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米が仮想通貨リブラに対して軟化姿勢にシフト?

  • 仮想通貨関連
  • 2019.12.12.

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  • 米が仮想通貨リブラに対して軟化姿勢にシフト?

フェイスブックが計画している仮想通貨リブラは世界中から非難を浴びていますが、その中でも米はこれまで特に強い反発を示していました。

また米のムニューシン財務長官の反発は非常に厳しく、リブラ側としても取り付く島もないほど厳しい姿勢で非難していました。

 

ところがここにきて、ムニューシン米財務長官の姿勢に変化が表れてきており、規制を守ることの重要性は説くものの、リブラを認めることを匂わす発言も出てきています。

 

このニュースについての詳細に加え、米財務長官の姿勢に変化が出てきた背景についてもご紹介しましょう。

 

米財務長官がリブラに対して軟化

米のムニューシン財務長官が2019年12月5日に開催された米下院金融サービス委員会公聴会において、米のデジタル通貨発行は今後5年間は必要ないことに加えて、フェイスブックの仮想通貨リブラが一定の条件を満たすのであれば発行しても良いと思うと発言していました。

bitcoinexchangeguide

画像引用:bitcoinexchangeguide

 

米のデジタル通貨発行に関して

ムニューシン米財務長官の米デジタル通貨に関する発言は、2019年12月7日のニュース記事「米と欧州とのデジタル通貨に対する取り組み姿勢の落差」内でもご紹介しましたが、FRBのパウエル議長と話し合ったうえでの結論として、5年間は発行する必要がないと述べています。

 

仮想通貨リブラに対する発言

ムニューシン米財務長官は仮想通貨リブラに対して、以下のように発言しています。

 

“I’m fine if Facebook wants to create a digital currency, but they need to be fully compliant with bank secrecy and anti-money laundering rules. In no way can this be used for terrorist financing.”

引用:bitcoinexchangeguide

 

上記の冒頭の言葉である「I’m fine」という表現は、「大丈夫です」とか「私は良いと思う」という意味になります。

つまり全体を訳してみると、「フェイスブックがデジタル通貨を発行しても私は良いと思う。ただし銀行の秘密を守り、マネーロンダリング防止ルールに完全に準拠する必要がある。これがテロ資金に決して使われてはならない。」と、ルールに準拠さえすれば認めると発言しているわけです。

 

この発言は、過去にムニューシン米財務長官がリブラに対して発言した内容から、大きく態度を軟化させたものになっています。

 

過去の米のリブラに対する発言

ではムニューシン米財務長官をはじめとする米の行政関係者は、過去に仮想通貨リブラに対してどのような発言をしていたのか、いくつか例を挙げてみましょう。

 

2019年7月15日にホワイトハウスで会見をおこなったムニューシン米財務長官は、リブラだけでなく他の仮想通貨も含めて、マネーロンダリングや不正行為が起こる危険性が高く、国の安全保障に対する深刻な影響を懸念していると述べています。

 

2019年7月10日に開催された米下院金融委員会の公聴会で、FRBのパウエル議長は仮想通貨リブラについてプライバシー問題やマネーロンダリング問題、そして消費者保護と金融安定化などについて深刻な懸念があると発言しています。

そのうえで、フェイスブックはリブラ計画を進めるよりも、これらの懸念にしっかりと対応すべきであるとも述べていました。

 

パウエル議長が米下院公聴会でリブラを批判した翌日の2019年7月11日には、米のトランプ大統領がTwitterで「仮想通貨リブラには地位や信頼性がなく、フェイスブックが銀行になりたいのなら新しい銀行憲章を求め、他の銀行と同様の規制の対象にならなければならない」と書き込んでいます。

Donald J. Trump Twitter

画像引用:Donald J. Trump Twitter

 

これらを見る限り、米政府の行政関係者はフェイスブックの仮想通貨リブラに対して何ら信頼しておらず、厳しい言葉だけを投げかけていることが分かります。

しかも厳しい言葉の中には、これまで何度も個人情報を流出させてきたフェイスブックに対する批判も込められています。

 

ではこれらのように厳しい意見を投げかけていたリブラに対する姿勢が、ここにきて軟化し始めたのはどういう理由なのでしょう。

何の理由もなく姿勢が軟化するとは考えられません。

 

後れを取っている米のデジタル通貨発行

FRBは米下院のフレンチ・ヒル議員からデジタル通貨に関する質問状を送られており、それに対してデジタル通貨を発行するメリットや開発に掛かるコストを検討していると回答しています。

また、米国の事情から考えてデジタル通貨にどんなメリットがあるのか、他国の中央銀行の活動を観察しているとも答えています。

 

これはつまり、他国の中央銀行の動きを見定めようとしているものの、現在はまだコストなどを下調べしている段階で、開発には着手していないということです。

言い換えると、他国がデジタル通貨を発行するのであれば、発行せざるを得なくなると考えているとも理解できます。

 

しかし米はデジタル通貨に関して、最も強力なライバルである中国に後れを取っているのは明白です。

中国は2020年初めにもデジタル人民元を発行するといわれています。

そして中国がデジタル通貨を発行する狙いは、自国民のコントロールだけでなく、世界の基軸通貨である米ドルの牙城を切り崩していくことです。

 

デジタル人民元が来年にでも発行され、米のデジタル通貨がその数年後に発行されたとすると、世界における米ドルの地位が脅かされることを米の行政関係者は分かっているはずです。

 

しかしデジタル通貨は簡単に発行できるようなものではありません。

しかも米にはSNSが世界中で利用されているフェイスブックという企業があり、仮想通貨リブラを発行したがっている。

これを利用しない手はないでしょう。

 

トランプ大統領の心変わり

仮想通貨リブラには、銀行のサービスを受けることができない貧困層や銀行がない地域に居住する人々が、金融サービスを受けることができるという大きなメリットが存在しています。

これは紛れもない事実でしょう。

しかし、個人情報保護やマネーロンダリング、テロ支援資金供与などに懸念があることも事実であり、なおかつ現時点でこれらの懸念は払しょくされていません。

 

その一方でムニューシン米財務長官は、これまでに何度もフェイスブック側と規制問題について協議を重ねていることや、これまでの協議では進展が遅いことを語っています。

協議の回数は十数回にわたるとのことですから、ムニューシン米財務長官は何とか形にしたいというのが本音なのかもしれません。

 

そしてもうひとつ注目すべきことがあります。

それはトランプ大統領とメラニア夫人が、ホワイトハウスでの夕食会にフェイスブックのMark Zuckerberg氏を招いたというニュースです。

このニュースはフェイスブック側がNBCにリークしたようです。

NBC NEWS Mark Zuckerberg氏がホワイトハウスで夕食会

画像引用:NBC NEWS

 

この夕食会にはMark Zuckerberg氏だけでなく、PayPalの創業者でありトランプ大統領に資金供与しているPeter Thiel氏が同席したと伝えられています。

なおPeter Thiel氏はフェイスブックの取締役でもあります。

 

この夕食会の目的やどんな話がされたのかは明らかにされていませんが、おそらくMark Zuckerberg氏は、トランプ大統領に直接リブラのメリットなどを説明したと考えるのが妥当でしょう。

 

つまりトランプ大統領がMark Zuckerberg氏の話す仮想通貨リブラのメリットに心を動かされた可能性があり、これまでの拒絶姿勢から軟化した理由のひとつになっている可能性があるのです。

 

まとめ

米国が仮想通貨リブラに対して強く批判していた姿勢から軟化してきていることについて、その詳細や背景などをご説明しました。

 

今後米のリブラに対する規制がどうなっていくのか、またリブラが発行されるならばいつになるのか、全く予想することはできませんが、明らかに以前とは状況が変化しつつあります。

 

しかも米では2020年11月3日に大統領選挙がおこなわれます。

トランプ大統領が再選できるかどうかもリブラの今後に影響してくるでしょうし、もしトランプ大統領が落選した場合、次期大統領がリブラをどう扱うのかも全く予想できません。

 

仮想通貨リブラが発行されるまでには、まだまだ山あり谷ありなのかもしれません。

 

海外の仮想通貨デリバディブ取引は、高水準のリスクを伴う投資であり、全ての投資家に適した投資ではありません。海外の高倍率のレバレッジは少額の資金で証拠金を上回る取引を行うことができますが、仮想通貨は急激な価格変動も多く、短期間に利益を出せる一方で、証拠金の大部分や全てを失ったり、取引額が証拠金を上回っていれば、証拠金額等を超える損失が発生するケースもございます。損失に耐えられない資金投資はするべきではなく、海外業者で仮想通貨FX取引を始めるにあたっては、投資目的やご自身の経験、リスクの許容範囲などを含めて慎重にご検討し、取引内容を十分にご理解いただいた上で、ご自身の責任と判断において取引を行ってください。

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