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仮想通貨リブラの方針転換と取り巻く環境

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  • 2020.04.18.

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新型コロナウイルスの感染が世界中に広まった以降は、世の中の注目が新型コロナウイルスに集中していることも影響し、仮想通貨関連のニュースなどでもそれに起因したものばかりになってしまいました。

そのため2019年に大きな話題となったことすらも忘れ去られがちですが、実は2019年に仮想通貨の世界で大きな話題になったものとしてフェイスブックの仮想通貨リブラがあります。

 

仮想通貨リブラはホワイトペーパーが発表された直後から注目を集めましたが、多くの金融当局などからの反発を招いただけでなく、リブラ協会から離脱する企業もあらわれる事態に陥っていました。

 

しかしその後、フェイスブックがリブラプロジェクトを見直す動きがあるとのニュースも届いており、このことは2020年3月6日のニュース記事「フェイスブックがリブラプロジェクトを見直しか?」でもお伝えしました。

 

その後リブラをどのように見直すのか、具体的な方針が明らかになったとの報道がありました。

明らかになった今後の方針内容と、リブラを取り巻く環境は現在どうなっているのかについてもご説明しましょう。

 

フェイスブックが方針転換を認める

フェイスブックが、自身で仮想通貨リブラをこれまでの方針から転換したことを認めたのが、REUTERSによって2020年4月16日に報道されました。

REUTERS

画像引用:REUTERS

 

REUTERS の「FacebookのLibra暗号通貨は反発に対応して刷新されます(Google翻訳)」と題した報道によると、仮想通貨リブラプロジェクトを推進しているフェイスブックの子会社であるCalibra社のDavid Marcus氏が、これまでの複数法定通貨の裏付けがあるステーブルコイン以外にも、1種類の法定通貨を対象にしたステーブルコインも開発することを認めたとしています。

 

ホワイトペーパーを変更

REUTERSの報道だけでなく、フェイスブックはリブラのホワイトペーパーを変更する旨を、カバーレターでも発表しています。

カバーレターによると、その変更点は以下の4つと説明されています。

 

  1. 複数通貨のコインに加えて単一通貨の安定したコインを提供する。
  2. 堅牢なコンプライアンスフレームワークによるリブラ決済システムの安全性の向上
  3. 主要な経済的特性を維持しながら、無許可システムへの将来の移行を断念
  4. リブラ保護区の設計に強力な保護を組み込む

引用:LibraWhitePaperV2 Google翻訳

 

さらに、以下の内容も記述されています。

 

私たちは≋Libraに加えて、単一通貨のステーブルコインを含めることにより、Libraネットワークを拡張します。

最初は、提案された≋LBRバスケットの通貨の一部(例:LibraUSDまたは≋USD、LibraEURまたは≋EUR、LibraGBPまたは≋GBP、 LibraSGDまたは≋SGD)から始めます。

(中略)

ネットワークが幅広い国内のユースケースをサポートできるようになり、中央銀行のデジタル通貨(CBDC)が利用可能になったときにシームレスに統合するための明確な道筋が提供されるという追加の利点があります。

引用:LibraWhitePaperV2 Google翻訳

 

ステーブルコインのありかた

これらのことから分かるように、フェイスブックは従来までの複数の法定通貨とペッグするリブラに加え、単一の法定通貨にペッグしたステーブルコインの発行を視野に入れていることが分かります。

 

さらに、今後中央銀行が発行するCBDCが発行された時には、それらとも連携する可能性を模索していることが読み取れます。

 

金融規制当局などからの批判に対する配慮

リブラがこれまでに多くの金融規制当局から反発されてきたのは、これまでフェイスブックが個人情報の漏洩などを何度も起こしており、信頼されていないことが根底にあります。

そのため、コンプライアンスの徹底や、安全性の向上などが方針として記述されています。

 

しかし具体的にどうやってこれらを実施していくのかは記述されておらず、このカバーレターからは読み取ることができません。

 

FSBがグローバルステーブルコインの危険性警告

フェイスブックが仮想通貨リブラをこれまでの方針から転換したことを発表する数日前の2020年4月14日、FSB(金融安定理事会、Financial Stability Boardの略)が「『グローバルステーブルコイン』の取り決めによって引き起こされる規制、監督、監視の課題に対処する(Google翻訳)」と題した報告書を発表しています。

 

なおFSBとは金融システムを監視する機能をより強化するため、2009年に設立された組織で、国際決済銀行に事務局があります。

FSBに参加しているのは世界の主要国および地域の中央銀行や金融監督当局などで、日本では金融庁や財務省、日本銀行が参加しています。

FSB

画像引用:FSB

 

FSBは報告書内で、ステーブルコインの活動自体は規制によって制限されているものの、実際に用いられているメカニズムなどは大規模利用を視野に入れたテストなどがおこなわれておらず、一般ユーザーが決済などで使いだした時に脆弱性が出てくる危険性と、大きな経済的混乱を引き起こす可能性があると指摘しています。

 

つまりFSBは各国の規制当局に対し、ステーブルコインを決済に導入することは、現時点で危険であると警告したわけです。

 

リブラを想起する警告内容も記載

この報告書内では、グローバルステーブルコインに関しての記述もあります。

その幾つかをピックアップすると以下のようなものがあります。

 

グローバルステーブルコインを導入するためには、大きな資金が出入りすることになるため、インフラ能力として大量な取引件数をこなせるのかという点だけでなく、広い範囲に及ぶ処理をこなせるのかということが重要である旨を指摘しています。

 

グローバルステーブルコインのリスクに対処するには、その脆弱性と規制に関して抜け穴がないかを確認する必要があり、そのためには規制当局がどこまでの権限を持つのかをはっきりさせるとともに、権限のギャップを無くす必要があることも指摘しています。

 

これら以外にも、フェイスブックが仮想通貨リブラのホワイトペーパーを発表した当初から懸念されていた内容にも触れられています。

特に、発展途上国の法定通貨がグローバルステーブルコインに取って代わられることになれば、その国はグローバルステーブルコインを発行・運営する機関によって大きな影響を受ける危険性があるというものです。

 

報告書ではリブラの名前は記述されていないものの、これらの警告内容は仮想通貨リブラやフェイスブックを想起するのに十分な内容といえます。

 

厳しい仮想通貨リブラを取り囲む環境

前述したように、フェイスブックはリブラの方針転換を発表しましたが、FSBが発表した警告の内容とは若干のズレがあります。

 

またFSBが問題にしている内容をフェイスブックがクリアするのかどうかを証明することは非常に難しく、過去にフェイスブックで起きていた数々の個人情報漏洩問題も影響している感は否めません。

 

つまりフェイスブックやリブラを取り囲む環境は、今後も非常に厳しいものであることが予想されるということになります。

 

まとめ

フェイスブックが仮想通貨リブラを大きく方向転換したことの内容に加え、FSBがグローバルステーブルコインやステーブルコインの導入に対して警告を発していたことについてもご説明しました。

 

フェイスブックは新たな方針として、これまでとは異なるステーブルコインの発行を打ち出しましたが、従来のリブラの構想を断念したわけではありません。

金融規制当局などからの反発から逃れるため、打開策として新たなステーブルコイン構想を打ち出したにすぎないわけです。

 

フェイスブックが打ち出した新たなリブラ構想は、金融規制当局などからどのような評価を受けるのでしょうか。

今後の成り行きに注目しましょう。

 

海外の仮想通貨デリバディブ取引は、高水準のリスクを伴う投資であり、全ての投資家に適した投資ではありません。海外の高倍率のレバレッジは少額の資金で証拠金を上回る取引を行うことができますが、仮想通貨は急激な価格変動も多く、短期間に利益を出せる一方で、証拠金の大部分や全てを失ったり、取引額が証拠金を上回っていれば、証拠金額等を超える損失が発生するケースもございます。損失に耐えられない資金投資はするべきではなく、海外業者で仮想通貨FX取引を始めるにあたっては、投資目的やご自身の経験、リスクの許容範囲などを含めて慎重にご検討し、取引内容を十分にご理解いただいた上で、ご自身の責任と判断において取引を行ってください。

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