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仮想通貨FX国内のレバレッジ規制と自主規制

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  • 2019.04.25.

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bitFlyerとGMOコイン、Liquid by Quoineがレバレッジ倍率を4倍へ引き下げることを発表しました。

 

この記事では、国内の仮想通貨FX業者のレバレッジ倍率におけるJVCEA自主規制の適用について詳しく解説します。

 

JVCEAが加盟団体に対し自主規制ルールを施工

 

2018年10月24日、仮想通貨交換業者の自主規制団体である「一般社団法人日本仮想通貨交換業協会(JVCEA)」は、同協会がまとめた自主規制ルールを施行しました。

 

同協会は、加盟する団体に対して強制力を持つ「認定自主規制協会」として、同日金融庁から認定を受けています。

 

施工した自主規制ルールは、2018年9月に金融庁において行われた「仮想通貨交換業等に関する研究会」で資料として提出されたものと同様で、ICOやマネーロンダリング、証拠金取引等の12の項目について自主規制規則をまとめています。

 

JVCEAは、コインチェックによる不正流出事件を受けて信頼が低下した業界の健全な発展を図るために、業界の16社が加入して発足しました。

証券業界では、「日本証券業協会」が自主規制団体として自主ルールの策定を行っており、JVCEAについても同様の役割が求められています。

 

マネーパートナーズの社長でもある奥山泰全会長は、「利用者保護を最優先に考えたい」と記者会見で述べています。

 

国内仮想通貨FX業者のレバレッジ倍率は4倍に

 

JVCEAは、施工した自主規制ルールの中の「証拠金取引に関する規制」において、レバレッジ倍率を原則4倍にするよう規定しました。

国内仮想通貨FX業者で証拠金取引を提供する企業の中には、FX(外国為替証拠金取引)と同じ最大25倍の倍率を適用しているところもあり、ほとんどの取引所ではレバレッジ倍率を引き下げることになります。

 

レバレッジ倍率を低く設定したのは、取引による損失リスクや、過剰な投機取引を抑制するためだとしています。

 

レバレッジ取引とは、取引所に対して担保となる証拠金を預け入れることで、少額の資金で多額の取引を行える仕組みです。

例えば、10万円分の証拠金を差し入れると、レバレッジ10倍だと100万円分の取引を行えます。

この100万円分で取引を行うと、仮想通貨の価格が変動したときに多くの利益を得ることができますが、予想とは逆に相場が動くと、預け入れた証拠金以上に損失がでるリスクもあります。

仮想通貨は価格変動が激しいことから、大きなレバレッジを利かすと証拠金以上の損失が出やすく、多額の借金を抱えた方もいたようです。

 

なお、レバレッジ倍率を変更するまでには猶予期間が設けられており、自主規制規則が施行した2018 年 10 月 24 日から1年間は、利用者の損失の発生状況等を勘案し、会員(取引所)自身が決定する倍率を暫定的に選択できるようになっています。

 

ただし、自ら倍率を設定し猶予期間内に利用者に未収金が生じたときには、すみやかに未収金の発生することがない倍率へ変更することが義務付けられています。

 

仮想通貨信用取引は金融規制なし

 

 

FX(外国為替証拠金取引)においては法令上、証拠金倍率の最大値が25倍に定められていますが、仮想通貨FX自体に対する金融規制は設けられていません。

とはいえ、仮想通貨FXもFX(外国為替証拠金取引)と同じ仕組みを持った証拠金取引であるため、FXのレバレッジ倍率である25倍よりも大きな倍率を適用した国内取引所はありません。

 

さらに仮想通貨はFXで取り扱う法定通貨よりも非常に価格変動が大きく、1日に10%以上変動することもあります。

このことから、価格変動が大きい金融商品にFXと同じようなレバレッジを利かすのは、実態に合っておらず危険という意見もありました。

 

現在はJVCEAによる自主規制ルールが施行されていますので、このルールにある「4倍」が事実上のレバレッジ規制となっています。

多くの主要国が仮想通貨FX取引を金融規制の対象としているため、今後日本においても自主規制としてではなく、法律で規制していく可能性は高いでしょう。

 

法律で整備されていくときには、海外におけるレバレッジ倍率を参考にするはずです。

例えば、EUでは仮想通貨の証拠金取引はレバレッジ倍率を2倍に規制していますので、日本においても倍率を4倍よりもさらに低いものとする可能性も残されています。

 

FXは倍率10倍へ規制強化が検討された

 

仮想通貨FXのベースとなっているFXのレバレッジ規制に目を向けてみましょう。

 

FXでは2018年に、利用者を保護する目的で「レバレッジを10倍にする」という案が金融庁において検討されましたが、この規制強化は断念されました。

有識者会議の中で、より高い倍率で取引できる海外FX業者に顧客を奪われる可能性があるといった意見があったようです。

 

実は、これは仮想通貨FXにおいても全く同じで、国内取引所を軒並み4倍のレバレッジにしてしまうと、海外の仮想通貨FX業者の100倍レバレッジが魅力的なため、海外の仮想通貨FX業者に顧客を奪われるという意見が出てくることも十分予想されます。

 

規制を強化して利用者を保護する一方で、顧客を奪われたくないというのもちぐはぐな考えのように思えます。

 

レバレッジ倍率変更状況

 

国内の仮想通貨FXを提供している取引所のレバレッジ倍率変更状況をまとめてみました。

取引所名変更後のレバレッジ変更前の最大倍レバレッジ変更日(予定含む)
bitFlyer4倍15倍2019年4月22日(※)
Liquid by Quoine4倍25倍2019年5月15日
GMOコイン4倍10倍2019年5月15日
BITPoint4倍25倍2019年2月1日
DMM Bitcoin4倍5倍2018年12月
Zaif(フィスコ仮想通貨取引所)25倍/7.77倍
コインチェック5倍

(※)2019年4月26日現在、システムトラブルにつき延期されている

一足先にレバレッジ倍率の変更を済ませたのはBITPoint とDMM Bitcoinでした。

 

その後bifFlyerやLiquid by Quoine、GMOコインが2019年5月までにレバレッジ倍率を変更する予定です(bifFlyerはシステムトラブルのため4月の適用を延期中)。

 

一方、未だにレバレッジ倍率を変更するアナウンスを出していないのは、Zaifとコインチェックの2社です。

2019年10月24日まで猶予期間があるとはいえ、少し足並みが揃っていない印象も受けますが、この2社については、どちらも仮想通貨の流出事件を2018年に起こしており、現在もサービスが完全には再開されていません。

 

コインチェックは、2019年1月に仮想通貨交換業者として認可を受けていますが、仮想通貨FXに当たる「信用取引」は未だに再開していません。

 

Zaifにおいても、流出した仮想通貨モナコインの取引を2019年4月に再開していますが、モナコインの入出金やコイン積立などの一部サービスは再開されていません。

 

こちらの2社については、現在は事業の完全な再開が当面の目標になると思われますので、レバレッジ倍率4倍の適用はまだ少し先になるかもしれません。

 

10月までに足並みが揃うか

国内の仮想通貨FX業者におけるレバレッジ規制についてまとめると、以下のようになります。

 

・2018年10月、自主規制団体JVCEAがレバレッジ倍率4倍の自主規制ルールを施工

・猶予は施工から1年間

・未だ適用していないのはコインチェックとZaif

・FXは法令でレバレッジ倍率25倍と定められているが、仮想通貨FXについては法令なし

 

現在は自主規制ルールにとどまっていますが、将来的には法令でレバレッジ倍率が規制されていく可能性が高いといえるでしょう。

 

海外の仮想通貨デリバディブ取引は、高水準のリスクを伴う投資であり、全ての投資家に適した投資ではありません。海外の高倍率のレバレッジは少額の資金で証拠金を上回る取引を行うことができますが、仮想通貨は急激な価格変動も多く、短期間に利益を出せる一方で、証拠金の大部分や全てを失ったり、取引額が証拠金を上回っていれば、証拠金額等を超える損失が発生するケースもございます。損失に耐えられない資金投資はするべきではなく、海外業者で仮想通貨FX取引を始めるにあたっては、投資目的やご自身の経験、リスクの許容範囲などを含めて慎重にご検討し、取引内容を十分にご理解いただいた上で、ご自身の責任と判断において取引を行ってください。

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海外の仮想通貨デリバディブ取引は、高水準のリスクを伴う投資であり、全ての投資家に適した投資ではありません。海外の高倍率のレバレッジは少額の資金で証拠金を上回る取引を行うことができますが、仮想通貨は急激な価格変動も多く、短期間に利益を出せる一方で、証拠金の大部分や全てを失ったり、取引額が証拠金を上回っていれば、証拠金額等を超える損失が発生するケースもございます。損失に耐えられない資金投資はするべきではなく、海外業者で仮想通貨FX取引を始めるにあたっては、投資目的やご自身の経験、リスクの許容範囲などを含めて慎重にご検討し、取引内容を十分にご理解いただいた上で、ご自身の責任と判断において取引を行ってください。

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