動きについてご説明しました。
どのような業界でも、多くの同業者が存在してしまうと過当競争になってしまうのが常ですが、仮想通貨、特にビットコインなどは半減期によって報酬そのものが減額されてしまう仕組みになっています。
この仕組みが余計に競争を過激なものにしていくのでしょう。
このような事情も、ビットコイン価格がもっと高騰すれば緩和されるはずですが、それには仮想通貨がもっと世の中に認められる存在になっていく必要があるのかもしれません。