コロナウイルスと原油下落で急下降したビットコイン価格
- 仮想通貨関連
- 2020.03.10.
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- コロナウイルスと原油下落で急下降したビットコイン価格
中国で発生したとされる新型コロナウイルスの影響からか、2020年2月下旬ごろから下落し始めたビットコイン価格は、2020年3月9日23時過ぎに80万円を切る動きになりました。
この急激な下落は新型コロナウイルスの影響だけでなく、このタイミングで起きた原油価格の下落にも影響されているといわれています。
また下落しているのはビットコインを含めた仮想通貨だけではありません。
株価や外国為替市場などにも大きな変化をもたらしています。
これらの実情や背景などについてご説明するとともに、ビットコインと比較されることの多い、ゴールドの値動きについても見てみましょう。
金融市場全般の急激な変動
上記画像のように、それまで低迷していたビットコイン価格は2020年3月8日からふたたび下落を始め、3月9日の23時過ぎには70万円台に入りました。
実は、このように価格が下落しているのはビットコインだけではありません。
仮想通貨はほとんどが下落している状態です。
株式市場の動向
株式市場でも大きな混乱が起きています。
2020年3月9日の東京株式市場は終値が1万9698円76銭と大きく下落しました。
これは先週末と比べて1050円99銭安であり、2万円台を割り込んだ終値になるのは2019年1月4日以来の出来事となっています。
またニューヨーク株式市場におけるダウ工業株30種平均は、先週末の終値と比較して2,000ドル以上下落したため、一時取引が停止される事態になりました。
さらにイタリアにおいても主要株価指数が、先週の終値と比較して10%以上下がっています。
外国為替市場の動向
混乱が起きているのは外国為替市場でも同様です。
東京外国為替市場においては、安全資産とされる円を買う動きが進み、一時的ではあるものの1ドルが101円台半ばという3年4ヶ月ぶりの高値を記録しました。
101円台半ばは、先週末よりも4円以上円高となります。
金融市場が混乱している原因
上記のように金融市場の大きな混乱を招いている原因には、もちろん新型コロナウイルスの影響がありますが、それだけではありません。
そこで、混乱の要因を整理してみました。
新型コロナウイルスの影響
新型コロナウイルスの拡大はアジアだけにとどまらなくなってきました。
欧米諸国に感染が拡大し、イタリアでも拡大が顕著となり、ミラノなどイタリア北部では移動制限がおこなわれました。
また影響はアメリカにまで及んでおり、2020年3月7日にニューヨーク州は非常事態宣言を出しています。
すなわち世界中に新型コロナウイルスが拡大していることはほぼ間違いなく、それによって各国の経済活動の縮小に伴い、世界経済が失速するのではないかと考えられているわけです。
画像引用:日本経済新聞 新型コロナ感染 世界マップ
原油先物価格の急落
ビットコインを含めた金融市場に影響しているのは、新型コロナウイルスだけではありません。
ニューヨークの原油先物価格が大きく下落していることも影響しています。
原油価格は米国とイラクの軍事的衝突が避けられた頃から値下がり始めていましたが、中国での新型コロナウイルスによる影響から、中国の石油需要が減少したことで、下落傾向が強まっていました。
そこにOPEC(石油輸出国機構)とOPEC非加盟国との追加減産協議の交渉が決裂したことが加わりました。
OPEC加盟国側は石油需要の減少に対して1日当たり150万バレルの追加減産を主張していましたが、これに難色を示しているOPEC非加盟国との間で協議が決裂してしまいました。
これによって石油の大幅増産がおこなわれるのではないかとの疑念が生まれてきたわけです。
追加減産を進めようとしていたOPEC加盟国としても、勝手に増産されてしまっては意味がなく、OPEC加盟国の中でも最大規模の生産量があるサウジアラビアも姿勢を一転させ、増産することを示唆しました。
これによって原油先物価格が下落し、2020年3月9日時点でのニューヨーク原油先物が、1バレル30ドル台にまで急落してしまいました。
画像引用:Tradingview USOIL 6ヶ月チャート
強まった投資家のリスク回避姿勢
上記のように経済活動が低下して株価が低迷するだけではなく、追い打ちをかけるように原油価格までが急落してしまうと、景気の低迷につながっていきます。
その結果、投資家はこれらのリスクを回避しようと安全資産に逃げ込む動きが加速していきます。
前述したように円高になっているのは、明らかに投資家がリスク回避をしようとしていることを証明しています。
さらに円高だけではありません。
ゴールドへの投資も活発になってきています。
以下のチャートはTradingviewの GOLDチャートで、Tradingviewに保存されている過去全てのデータをチャートにしたものです。
赤丸は現在価格をあらわしていますが、2012年以来の高騰価格になっていることがみて取れるでしょう。
画像引用:Tradingview GOLD
過去のGOLD高騰時の背景
GOLDが過去にここまで高騰したのは、2011年8月から2012年9月にかけてでした。
そこで、この当時にGOLDが高騰した背景を調べてみました。
上記のTradingview GOLDチャートでも分かるように、GOLD価格は短期間に上昇したのではなく、2006年頃から少しづつ上昇し始めています。
それまでは米ドルが安全資産であると考えられていましたが、9.11の米同時多発テロ以降は、米ドルが必ずしも安全資産とはいえないと思われはじめたようです。
そのため、今回の新型コロナウイルスのようなシンプルな理由があるわけではありませんが、当時の金価格高騰の理由にはリビアや福島原発などの国際的有事に加え、ビンラディン殺害に対する報復テロへの懸念が挙げられます。
もうひとつが、GOLDの地金を証券化した金ETF(金価格連動型上場投資信託)が登場したこと、また2008年頃まで続いた原油価格の高騰から、GOLDをインフレに対するヘッジとして活用するという考え方も定着してきたようです。
さらにサブプライムローン問題やリーマン・ショックなどから金融危機が拡大し、リスクがゼロであるGOLDに投資が集中したともいわれています。
これらに加え、2010年には財政赤字をごまかしていたことが原因だったギリシャショックや、2011年の米国債格下げなどがGOLD価格を押し上げていたといわれています。
大規模な売りとロスカットによる下落
ビットコイン価格が大きく下落した背景には、前述の要素以外に、大規模なビットコインの売りやロスカットがあると指摘されています。
Bitfinexでは、10万ドルにも上る規模で売り操作が何度も繰り返されていることが、海外のトレーダーによってツイートされています。
画像引用:Hsaka Twitter
さらに世界的にも有名な仮想通貨取引所であるBitMEXにおいては、154億円近く(18,000BTC)のロスカットが起こっていることも報告されています。
まとめ
ビットコイン価格が大きく下落している状況に加え、その背景になっている新型コロナウイルスの及ぼしている状況、さらに原油価格の下落など、ビットコインを取り巻く環境についてもご説明しました。
ビットコインはビットコインゴールドといわれていましたが、世界的な経済危機を迎えた時には安全資産とはいえないのかもしれません。
しかし自宅に居ながらでも取引ができるビットコインの世の中の情勢に対する反応は早く、状況が少し変化するだけでも値動きに反映されることが予想されます。
その利点を生かすためには常にニュースを注視し、敏感に反応する必要があります。
また仮想通貨FXであれば、ビットコイン価格が下落した際でも利益を生み出すことが可能であり、大きな値動きがある時ほどチャンスともいえるわけです。
このチャンスをものにできるよう、ニュースには注意しておくようにしましょう。