Bybit CEO独占インタビュー
- インタビュー
- 2019.04.16.
- 特集
- Bybit CEO独占インタビュー
インタビュアー:Uzi 仮想通貨の投資家兼トレーダー、ブロックチェーンの提唱者で作家。
※2019年3月の香港ブロックチェーンウィーク2019に出席したBen Zhou氏(左から2人目)
(Uzi ※文中以下U)Benさん、本日はお越しいただきありがとうございます。
早速ですが、Benさんご自身のことやBybitについて色々と教えてください。
(Ben ※文中以下B)こんにちは。
Bybitの共同創設者兼CEOのBenです。
お会いできてうれしいです。
私は7年以上、小売FXブローカーをしていました。
Bybitはグローバルに展開する仮想通貨デリバティブ取引所として2018年初めに設立し、現在はBTCUSDとETHUSDの無期限契約を最大100倍のレバレッジで提供しています。
従来よりもより良い取引体験を提供するため、より高速で、より公平、より人間的な交流を築き、公正な取引環境を構築することをスローガンにしています。
(U)Bybitでの一日はどのようなものなのでしょう。
(B)もう勘弁してよっていうほど出張が多いのですが、出張以外の日は朝8時半ごろに出社しています。
会社では一日の内のほとんどをいろいろなチームとの打ち合わせに費やしています。
打ち合わせの合間にTwitterやtelegramでクライアントとチャットし、Bybitに対する意見を聞いたり、Bybitへの理解を深めてもらっています。
Bybitへの信頼と透明性を高めるための取り組みを積極的に行っています。
(U)現在チームの拠点はどこにあるのでしょうか。
(B)Bybitはシンガポールに本社を置き、技術開発チームは中国にあります。そして台湾と韓国、日本に現地チームがあります。
(U)離れた場所にあるチームはどのように協力体制をとっているのですか。
(B)国や地域に関係なく効率的なコラボレーションができるようTableauやTrello、 Salesforce、Zoomなど、色んな管理ツールを利用していますが、とても便利ですね。
(U)仮想通貨の世界に足を踏み入れた経緯を教えてください。
(B)2016年の中頃に、友人からブロックチェーン技術とそのシステムを使ったトークンエコノミーの仕組みを聞いたのがきっかけですね。
夢中になって、暇さえあれば仮想通貨市場と従来の金融市場との違いについて分析と調査をしていました。
仮想通貨市場は未熟で、しかも効率が悪いもののエネルギーに満ち溢れており、ポテンシャルは高いと感じました。
2017年の終わりごろまで仮想通貨市場は非常に盛り上がっていたため、多くのトレーダーはビットコインや仮想通貨市場のことをたいして学習もせずに取引していたようです。
そこで私は自分のプロジェクトレビューをビデオに録り、YouTubeでキーオピニオンリーダーを務めていました。
またwechatチャンネルで西洋とアジア圏との仮想通貨に対する知識のギャップを埋めるための活動もしており、2万人ほどにフォローされていました。
その後、2018年の4月にパートナーを集め、各人が持っている専門知識を生かす形でBybitを立ち上げたわけです。
(U)仮想通貨の世界で同じ考え方を持っていると思える方や尊敬しているCEO、創設者などはいますか?
(B)仮想通貨デリバディブ取引所についていうと、どなたもBitmexをご存知でしょう。
BitmexのCEOであるArthur Hayes氏に面識はありませんが、非常に素晴らしい人物だと思います。
Bitmexは無期限スワップを初めて導入し、ゲームの定義を書き換えたのですから、Bitmexはとても尊重しています。
Bybitは少し遅れて市場参入したので、無期限スワップを改良しただけでなく、それをもっとトレーダーフレンドリーな造りにしています。
Deribitも最近、無期限スワップに取り組んでいるライバルです。
尊敬する人物に関していうと、CZは間違いなく私が尊敬している人物の一人ですね。
彼はクライアントと対話しながら、誠実にフィードバックを提供し続けています。
また今よりもっと良い商品を生み出そうと革新を続けています。
その姿勢はBybitの考えと非常に似ています。
(U)Bybitを設立しようという考えに至った背景を教えてください。
(B)私は長年外国為替取引業界にいました。
外国為替取引と仮想通貨取引には似ている点もありますが、異なる点もあります。
特に仮想通貨デリバティブ取引の市場には、多くの非効率的な点があります。
トレーダーが必要とするものを提供できる、もっと良い取引所があっても良いのではないだろうかと考えたわけです。
最も大きな問題は仮想通貨取引の基本でもある執行、もしくは注文のマッチングです。
オーバーロードと呼ばれる注文の拒否が頻繁に起こっていては、クライアントのニーズに応えていないことになります。
次に大きな問題は、ほとんどの取引所がクライアントから冷たい印象を持たれているという点です。
クライアントからは取引にかかわっている人の姿が見えないため、何か問題が発生しても自力で解決しなければならないからです。
外国為替業界ではクライアントが常に最優先なのに、この点に違和感がありました。
そこで、クライアントはいつでもウエブサイト上でカスタマーサポートにつながり、直接オンラインで話すことができる取引所を作ろうと考えました。
またクライアントに取引所の経営陣について知ってもらうことも重要です。
そのためにBybitでは、クライアントはtwitterや telegramでいつでも私とつながるようになっています。
もう間もなくオフラインでのミートアップ/セミナーを開催しますので、クライアントは当社スタッフとも直接対面できるようになるでしょう。
そしてもうひとつ重要な課題があります。
それは、取引所はクライアントやコミュニティに価値を還元すべきだということです。
仮想通貨取引において関連知識は非常に重要で、利益に大きな影響を与えるにもかかわらず、トレーダーに体系的な学習コースを提供しているところはありません。
Bybitでは証拠金取引、リスクの適切な管理方法、テクニカル分析、ファンダメンタル分析などについてクライアントが学べるオンラインウェビナーやセミナー「バイビットアカデミー」を充実させています。
(U)Bybitで得た最大の成果は何だと思われますか?
(B)最大の成果といえば、それはもうチームでしょう。
効率的に作業する能力を備えているため、短期間で改善をやり遂げてくれます。
チームの全スタッフがBybitを責任もって取り扱い、クライアントに対する気配りも心得ています。
クライアントにもその思いは伝わっているはずです。
私たちは全てのクライアントからのフィードバックや懸念事項に対応しています。
お客様の声を重視し、常に改善し続けていくことが私たちのスローガンであり、全てのトレーダーに最高の取引体験を提供していくことが使命だと考えているからです。
(U)現在の仮想通貨信用取引において、なぜBybitが競合他社よりも際立っているのでしょうか?
(B)現在の仮想通貨信用取引システムにおいては、これだという決定的な基準がまだ確立されていません。
そのためにトレーダーは、最高の取引体験を得られないのが実情だと考えています。
私たちは最高の注文執行、レスポンスが良くて正確な対応ができるカスタマーサポート、それにトータルで満足できる取引体験など、全てのトレーダーが満足できる業界基準を構築し、業界全体のレベルを引き上げていくことを目標にしています。
そのために必要なことは、
①注文の高速実行、10万TPSマッチングエンジン、低レイテンシ(1ms)、過負荷なし、最新情報オンライン配信、無停止メンテナンスは不可欠です。
Bybitではこれまでメンテナンスのために取引を中断させたことはありません。
②迅速な対応も必須です。
Bybitでは24時間365日、多言語ライブチャットサポートおよび専属のアカウントマネージャーにつながっていますので、迅速に対応できます。
③最も重要なことは、お客様が満足できる最高の取引を体験してもらうことです。
そのためにもお客様の提案に耳を傾け、それに基づいて機能改善を定期的に実施していくことが重要です。
Bybitではこれら全てをSNSでお伝えし、常にお客様の期待に応える姿勢を訴えてきました。
仮想通貨取引所、特にデリバティブを扱う所では、まず基本に焦点を当てるべきだと考えています。
それには、トレーダーは何を一番必要としているのかを知るべきでしょう。
Bybitが他の仮想通貨デリバディブ取引所と比べて際立っているのは、トレーダーは何を一番必要としているのかを常に把握しようと努めていること、そして取引所の基本に焦点を当て、常に革新し続けているということだと思います。
(U)Bybitが今解決すべき最大の問題は何でしょう? またどうしてその問題が重要なのでしょうか?
(B)仮想通貨業界での最大の問題というと信頼でしょう。
トレーダーが自分の利用している取引所を信頼できるかということです。
これはつまり資産の安全性の問題だけでなく、取引所に対する信頼性など、トレーダーの利益に反する大きな問題です。
仮想通貨取引には明確な規制が確立されていないため、市場そのものに対する信頼は決して厚いとはいえないのが現状です。
Bybitには仮想通貨取引所として顧客を保護する責任があり、速くて安全な取引環境を提供することに全力を注いでいます。
そのために多くのエネルギーと資産を投資しているわけです。
また経営陣はどんな人物なのか知ってもらい、いつでもSNSなどでやり取りできるようにしているのも、Bybitが透明性の高い仮想通貨取引所であることを理解してもらうためなのです。
(U)2018年に取引所が続けてハッキングされ、仮想通貨業界全体に波紋をもたらした事件がありましたが、Bybitがユーザーの信頼を確保するために実施しているセキュリティ対策について教えてください。
(B)クライアントの資産の安全性確保は当然最優先事項です。
Bybitでは全ての資金をコールドウォレットシステムに保管しています。
そのために出金手続きはそれぞれ手動で実行しており、すべてのトランザクションが漏れなく処理されていることを確認しています。
コールドウォレットシステムに加え、BybitではセキュリティパートナーとしてSlowmist社と提携しています。
Slowmist社はあらゆるレベルにおいて取引所セキュリティチェックの業界のリーダー的存在で、Binance、Huobiの他にもいくつかの大きな取引所と提携しています。
Bybitの全てのコードと出金手続きは、同社のグレーボックステストおよびペネトレーションテストを通過したものになっています。
(U)仮想通貨の世界は、2017年から2018年にかけて驚異的な成長を遂げましたが、Bybitでこの先何年も役立ちそうな教訓とは何ですか?
(B)仮想通貨市場は2017年に急成長を遂げましたが、2018年には勢いも失ってしまいました。
そのために多くのプレイヤーが業界を去ってしまい、今ではほとんどの人が傍観者として市場の様子を伺っています。
弱気な相場のおかげで、急いでBybitを発表する必要もなく、じっくりと構築に取り組めたことをかえってうれしく思っています。
ウォーレン・バフェット氏の言葉に「潮が引いたときにだけ、誰が裸で泳いでいるのかがわかる」というのがありますが、まさにその通りだと思っています。
AmazonやPaypalのような多くの優れた企業が弱気相場の中で生まれてきました。
弱気相場だったからこそ、これらの企業は理性を保つことができ、今日の巨大企業にまで成長できたのです。
Bybitはこれらの企業と同様、仮想通貨市場の相場に左右されることなく、取引所のあるべき姿を追求し続けていくつもりです。
(U)BitMexをライバルとして位置付けているようですが、ライバルに勝つための優位性などはあるのでしょうか?
(B)Bybitは全ての仮想通貨デリバティブトレーダーを取り込みたいと考えています。
そう考えた時、Bitmexは間違いなく一番の強敵です。
Bybitの優位性は以下の点であり、これを知ってもらえれば多くの仮想通貨デリバティブトレーダーにアピールできるはずと考えています。
- 注文の拒否や遅延のない高速執行
- どんなトラブルにでも迅速に対応できるライブサポート
- 最大100倍のレバレッジとネイティブコインを証拠金に使用できる取引
- 簡単に設定できる利食い、損切り、トレーディングストップ
- 流動性の高さと市場の深み
(U)BybitロードマップではEOSとXRPの無期限スワップ契約、それにモバイル取引がリリース予定ですが、これらのローンチで達成したい目標は何でしょう?
(※このインタビューは2019年3月に行われました)
(B)クライアントの声に耳を傾け、タイムリーに対応することが当社の一番のポイントです。
現在Bybitには、300を超える国々にクライアントがおり、EOSペアは主に中国のクライアントから、XRPペアは主に日本と韓国のクライアントからの要望に応えたものです。
Bybitはこれらの無期限スワップに関する最初の取引所になると考えており、開始後にはクライアントからのフィードバックもあるはずです。
非常に良いフィードバックをもらえるものと確信しており、楽しみです。
今後もBybitはクライアントの声に耳を傾けて、新商品を投入し続けていくつもりですので、楽しみにしておいてください。
(U)Bybitの2019年の目標で、一番大きな目標は何ですか?
(B)チームがより強くなり、多様な商品群を揃えることですね。
モバイル取引サイトは完成直前ですし(※2019年4月リリース)、新しい金融商品の開発も進んでいます。
今後もクライアントのニーズを把握し、新しい機能の構築と導入を続けていくつもりです。
(U)Bybitの最大の課題や障害は何だと思いますか? また、どのようにしてその課題に取り組んでいくつもりですか?
(B)誰もがご存知のように、仮想通貨市場を取り巻く環境は規制の変更や市場の変化もあって劇的に変わりつつあります。
これはBybitだけではなく、全ての仮想通貨取引所にとって最大の課題です。
変化に備え、行動し、対応できる体制を常に整えておかねばなりません。
Bybitは今後もお客様の声に耳を傾け、変化していく課題に備えていくつもりです。
(U)短期的や長期的観点で、仮想通貨市場についてのお考えをお聞かせください。
(B)私は専業トレーダーではありませんから、短期的なことについて語れることはあまりありませんが、長期的に見れば仮想通貨とブロックチェーン全般については100%楽観視しています。
だからこそ私たちはBybitを立ち上げたし、このフィールドを選んだのです。
※ニューヨークBybitチーム
(U)仮想通貨を今より大きく変化させたいと考えた場合、どんなことが必要だと思いますか?
(B)私なら多分、仮想通貨が大量導入できるよう、多くの人の意識を変えることに焦点を合わせていくと思います。
仮想通貨業界はまだまだ小さく、今直面している多くの問題を解決するためには、大量導入がカギになってくるでしょうね。
(U)話題は変わりますが、仮想通貨のこと以外で、一日頭をスッキリさせ、目標に集中するために何かやっていることはありますか?
(B)毎朝ジョギングをしたいと思っているのですが、出張が多くてなかなか実行できていません。
私の役職はCEOではなく、CTO(最高旅行責任者)のほうがふさわしいのではないでしょうか(笑)。
休みの日には家族と子供と一緒に過ごすことを優先していますが、Bybit設立の頃にはそんな時間すらありませんでした。
また、時間があれば私は野球をするのも好きなんですよ。
(U)貴重な時間をインタビューに割いていただき、ありがとうございました。
(B)楽しいインタビューをありがとうございます。
またお話できるのを楽しみにしています。