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ビットコイン価格下落の背景にある米の仮想通貨業界への圧力

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  • 2023.03.11.

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  • ビットコイン価格下落の背景にある米の仮想通貨業界への圧力

2023年に入ってからのビットコインは上昇傾向にありましたが、3月10日にはおよそ2ケ月ぶりに2万ドルを割り込みました。

この背景には、仮想通貨企業に対してサービスを提供していたシルバーゲート銀行が3月8日、任意整理を発表したことの影響が大きかったことは否めません。

 

しかしそれ以外に、米のバイデン政権が仮想通貨業界に対して圧力をかけ続けていることも、ビットコイン価格下落の要因の一つと言われています。

 

バイデン政権が仮想通貨業界に対してかけている圧力とはどのようなものなのか、詳しくご説明しましょう。

 

バイデン政権の2024年度予算教書

米バイデン政権が仮想通貨業界にかけている圧力は主に税制面に対してですが、その内容は2023年3月9日に発表された2024年度の予算教書に記述されています。

その主なものについてご説明します。

2024年度 米予算教書

画像引用:treasury.gov

 

仮想通貨をウォッシュセール規制の対象に

この予算教書の中で最も特徴的なことは、仮想通貨をウォッシュセール規制の対象に加えるというものです。

 

ウォッシュセールとは、含み損のある資産を売却することで投資損失として税控除を受けられるようにし、その後にまた買い戻すという手法のことですが、これを規制するということはウォッシュセールが使えなくなるということです。

この手法は、現在でも資産が株式や債券の場合には用いることはできませんが、仮想通貨は現在有価証券に位置付けられていないため、税控除のために用いることができています。

 

2024年度の予算教書では購入した仮想通貨を売却して、またすぐに同じ、もしくは類似した仮想通貨を購入した際に損失が発生したとしても控除の対象にならないことが盛り込まれています。

 

マイニングにかかる電気代の30%を物品税として課税

予算教書の中には仮想通貨のマイニングにかかわる企業に対する課税についても記述されています。

 

その内容とは、米の企業がマイニング機器を利用して仮想通貨をマイニングする際には、その機器がレンタルであるか、自己所有しているものかに関係なく、マイニング時に使用する電気代の30%を物品税として課税するというものです。

John Buhl Twitter

画像引用:John Buhl Twitter

 

ただし、このマイニングに対する課税は、2023年の12月末以降の課税年度から運用され、初年度は10%で、翌年は20%、3年目で30%の課税となる段階的な実施と書かれています。

またこれらの課税だけでなく、マイニングに使用した電気の種類や電力量、さらにその電気の価値について報告する義務が課せられることが記述されていました。

 

その他の仮想通貨に関連した提案事項

上記の2つ以外にも、仮想通貨に関連した提案事項が記載されています。

 

金融機関と仮想通貨ブローカーの税務報告

これは仮想通貨に関係する金融機関や仮想通貨ブローカーは、顧客に関する情報を開示しなければならないというものです。

 

ただ、この仮想通貨ブローカーという表現がどのような企業を示しているのかの定義は非常に不明瞭です。

例えば仮想通貨のマイナーやウォレットを提供している企業などは、顧客情報を持っていません。

これらの企業も顧客情報を提供する義務があるのかどうかは明らかになっていません。

 

仮想通貨を時価評価税制の対象に

これは仮想通貨を購入した時点の価格ではなく、現在の価格で評価し課税するというものです。

しかし仮想通貨の値動きは非常に大きく、日々変動しているため、課税した後に大きく下落した場合、損失についてどう対処するのかが問われると考えられます。

 

国外に多額の仮想通貨を保有する米国人のIRSへの報告義務

米国人が他国に仮想通貨口座を持っており、多額の仮想通貨を保有している場合には、そのことをIRS(Internal Revenue Service:アメリカ合衆国内国歳入庁)に報告する義務を負うというものです。

 

 

これらの施策が実現した際の歳入額

上記の各施策が実現した際、米政府の歳入額はどの程度増えると試算されているのでしょうか。

 

仮想通貨をウォッシュセール規制の対象とした場合には、今後10年間でおよそ4.3兆円(約316億ドル)の歳入につながると試算しています。

 

マイニングにかかる電気代の30%に課税した場合の歳入予想は記述されていないようですが、その他の仮想通貨に関連した提案事項を実施した場合には、今後10年間でおよそ5.5兆円(約400億ドル)の歳入につながると試算しています。

 

今後は提出された予算教書を参考に議論

上で紹介したのは、あくまでもバイデン政権が議会に対して提出した予算教書であり、今後の方針となる考えを示しただけのものです。

米では予算を最終的に編成するのは議会であり、議会はこの予算教書をもとにして議論を進めていくことになるため、必ずしもこの予算教書の通りになるとは限りません。

 

ただバイデン政権が仮想通貨に対し、どのような考え方を持っているかは分かるでしょう。

 

もしマイニングの電気代に30%課税されたとしたらどうなる

以前は中国がマイニング大国でしたが、仮想通貨を全面的に禁止した以降は米国がマイニング大国になっており、現在の米国にはマイニング企業が多く上場しています。

またマイニング機器のメーカーである「ASIC」もあります。

 

多くのマイニング企業がしのぎを削っているため、ハッシュレートはうなぎ上りの状態になっていますが、その一方でビットコイン価格は下落し、2万ドルを割り込むところまで来ています。

つまりマイニング関連企業は非常に厳しい状況に置かれているわけですが、その状況から抜け出すにはビットコイン価格が上昇するか、マイニングから撤退するしかありません。

 

このような状況下で電気代に30%もの課税をされると、マイニング企業としては米国で事業を継続することができなくなってしまいます。

そして、この様な状況になってしまうと、仮想通貨や仮想通貨業界が発展しなくなってしまう可能性すらあるわけです。

 

まとめ

ビットコイン価格が下落した背景にある、米の仮想通貨業界に対する圧力についてご説明しました。

 

バイデン政権が発表した2024年度の予算教書は仮想通貨や仮想通貨業界を締め付け、税収を上げることだけに着目した施策です。

実際にこの内容通りに決定するとは限らないものの、仮想通貨の発展を一切考慮していないこの予算教書が発表されただけでビットコイン価格は下落してしました。

それほど多くの投資家が危機感を抱いたということでしょう。

 

今後の米の動きに注目しましょう。

 

海外の仮想通貨デリバディブ取引は、高水準のリスクを伴う投資であり、全ての投資家に適した投資ではありません。海外の高倍率のレバレッジは少額の資金で証拠金を上回る取引を行うことができますが、仮想通貨は急激な価格変動も多く、短期間に利益を出せる一方で、証拠金の大部分や全てを失ったり、取引額が証拠金を上回っていれば、証拠金額等を超える損失が発生するケースもございます。損失に耐えられない資金投資はするべきではなく、海外業者で仮想通貨FX取引を始めるにあたっては、投資目的やご自身の経験、リスクの許容範囲などを含めて慎重にご検討し、取引内容を十分にご理解いただいた上で、ご自身の責任と判断において取引を行ってください。

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