ECB総裁がリブラに懸念を表明
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- 2019.12.24.
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2019年の仮想通貨に関する話題の中で最も大きな話題だったのが、フェイスブックの仮想通貨リブラでしょう。
リブラはホワイトペーパー発表後から批判の声が大きかったですが、2019年の年末になってもその声は止むことはないようです。
しかも今回は、仮想通貨に肯定的な発言をし続けていたECBの新総裁であるクリスティーヌ・ラガルド氏からのものです。
加えてフェイスブックにとって重要なタイミングであるにもかかわらず、またもやフェイスブックから漏洩した個人情報がオンライン上で公開されていたことや、利用者が自分の現在位置を特定されないように設定しても、特定されてしまうことが報道されています。
ますます苦しい立場に追い込まれたフェイスブックとリブラに関するこれらのニュースについて、詳しくご説明しましょう。
ラガルド総裁のリブラへの懸念が発覚
IMF(国際通貨基金)の元専務理事で、2019年11月1日からECB(欧州中央銀行)の新総裁に就任したクリスティーヌ・ラガルド氏が、2019年12月2日に開催された欧州議会のECON委員会において懸念を示していたことが、EU議員宛の書簡から判明しました。
画像引用:ECB
クリスティーヌ・ラガルド総裁の書簡では、大きく分けてふたつの意見が記述されています。
ひとつは仮想通貨リブラに対するもので、もうひとつがステーブルコインに関してです。
フェイスブックの仮想通貨リブラに対する懸念
リブラに対する懸念とは、フェイスブックは自分たちのソーシャルメディアをリブラの宣伝や波及に活用することができるという点です。
ロックイン効果が発生したり、プラットフォームから他のサービスプロバイダーや支払い方法をブロックしたりして、独自のソリューションの使用を促進することで、平等な分野に影響を及ぼす可能性があります。
引用:ECB Google翻訳
つまり既に膨大な利用者がいるソーシャルメディアFacebookでリブラの宣伝をすると、公平性を保つことができず、ロックイン効果だけでなく、他の仮想通貨や支払い方法をブロックすることができ、リブラだけを使えるように仕向けて行くことができると指摘しているわけです。
ロックイン効果とは経済学の用語です。
一般消費者が何かを購入した際に、その商品の買い替え時にもまた同じメーカーの商品を購入するようになり、消費者との関係が維持されることを指します。
すなわち一度リブラを使うように仕向けられると、次からもリブラを使うようになる効果があるということです。
ラガルド総裁は、フェイスブックにはリブラの利用を拡大・定着させるためにこのような戦略をとることができるため、公平な競争にならない可能性があることを懸念しています。
リスクを見極める必要性
ラガルド総裁の指摘は運用に際しても言及しており、規制当局があらゆる危険性を見極めることができるようになるまでリブラを含めたグローバルステーブルコインの運用開始は控えるべきだとしています。
またこれらの過程においても、世界の国々の参加・協力が必要だとも述べています。
ステーブルコインについても言及
ラガルド総裁はステーブルコインの利点を認めながらも、問題点も指摘しています。
ステーブルコインの利点として挙げているのは、現在の国際的決済システムの欠点をカバーできるだけでなく、後進国などで経済的理由から銀行口座を持つことができない人々に経済的な参加を促すことができること。
そしてより安くて効率的な支払い方法が選択肢に加わる点などです。
しかし、問題点として以下のことを指摘しています。
ステーブルコインは「安定性」とコインの持ち高をいつでも法定通貨に戻す可能性を約束しますが、ステーブルコインの価値は、ガバナンスとリスク管理、および原資産またはファンドポートフォリオの価値に大きく依存します。
(中略)
この点で、「安定コイン」という用語は誤った呼び名です。
ステーブルコインのユーザーには、損失が発生する可能性があり、預金保証制度や中央銀行の最後の貸し手としての役割を含む従来の金融安定ネットではカバーされないことは明らかです。
引用:ECB Google翻訳
つまり、ステーブルコインは安定性を売り言葉にして価格の安定を約束しているが、それは運営母体の資産と統治に依存している。
そのため損失が発生してしまうリスクを含んでいることに加え、従来の金融安定システムのように、預金保護制度や中央銀行が保証しているわけではないとしています。
これらのことがあるにもかかわらず、安定コインと呼ぶのは間違っていると指摘しています。
仮想通貨に肯定的なラガルド氏
ラガルド総裁は、IMF在職中の頃から仮想通貨に対して肯定的な発言を繰り返していました。
その発言のいくつかを紹介します。
金融テクノロジーによる破壊が起こりつつある現在においては、仮想通貨を無視してはいけない。
仮想資産は貯蓄や投資だけでなく支払い方法にも影響を及ぼす可能性があり、キャッシュレス化が進む現在では検討する価値はある。
ブロックチェーン技術を活用した仮想通貨は、これまでの金融システムにとって破壊的改革であるにもかかわらず、規制当局や中央銀行から銀行のビジネスモデルを変えることに対して肯定的な意見が出るのは興味深い。
ラガルド総裁は過去に上記のような発言をしています。
姿勢として仮想通貨を肯定的にとらえていることが分かるでしょう。
そのラガルド総裁が仮想通貨リブラやステーブルコインに対して否定的な意見を述べていたことは、フェイスブック関係者や他のステーブルコイン運営者にとって非常に大きな衝撃になるはずです。
12月にFacebook利用者情報がオンラインで公開
フェイスブックと仮想通貨リブラがこのような状況にある中、2019年12月19日、オンライン上で2億6700万人以上のFacebook利用者の名前や電話番号、IDがデータベースとして公開されていたことを、フェイスブック側が発表しました。
現在、フェイスブックはこのことに関して調査を開始しているようです。
このデータベースが、オンライン上のハッカーフォーラムでダウンロードできるようになっていた期間はおよそ2週間でしたが、誰でもアクセスできる状態で公開されていました。
なお現在は削除されているとのことです。
フェイスブック側はこのデータベースに関して、個人情報保護強化対策をとる数年前に入手された可能性が高いとコメントしています。
Facebookでオプトアウトしても居場所特定
利用者情報がオンライン上で公開されただけではありません。
Facebookの利用者が自分の位置情報サービスを認めない、すなわちオプトアウトをしたとしても、現在地を特定することができる方法があることをフェイスブックが認めました。
これは米上院議員からの情報開示請求に応じて分かったもので、撮影した写真のタグやチェックイン機能などを使えば、フェイスブックには自分の位置情報を把握することができるとのことです。
このことに対して、共和党のジョシュ・ホーリー上院議員は以下のようにTwitterに書き込んでいます。
Facebookは認めています。 「位置情報サービス」をオフにすると、(広告を送信することで)収益を得るために現在地を追跡します。 オプトアウトはありません。 個人情報を管理できません。 それがビッグテックです。 それが議会が行動を起こす必要がある理由です。
引用:Josh Hawley Twitter Google翻訳
画像引用:Josh Hawley Twitter
まとめ
仮想通貨に理解を示していたECB総裁が、フェイスブックのリブラに対して懸念を示していた報道に関連して、個人情報がオンライン上で公開されていたことや位置情報のオプトアウトが実質的にできないことをご説明しました。
リブラは確かに画期的な考え方なのでしょうが、最も注意すべき個人情報の扱いがずさん過ぎることは大きな問題です。
しかもこの問題が起きてしまうタイミングが悪すぎます。
ラガルド総裁と同じように、守るべき点はしっかりと守って欲しいと考える人が増えたとしても不思議ではないでしょう。
私たちも、今後フェイスブックがどのように対応していくのか見極める必要がありそうです。