ブロックチェーン関連人材に光を照らしたコロナ危機
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- 2020.05.26.
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2019年の年末に中国武漢で発生したとされている新型コロナウイルスは、2020年に入ってから世界中に感染が広まっていきました。
感染拡大を封じ込めるためには街を封鎖するだけでなく、経済活動まで休止せざるを得ない国々がほとんどであったため、世界中の経済的損失は計り知れないものになっています。
新型コロナウイルスの影響によって、多くの企業は大打撃を受けました。
また収入が減った人や職を失った人も多く見受けられ、これらの人に対する経済的支援も多数打ち出されています。
このように多くの人々が新型コロナウイルスによって苦しい思いをしている中、急速に注目が高まっている職種・人材があります。
それがブロックチェーン関連の技術を持つ人材です。
そして仮想通貨・ブロックチェーン業界に、これら一流の技術を持つ人材が多く集まってきているとの報道がありました。
すなわち、このような人々を仮想通貨・ブロックチェーン業界が求めているということです。
これらの人にどれほどの注目が集まっているのでしょうか。
また、どうして注目が集まることになっているのでしょう。
この報道について、詳しくご説明しましょう。
一流の技術を持つ人が業界に集まってきている
海外でも人気の高い大手掲示板サイト「Reddit(レディット)」の共同設立者Alexis Ohanian(アレクシス・オハニアン)氏は、2020年5月23日にYahoo Financeのインタビューを受けました。
このインタビューの中でAlexis Ohanian氏は、近年になって急速にブロックチェーンに関する技術開発と製品開発が進んでいること、さらに非常に優秀な人材が集まってきていることなどから、期待を込めて「仮想通貨の春」につながると表現しています。
画像引用:Yahoo Finance
Alexis Ohanian氏はこのインタビューの冒頭、現在の仮想通貨を取り巻く環境が価格に及ぼす影響を説明しています。
まず新型コロナウイルスによって、米国では学校の閉鎖や在宅勤務を余儀なくされた3月16日以降に価格が上昇していること。
ビットコインが半減期を5月12日に迎えたために、これまで以上の多くの人から注目を集めたこと。
さらにフェイスブックのリブラプロジェクトなどでさらに注目が高まったことなど、これら全てが価格の上昇につながるだけでなく、「仮想通貨の春」をもたらしていることを述べています。
そしてAlexis Ohanian氏自身は仮想通貨の価格を追いかけることはしないし、自分には価格の予測もできないものの、「仮想通貨の春」については以下のように説明しています。
「私が言えることは、ブロックチェーンの上に実際のソリューションを構築する一流のエンジニア、製品開発者、設計者の観点から、現在暗号通貨の春が実際に見られるということです。そして、私にとってそれは最も興味深い部分です…インフラストラクチャ上に本当に一流の才能が築かれているのを見ています。」
引用:Yahoo Finance Google翻訳
世界経済フォーラムもコロナとブロックチェーンに言及
政治や経済だけでなく、学術や研究分野を含めたリーダーが連携して世界や地域、産業界における課題を明確にし、改善に取り組むことを目的に設立された国際機関である世界経済フォーラムにおいても、新型コロナウイルスを背景にしたブロックチェーンの必要性について言及しています。
画像引用:WORLD ECONOMIC FORUM
世界経済フォーラムのサイトでは、アラブ首長国連邦第四次産業革命センターのMariam Obaid Al Muhairi氏による「COVID-19がブロックチェーンのより広範な統合のために説得力のある理由を作る理由(Google翻訳)」と題した寄稿文を2020年5月8日に掲載しています。
Mariam Obaid Al Muhairi氏の寄稿文では、新型コロナウイルス禍であってもブロックチェーンを活用したからこそ成しえたこととして、世界中の国々に医薬品の出荷ができたことを挙げています。
さらにブロックチェーンによってスタートアップ企業は事業決済を容易に、しかも確実にできるようになったことを挙げています。
そして新型コロナウイルスによって医薬品以外の物資の供給がスムーズにいかず、サプライヤーも諦めてしまったことを挙げ、以下のように指摘しています。
今重要なことは、私たちが今強制的に学んでいる過酷な教訓を実践することにより、世界貿易ネットワークを再起動して再構築することです。
引用:WORLD ECONOMIC FORUM Google翻訳
Mariam Obaid Al Muhairi氏は再起動・再構築するためにもサプライチェーンを強化し、回復させなければならないが、それにはブロックチェーンの可視性やトレーサビリティ、相互運用性が重要になってくると述べています。
すなわち新型コロナウイルスが終息したとしても、今後の世界においてブロックチェーンは必要不可欠なものであると指摘しているわけです。
中国ではブロックチェーン技術者を公式認定
新型コロナウイルスは、既にブロックチェーン技術を推進している中国において、ブロックチェーン技術者を専門職として公式に認定させることにもつながりました。
これは中国政府の労働政策・規制を担当する部署である人力資源社会保障部が、2020年5月11日に公式発表したことで明らかになりました。
画像引用:人力資源社会保障部
中国においては2019年10月に習近平国家主席がブロックチェーンの推進を宣言しており、国を挙げてブロックチェーンの推進に取り組んでいましたが、これまでその技術者に対しては公式な専門職として認定していませんでした。
今回の公式発表によると、ブロックチェーン技術者は「ブロックチェーンエンジニアリング技術者」という公式名称になっています。
この職業に含まれる仕事内容としては、アーキテクチャの設計、アプリ開発、技術コンサルなどが例として挙げられています。
他に新しく公式職業として認定されたものには、3D印刷オペレーターや核酸検査、情報セキュリティテスターなどがあります。
なお、今回の公式認定の背景にはやはり新型コロナウイルスの感染拡大があり、今後の流行の防止と管理に活用したいこと。
さらに新型コロナウイルスによって失われた雇用を促進する意味合いもあると述べられています。
すなわちブロックチェーンを推進している中国であっても、ブロックチェーン技術者は公式な職業として認められていなかったものの、新型コロナウイルスによる被害によってその重要性を再認識したということになります。
まとめ
多くの国や機関などはブロックチェーン技術の重要さを理解していたはずです。
しかしそれを現実のものとして実現させるためには、それなりのエネルギーやコストもかかるでしょう。
ブロックチェーンの開発は進めていたものの、「より便利にするため」程度にしか考えていなかったのではないでしょうか。
それが、ブロックチェーンが「どうしても必要」、「ブロックチェーンでしか解決できない」という認識になったからこそ、ブロックチェーン関連分野の技術を持った人材にスポットライトが当たっているのでしょう。
そしてそのように考えるに至ったのが、皮肉にも新型コロナウイルスだったというわけです。
この考えに至るまでに、人類は非常に大きな代償を払わなければなりませんでした。
しかし代償が大きかった分、必ずブロックチェーンを世の中に定着させ、稼働させていく必要があるはずです。
そしてそれができた時、ブロックチェーン技術が使われている仮想通貨も世の中に定着し、多くの人々から信頼を得ていくことができるのかもしれません。
一日も早くそんな日が来て欲しいものです。