ビットコインの評価が二分している米大手銀行
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- 2020.06.17.
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2020年6月15日のニュース記事「ビットコインのイメージは新型コロナ後にどう変化したか」では、ミレニアル世代の人々を中心とした一般の人々の間で、ビットコインのイメージがわずか3年で大きく変わってきていることについてご説明しました。
新型コロナウイルスのパンデミックという、世界に大きな打撃を与える出来事があったとはいえ、わずか3年という短い期間でビットコインがこれほどまでに受け入れられるようになったのは、ビットコインにそれだけの価値が備わっていたということでしょう。
しかし一般の人々がこれほどまでにビットコインを受け入れているにもかかわらず、米の大手銀行では、ビットコインを認め始めた銀行がある一方で、相変わらず否定的な見方をしている銀行もあるようです。
これらのことに関して、詳しくご説明しましょう。
ビットコインに肯定的になったJPモルガン
米の大手銀行であるJPモルガンのアナリストが、ビットコインの資産としての価値は、以前と比較して肯定的なものに変化していることをレポートしているという内容を、Bloombergが2020年6月13日に報じました。
画像引用:Bloomberg
「JPモルガンがビットコインはクラッシュサバイバルで力を持っていることを見せたと言っています(Google翻訳)」と題された報道では、これまでビットコインに否定的であったJPモルガンが、新型コロナウイルスのパンデミックで混乱した金融資産の中で、ビットコインが最も早く回復していると判断していることを報じています。
JPモルガンのアナリストはビットコインと株式市場において、これまで相関関係はほとんどなかったものの、新型コロナウイルスのパンデミックによって相関関係が上昇していること。
さらに相関関係が下がっているものとして、米ドルやGOLDを挙げているとのことです。
またビットコインの流動性についてもアナリストは指摘しており、主要な取引所での流動性は株式や国債、外国為替、GOLDの伝統的な金融資産よりも早く回復していることを挙げています。
新型コロナウイルスがビットコインのストレステストに
2020年3月、新型コロナウイルスのパンデミックにより、S&P500などの株価指数は29%下落しました。
ご存知のようにビットコイン価格も3月12日に大きく下落していました。
JPモルガンのアナリストは、この期間がビットコインにとっての初めてのストレステストになったと位置づけています。
そのストレステストの過程で、ビットコインは本質的な価値から乖離していなかったことに加え、現金化の動きがあまり見られなかったことから、ビットコインはテストにパスしたと受け止めているようです。
ただし、伝統的な金融資産より回復力はあることは認めながらも、ビットコインが安全資産であるかという点についてはエビデンスがなく、否定的なようです。
これは、リスク資産として位置付けられる株式などと相関関係が上昇していることが根拠となっているとしています。
JPモルガンが考えるビットコインの将来
これらのストレステストの結果を受け、JPモルガンのアナリストはビットコインに対して将来的な存続の可能性を認めました。
しかしその存続は、ビットコインの位置付けとして一般的に認識されている、価値の交換や保存のために存続していくのではなく、投機のひとつの手段として存続していくのではないかと主張しています。
過去にはビットコインを否定していたJPモルガン
上記で分かるように、JPモルガンはビットコインを安全資産とは認めないものの、投機の手段として存続していく可能性は認めたわけです。
しかしJPモルガンが、以前からビットコインに寛容であったわけではありません。
JPモルガンのCEOであるジェームズ・ダイモン氏は2017年にJPモルガンのトレーダーがビット取引をしたら解雇すると言い放っただけでなく、ビットコインを詐欺呼ばわりしていました。
その一方で、ビットコインに用いられているブロックチェーン技術に対しては高く評価しています。
このようなJPモルガンも、2019年2月には独自の仮想通貨である「JPMコイン」を発行することを発表しています。
また、これまでサービスを提供することがなかった仮想通貨業界に対しても態度を軟化させ、米の大手仮想通貨取引所であるCoinbaseやGeminiに銀行サービスの提供を開始しています。
旧態依然としたゴールドマン・サックス
JPモルガンがビットコインなどの仮想通貨や仮想通貨業界に対する対応を改めたのに対し、同じく米の大手銀行であるゴールドマン・サックスはビットコインに対し、相変わらず昔のまま否定的であることが報道されています。
画像引用:Crypto Currency News
「ゴールドマン・サックスがビットコインについて間違っている理由(Google翻訳)」と題された、2020年6月2日付のCrypto Currency Newsによると、ゴールドマン・サックスはクライアントや投資家とビットコインについて話し合う機会を設けたものの、ゴールドマン・サックス側がビットコインに対して否定的だったことが分かりました。
ゴールドマン・サックスが否定する理由
ニュース記事の中で、ゴールドマン・サックスがビットコインに対して否定的である理由が語られています。
その1つが、債権のようにビットコインがキャッシュフローを生み出さないことです。
そしてもう1つが、ビットコインは資産と位置付けるための要素である世界経済成長を促進しないというものです。
さらに、ボラティリティの大きさやインフレに対するヘッジが欠如していること、そして不正行為に対する潜在的な不安があることを理由として挙げています。
ガッカリする投資家
ゴールドマン・サックスがビットコインを否定している理由を見る限り、確かにビットコインにそのような側面があることは否定できません。
しかしこれはあくまでも一部であり、ビットコインの全てを否定できるものではないはずです。
そのため、ゴールドマン・サックスのビットコインに対する姿勢には批判的な声が多く見受けられます。
なによりゴールドマン・サックスのクライアントは、高パフォーマンスの投資ができないばかりか、利益を押し上げてくれる重要な資産を見逃すことにもつながりかねません。
またゴールドマン・サックスは60億ドルに及ぶマネーロンダリングスキャンダルが発覚しており、ビットコインを否定する理由と銀行の実際の行動がそぐわないと批判されています。
ビットコインに無関心であることは間違い
Crypto Currency Newsの記事は、歴史上最大の銀行であるゴールドマン・サックスがビットコインに対して無関心を続けるのは間違いであり、新しい機会に対応すべきであると、現在の姿勢を明確に否定しています。
そしてビットコインに今以上に投資額が増え、多くのビットコイン関連金融商品が登場し続けていけば、ゴールドマン・サックスはこれまでの姿勢を改めなければならなくなるだろうとも指摘しています。
まとめ
米の大手銀行である、JPモルガンとゴールドマン・サックスのビットコインに対する姿勢や対応が大きく異なることについてご説明しました。
JPモルガンは以前、ビットコインを辛辣な言葉で攻撃していましたが、その姿勢を転換しつつあるようです。
一方、ゴールドマン・サックスは頑なな姿勢を崩していませんが、仮想通貨関連のアナリストはゴールドマン・サックスがビットコインに対して好意的になれば、ビットコインは今以上に大きな成長につながっていくと予想しているようです。
ゴールドマン・サックスがJPモルガンのように、ビットコインに対する姿勢を改めることはあるのでしょうか。
また改めることがあるとすれば、それはいつのことなのでしょう。
一刻も早い方針転換を望みたいところです。