Bybitの自動デバレッジ機能とは何?
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- 2019.04.28.
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- Bybitの自動デバレッジ機能とは何?
仮想通貨取引でまず確認しておきたいのが「損失に対するセーフティーネット」です。
損失はどんなに優秀なトレーダーでも発生してしまうものですので、初心者がなんとなく取引をすれば、損失が当初証拠金を超えてしまう可能性もあるでしょう。
しかし、Bybitでは「自動デレバレッジ機能」を採用しているため、損失が当初証拠金を超えることはありません。
ここでは、自動デレバレッジ機能の仕組みや他業者との違いについてご紹介します。
損失が当初証拠金を超える「契約損失」
レバレッジ取引では、少ない元手で大きな金額を動かすことができるため、短期間で大きな利益を狙うことが可能です。
ですが、逆に短期間で大きな損失を生んでしまう可能性も高く、最初に預ける当初証拠金を上回る可能性も十分にあり得えるといえるでしょう。
Bybitでは、損失が当初証拠金を超えた際に被る損失のことを「契約損失」といい、清算になった場合でも起こり得る事象だとされています。
清算になる際、スポット価格と清算価格は近似することになりますが、価格変動の大きさやスピードなどによって最終的に契約損失をもたらす場合もあるのです。
通常であれば、清算時に残った証拠金が保険基金に追加されるため、契約損失は保険基金で補填することができますが、保険基金が不足していた場合はそのまま「ユーザーの損失」として残ることになります。
Bybitの自動デレバレッジ機能
Bybitでは、保険基金が不足して契約損失が補填できない場合の更なる救済処置として、「自動デレバレッジ機能(ADL)」があります。
デレバレッジとは、少ない資金でポジションを大きくするレバレッジと反対で、当初証拠金を残したままポジション全体が減少することをいいます。
Bybitの自動デレバレッジ機能は、高レバレッジを使用している人の有益なポジションを解消し、その一部を契約損失の補填に使用するというものです。
つまり、清算されたユーザーの契約損失を他のユーザーの利益で補うということです。
その際、選ばれるユーザーは清算されたユーザーと反対のポジションを保有している人、且つレバレッジ・収益が最も高いユーザーとなり、全てのアクティブな注文もキャンセルされることになります。
そのため、Bybitでは、全ユーザーのレバレッジと収益性をもとにランク付けがされているのです。
その後、自動デレバレッジの対象になったポジションは部分的、もしくは完全に解消され、その一部によって契約損失が補填されるようになります。
自動デレバレッジ機能の仕組み
自動デレバレッジ機能が有効になると、まずは最もランクの高いユーザーを選択してデレバレッジを行い、マッチングされた清算ポジションを破産価格で決済します。
その際、デレバレッジの対象となったユーザーには「メイカーリベート」が支払われ、清算されたユーザーには「テイカー手数料」が課金される仕組みです。
その後、自動デレバレッジ対象のユーザーはEメール、もしくは携帯電話で通知を受け取り、アクティブな注文が全て決済されることになりますが、市場への再参入は自由に行うことができます。
<自動デレバレッジの流れ>
- ADLシステムにより最高順位のユーザーが選択される
- ADL対象ユーザーのポジションと清算ポジションのマッチングを行う
- マッチングされた清算ポジションを破産価格で決済する
- ADL対象ユーザーへメイカーリベートが支払われる
- 清算されたユーザーはテイカー手数料が課金される
- ADL対象ユーザーのアクティブポジションが全て決済される
メイカーリベートとテイカー手数料
メイカーリベートとテイカー手数料は取引手数料になり、「ポジション価額×取引手数料率」によって求めることができます。
無期限契約 | 最大レバレッジ | メイカーリベート | テイカー手数料 |
---|---|---|---|
BTC/USD | 100倍 | -0.025% | 0.075% |
ETH/USD | 100倍 | -0.025% | 0.075% |
- メイカーリベート・・・マイナス表記なので顧客が手数料をもらえる
- テイカー手数料・・・プラス表記なので必要な手数料
自動デレバレッジ機能の例
たとえば、8,000ドルの資産で3,000BTCを購入したとし、清算価格を7,700ドル、破産価格を7,500ドルと仮定します。
マーク価格が清算価格の7,700ドルに達すればこのポジションは強制的に清算されることとなりますが、Bybitの最終取引価格は7,300ドル(2019年4月現在)と破産価格より低くなっており、契約損失を補填するための残高が残っていません。
そのため、自動デレバレッジ機能が清算プロセスを引き継ぐことになります。
このとき、Bybitには6つのショートポジションがあるとしましょう。
ユーザー | 契約数 (売り) | ランキング (損益率×実効レバレッジ) | パーセンタイル |
---|---|---|---|
ユーザーA | 5,000 | 6 | 20% |
ユーザーB | 2,600 | 5 | 40% |
ユーザーC | 2,400 | 4 | 60% |
ユーザーD | 2,000 | 3 | 60% |
ユーザーE | 2,000 | 2 | 80% |
ユーザーF | 5,000 | 1 | 100% |
この表を見ると、ユーザーAが最も高い順位になりますので、ユーザーAが自動デレバレッジの対象となり、清算ポジションを破産価格の7,500ドルで決済します。
その際、ユーザーAは3,000契約を使って清算を補填することとなりますが、残りの2,000契約はオープンのままです。
ですが、契約価額が減った後も証拠金は変わりませんので自動デレバレッジされ、ランキングトップでなくなる場合もあります。
また、清算されたユーザーに1万契約分の損失があった場合は、それを補填するためにユーザーA、B、Cが自動デレバレッジの対象となり、最終的にアクティブな注文が全て決済されます。
ADLランキングは自分で確認できる
Bybit のADLランキングはログイン後、ポジション欄の「ADLランキング」という部分を見れば確認することができます。
ADLランキングはランプの点灯で表示される仕組みで、ランプ1つが20%刻みになっています。
つまり5つのライト全てが点灯している場合は、自分がトップパーセンタイルであるということです。
このランキングは、レバレッジを減らす、もしくはポジションのいくつかを決済することで下げることもできます。
社会損失システムよりも公平な自動デレバレッジ機能
仮想通貨取引所の多くは、ユーザーの損失が当初証拠金を超えないよう社会損失システムを導入しています。
社会損失システムとは、プラットホーム上で利益を生んでいる全てのユーザーが補填対象となり、ポジションの利益に比例して補填するという仕組みです。
このシステムでは、利益を多く出している特定ユーザーの負担は軽減されますが、その分利益が少ないユーザーにも支払いの必要性が生じるため、多くの人が不公平だと感じています。
これに対し、自動デレバレッジ機能では利益とレバレッジに基づいてランク分けが行われ、清算と反対売買且つランキング上位のユーザーのみが補填対象となりますので、利益を出せていないユーザーが選ばれる可能性は極めて低くなります。
そのため、Bybit自動デレバレッジシステムは社会損失システムよりも公平だとして、多くの人に認められているのです。
まとめ
Bybitの自動レバレッジ機能は、ユーザーの損失が当初証拠金を上回らないための救済システムです。
万が一契約損失が生じてしまった場合、ハイレバレッジで多くの利益を出しているユーザーのポジションの一部、もしくは全てを利用して補填され、自動デレバレッジ対象ユーザーにはメイカーリベートが、清算ユーザーにはテイカー手数料が課せられるようになります。
他業者でも同じような仕組みの「社会損失システム」を採用しているところが多いですが、このシステムではあまり利益を出せていないユーザーまで補填の対象になってしまうため、不公平になってしまいます。
そのため、自動レバレッジ機能を採用しているBybitは初心者でも安心して利用できる取引所だといえるでしょう。