マイニングマシン企業の株価80%上昇もリスク含み
- 仮想通貨関連
- 2020.02.14.
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- マイニングマシン企業の株価80%上昇もリスク含み
ビットコインなどの仮想通貨にはマイニングが必須です。
マイニングがおこなわれないと新しい仮想通貨が発行されないのですから、需要と供給のバランスで価格が変動している仮想通貨にとっては大きな影響が出てしまいます。
このマイニングに欠かせないのがマイニングマシンですが、この性能は年々向上しており、マイニング業界の熾烈な競争を勝ち抜いていくためにはより高性能なマイニングマシンを常に設置しておく必要があります。
もちろんマイニングマシンを製造しているメーカー企業も常に高性能マシンを開発し続けなければなりません。
特に中国には世界的なマイニングマシン企業が複数存在しており、BitmainやMicroBT、それにCanaan Creativeといった巨大企業が知られています。
その中のひとつであるCanaan Creativeの株価が、80%も急上昇していることが報じられました。
マイニングマシン企業の株価がこれほど上昇するのは非常に珍しいことでしょう。
この株価上昇にはどのような背景があるのでしょうか。
また報道によると、この株価上昇にはリスクもあるとされています。
報道が指摘しているリスクとはどのようなものなのでしょう。
このことに関して詳しくご説明しましょう。
Canaan Creativeの株価が急激に高騰
中国に拠点を置く世界的な仮想通貨マイニングマシン企業であるCanaan Creativeの株価が、2020年2月12日に大きく上昇し、80%以上も高騰していることが仮想通貨やブロックチェーン関連メディアであるThe Blockによって報道されました。
画像引用:The Block
Canaan Creativeは2013年に設立され、2019年11月にはNASDAQに上場している仮想通貨マイニング分野では世界2位の企業であり、マイニングマシンメーカーでもあります。
2020年2月12日のCanaan株は、yahoo financeによると始値は4.42ドルでしたが終値は8.04ドルとなり、82.73%上昇となりました。
なお12日の最高値は8.69ドルでした。
また取引量に関しても、これまでのカナン株の平均取引量は25万株でしたが、12日の取引量は1,100万株が取り引きされていました。
2020年2月13日時点では若干値下がりしたものの、それでもなお高値を保った状態です。
画像引用:yahoo finance
このCanaan株の値動きについて、The BlockのアナリストであるMatthew Yamamoto氏は以下のように説明しています。
カナンの株価は中国市場に比べて低調である可能性があると指摘しました。
引用:The Block Google翻訳
ビットコインの半減期と価格上昇
Canaan株がここまで上昇する背景には、ビットコインの半減期の存在に加え、現在のビットコインの高値が影響しています。
つまり2020年5月に予定されているビットコインの半減期を迎えると、マイニング手数料は半分になってしまうため、マイニング業者間の競争はより激しさを増してきます。
そのため、半減期が来るまでの間に現在の古いマイニングマシンを存分に使って減価償却し、新しい高性能なマイニングマシンを購入したいと考えるのが普通でしょう。
そうなると、必要なのは新しいマイニングマシンを購入するための資金ですが、現在のビットコイン価格が高値であることを考えると、新しいマイニングマシンを購入するには非常に良いタイミングともいえるわけです。
また今のこのタイミングなら事業が拡大しやすくなる、すなわちマイニングマシンをこれまで以上に多く設置することも可能になるでしょう。
強気のビジネスを展開しやすいCanaan Creative
上記の状況を考え合わせると、マイニングマシン企業にとっては自社のマイニングマシンを売るための好タイミングといえます。
このことに関して、前述のThe BlockのアナリストMatthew Yamamoto氏は以下のように述べていることが報道されています。
マイニング機器の価格はビットコインの価格変動に基づいて動的に変化します。
ビットコインの価格が上昇すると、機器がより高い値札を取得するため、これはカナンにとって強気のシグナルであることが証明されます。
引用:The Block Google翻訳
つまりマイニングマシンの価格はビットコイン価格が上がれば高額で販売できるため、現在の状況はCanaan Creativeにとって非常に有利な形でビジネスを展開できるということになります。
マイニング業者の株価も上昇
実はマイニングマシン企業であるCanaan Creativeの株価だけが上昇しているのではありません。
マイニング業者の株価も上昇しています。
今年初めから比較すると、例えばHut8は76%上昇しており、Argo Blockchainは28%上昇しています。
そしてBitfarmsにいたっては90%も株価が上昇しています。
これはまさにマイニング業界全体が活性化している状態といえます。
マイニング業界の好調さに潜むリスク
上記で説明した内容を見るとマイニング業界は今まさに絶好調で、不安に感じる要素がないように感じてしまいますが、先が見通せない大きなリスクも抱えています。
それが中国武漢で発生した新型コロナウイルスです。
新型コロナウイルスでマイニングファーム強制閉鎖
2020年2月4日、ハッシュレートでは世界TOP3に入る中国のマイニング企業であるBTC.topの江卓尔CEOが、中国国内のマイニングファームが中国政府によって強制閉鎖されたことを、中国のミニブログサイトweiboで説明しています。
これは中国政府による新型コロナウイルスの感染防止策のために従業員が出勤できず、閉鎖せざるを得なくなったということになります。
現時点でBTC.top以外のマイニングファームが閉鎖になったという情報は見られませんが、中国はマイニング事業が非常に盛んな国です。
特に四川省や雲南省、内モンゴル自治区、新疆ウイグル自治区などでマイニングが多くおこなわれています。
マイニングファームは比較的山間部などに多く存在しているため、新型コロナウイルスの影響は受けにくいとされていますが、今や新型コロナウイルスは中国全土に感染が広がっており、人の移動も制限されていることが報道されています。
今後、中国のマイニング事業者全体が強制閉鎖される可能性も十分考えられます。
マイニングマシン企業にも影響
新型コロナウイルスの影響はマイニングマシン企業にも及んでいます。
2020年2月1日のニュース記事「新型コロナウイルスが中国のマイニングにまで影響か」内でもご説明したように、Canaan Creative やBitmain、MicroBTなどのマイニングマシン企業が、2月9日まで製品の製造や出荷、アフターサービスが充分に対応できない状態でした。
これは中国政府が春節を2月9日まで延長した背景がありますが、今後、新型コロナウイルスの広がりや深刻度によって、その影響がどの程度のものになるか、全く予測がつかない状態といえます。
ハッシュレートへの影響
新型コロナウイルスはその広がり具合によってはマイニングファームだけでなく、マイニングマシン企業へも影響を及ぼしかねません。
しかもそれがマイニング関連企業が多く存在する中国で起こっているため、影響は大きいはずです。
現在のハッシュレートを見る限りでは、それほど影響は出ていないようですが、現在のビットコイン価格の高騰具合とハッシュレートがあまりマッチしていない点には留意しておく必要があるでしょう。
画像引用:blockchain.com
まとめ
世界的なマイニングマシン企業であるCanaan Creativeの株価が急上昇したことに加え、その好調さの陰に潜むリスクについてもご説明しました。
マイニング業界が好調であるということは、ビットコイン価格も高値を維持し続けられるということになりますが、新型コロナウイルスが今後どう拡大もしくは縮小していくのか、そしてどのような影響が出るかは誰にもわかりません。
マイニング業界に関する動きはハッシュレートや報道を注意するしかありません。
ビットコイン価格が高値だからと、くれぐれも油断しないようにしてください。