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中央銀行の仮想通貨発行に対する両極端な報道

  • 仮想通貨関連
  • 2019.11.14.

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  • 中央銀行の仮想通貨発行に対する両極端な報道

フェイスブックの仮想通貨リブラや中国のデジタル人民元などによって、世界各国の中央銀行が仮想通貨発行の必要性について検討し始めています。

今後各国の中央銀行が仮想通貨を発行するようになっていくのかどうかは不明ですが、このような取り組みについて、両極端なニュースが報道されています。

 

各国の中央銀行が5年以内に仮想通貨を発行するようになるという報道と、仮想通貨は単なる投機対象であり、通貨として成り立たないという報道です。

 

この両方のニュースについて詳しくご説明しましょう。

 

各中央銀行は5年以内にデジタル通貨発行する予想

世界的IT企業であるIBMとシンクタンクであるOMFIF(公的通貨金融機関フォーラム)が共同で2019年10月末に発表した報告書によると、各国の中央銀行は5年以内にデジタル通貨(CBCD)を流通させる公算が高いとしています。

またそのデジタル通貨は、決算手段として活用するためのものであると分析しています。

 

この報告書は「The next payments frontier」(Google翻訳:次の支払いフロンティア)と題されたもので、先進国の13ヵ国に加え、新興国の10ヵ国を調査対象に実施されたものをベースに作成されています。

なお調査期間は2019年7月から同年9月です。

OMFIF

画像引用:OMFIF

 

この報告書では、現在は現金決済が大きく減少しつつあり、その理由としてクレジットカード決済や電子マネーによる決済などが増えてきていることを挙げています。

つまり現金を持たずに買い物できるキャッシュレス決済が幅広く活用されると同時に、浸透している現実があるわけです。

 

CBCDもその延長線上に位置しており、各国独自のデジタル通貨による決済プラットフォームには十分需要があると考えられます。

これらが各国の中央銀行が5年以内にデジタル通貨を発行させるという根拠になっているようです。

 

報告書で明らかになった意見について

報告書で明らかにされたのは、調査対象のうち73%がCBCDを支持しているということです。

すなわち4分の3近くがCBCDを発行した方が良いと判断していることになります。

しかし一方では懸念も抱いており、これまでより早いスピードで決済などがおこなわれるデジタルバンキングへのリスクに不安感があるようです。

 

またCBCDはこれまで現金でできていたように、オンラインだけで使用するのではなく、オフラインでの使用も視野に入れるべきであるとの意見もでていたようです。

 

IBMとOMFIFの見解

IBMとOMFIFが調査の結果から導きだした結論が、前述のように各中央銀行が5年以内にCBCDを発行するというものでした。

 

ただし一気にCBCD化が進むとは考えておらず、最初は比較的小さなエリアで、しかも複雑ではないものが発行され、その後大きな経済力のある国で発行されるようになっていくだろうという予測もしています。

 

昨年の調査結果からの変化

実はIBMとOMFIFは、2018年10月25日にも同様の研究報告を発表しています。

その研究には中央銀行21行が参加しており、そのうちの38%がCBCDに対して積極的であり、何らかの調査や行動を起こしていましたが、他の62%は何の活動も起こしていないことが明らかになっています。

 

つまり短期間の間にCBCDに対する支持は倍近くに高まっており、CBCD発行に向けて動き始めているということになります。

 

ECB元総裁はビットコインを投機と認識

IBMとOMFIFの共同研究では、デジタル通貨の重要性を認識する中央銀行が増えてきていることが分かりましたが、この報道に反した内容の見解を発表している人物もいます。

 

その人物とはECB(欧州中央銀行)の元総裁であったJean-Claude Trichet氏です。

Trichet氏は1993年から2003年までフランス銀行総裁を務め、2003年から2011年まではECBの総裁を務めていた人物です。

 

中国北京で開催されていたメディアグループ財新の研究会の場でTrichet氏がビットコインについて、通貨としての性質がなく投機であると発言したことが2019年11月10日、South China Morning Postによって報道されています。

SCMP.COM

画像引用:SCMP.COM

 

この研究会でTrichet氏は、自分自身はビットコインに対して強く反対しており、その理由として通貨が本来持っているべき性質を備えていないことを挙げています。

さらにビットコインの購入は投機であり、それが現物資産に裏付けされているものであったとしても投機であることは変わらず、健全とはいえないと話したとされています。

 

またTrichet氏が否定したのはビットコインだけでなく、フェイスブックの仮想通貨リブラについても反対していると述べたようです。

さらに現在の紙幣や硬貨などが利用されなくなったとしても、仮想通貨がこれらに変わるものにはならないと発言したとされています。

 

SDRが正しいと発言

Trichet氏は上記のようにビットコインやリブラなど、全ての仮想通貨を否定したうえで、正しい国際通貨はSDR(特別引出権)であると発言したとされています。

SDRは米ドル、ユーロ、中国人民元、英ポンド、日本円の5つの通貨バスケットに裏付けされ、IMF加盟国の準備金を補うために自由利用が可能な通貨と交換できるものです。

 

報道では仮想通貨全てを否定

Trichet氏が発言したといわれる報道をみると、ビットコインを否定しただけでなく、ステーブルコインやリブラについても否定的です。

つまりSouth China Morning Postの報道を見る限りでは、仮想通貨そのものを全否定しているわけです。

 

報道の裏側にあるものとは

中国におけるTrichet氏の発言は上記のようなものでしたが、この報道を全て鵜呑みにして良いのかどうかは不明です。

なぜならこの発言があった場が北京であり、研究会を主宰していたのが中国のメディアグループであったことに加え、中国のブロックチェーンに対する現在の姿勢を考慮すると、いささか異なる思惑があるようにも見えます。

 

中国では現在ブロックチェーン推進を、国を挙げておこなっており、その方針に否定的な報道が出ることは不自然です。

今回の報道は、仮想通貨は通貨としての性質を備えていないことを強調しつつも、中国が現在準備しているといわれるデジタル人民元は仮想通貨と違い、通貨としての性質を備えているものであると主張したいようにも見えるのです。

 

あくまでも推測の域を出ませんが、その主張のためにTrichet氏の発言が利用されたのではないかとも考えられます。

 

まとめ

中央銀行が仮想通貨を発行することに対する意見として、両極端な二つの報道を紹介しました。

 

IBMとOMFIFの共同研究報道は仮想通貨を取り巻く環境を考えると、デジタル通貨発行に対する受け止め方としては、正しい判断だといえるのではないでしょうか。

一方、Jean-Claude Trichet氏の仮想通貨に対する否定的な発言報道はやや信憑性にかけるものの、報道されている内容を額面通りに読むとIBMとOMFIFの共同研究の対極に位置するものです。

 

今後世界の中央銀行が仮想通貨を発行するようになっていくのかどうかは予測できませんが、現在の法定通貨の不便さと仮想通貨の便利さや可能性を多くの人々が知ってしまいました。

一度便利なものや使いやすいものを知ってしまうと、現状のままやり過ごすことはできなくなってしまうのが自然な流れでしょう。

 

現在の仮想通貨がどのように変化し、また進化していくのか、この目で早く見たいものです。

 

海外の仮想通貨デリバディブ取引は、高水準のリスクを伴う投資であり、全ての投資家に適した投資ではありません。海外の高倍率のレバレッジは少額の資金で証拠金を上回る取引を行うことができますが、仮想通貨は急激な価格変動も多く、短期間に利益を出せる一方で、証拠金の大部分や全てを失ったり、取引額が証拠金を上回っていれば、証拠金額等を超える損失が発生するケースもございます。損失に耐えられない資金投資はするべきではなく、海外業者で仮想通貨FX取引を始めるにあたっては、投資目的やご自身の経験、リスクの許容範囲などを含めて慎重にご検討し、取引内容を十分にご理解いただいた上で、ご自身の責任と判断において取引を行ってください。

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