仮想通貨FXチャート分析の手法30【ダウ理論】
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マーケットにはどのような商品でもチャート分析というのは存在します。
もちろんプロダクトによって特徴はありますが、テクニカル分析においては共通していることが多く、仮想通貨においても、同様のことが言えるでしょう。
また仮想通貨は外国為替や現物株等ファンダメンタルズと呼ばれるようなものはなく、
「どこかの取引所で仮想通貨が上場する」とか、
「米国でETFが承認される見通し」とかのニュースくらいしか反応しないマーケットです。
伝統的な外国為替の世界では「金利」という概念が存在するため、金利の行方を中央銀行の高官のコメントから推測したり、毎月様々に発表されている経済指標をベースに各国の景気動向を予測し、その予測したものが相場に反映されるものですが、仮想通貨がそのようなものがないと言えるでしょう。
需給のみで動いているマーケットであるためある意味商品相場と同様とみなしている投資家も多いようです。
仮想通貨の位置付けというのはまだ定まってはいませんが今後の立ち位置というのはリスク回避通貨というものなのか、リスクアセットとして認識されるのか変わってくる状況です。
もちろんそのような立ち位置が決まっていないものでもテクニカル分析については機能するものです。
仮想通貨FX入門ではそのテクニカル分析や投資の基本となる知識をまとめています。
ここでは相場の動き方の基礎である「ダウ理論」についてご紹介したいと思います。
ダウ理論は相場の動き方の基本的な知識のため頭に入れておいて損はないでしょう。
ダウ理論とは
ダウ理論とは何か
ダウ理論は19世紀後半アメリカのチャールズ・ダウという人物が考案した株価の値動きの特徴をロジックに基づいて説明した理論です。
大分昔に誕生した理論のため少し、古い印象を受けるかもしれませんが、相場を動かしているのは人間であり、その心理的側面というのはいつの時代も同じになります。
ダウ理論の基本的な考え方はテクニカル分析になります。
全ての動いている相場関連の価格の動きは、その価格に全て材料となるものは織り込まれて推移しているという考え方がベースとなります。
つまり価格には織り込まれていない事象はなく、その価格は全ての事象をプライスインしていると考えるものです。
ダウ理論というのは6つのものから定義づけされています。
重要な項目であるため1つ1つご紹介したいと思います。
1、平均はすべての事象を織り込む
まず「平均」とは何を表しているのかをご説明します。
「平均」というのは「チャート上で動いているレート」ということをダウ理論では示しています。
この言葉を伝えても一体何を指しているのか理解がしにくいと思いますが、ここで示しているのは、通常外国為替や株の場合は冒頭で記載した「ファンダメンタルズ」と呼ばれる変動要因tなるようなニュースやイベントが発生します。
しかし相場の世界ではそのイベントやニュースのインパクトがどの程度価格に織り込まれているのか?ということを予想しながら取引をしています。
ここがファンダメンタルズ分析と呼ばれるものに当たりますが、ダウ理論では、このファンダメンタルズ分析で考えるべき、折り込み度合いは排除して、全て価格には織り込まれているということを前提に考えてテクニカル分析を行うということになります。
ダウ理論でこのように考えられているのは、見えていないものを予想するのは不可能であり、見えている価格の値動きから予測する方が効率的ということを表しています。
賛否両論ありますが、これがダウ理論の考え方の1つです。
2、トレンドには3種類ある
次に「トレンドには3種類ある」というものがダウ理論には存在します。
ダウ理論で表している「トレンド」の3種類の意味は
①短期的トレンド、方向性
②中期的トレンド、方向性
③長期的トレンド、方向性
この3つに分別されます。
なぜこれが大事かというと、チャートで時間軸を変更してテクニカル分析を行った時に、日足では上昇トレンドを継続しているものの、60分足にすると下落トレンドに転じつつあるということが多々あります。
そして5分足にすると完全に下落トレンドになっていたりするため、現在目の前で見ている価格というのはそれぞれの時間軸でどの位置に位置しており方向性はどちらなのかということを把握するために行うことが必要ということを説いているものです。
取引を行う機関によってテクニカル分析を行う時間軸も変化することと思いますが、それぞれどの位置にいる状態の中で、どの機関で取引をするのかというのは把握しておかないといけません。
3、主要トレンドは3段階ある
ダウ理論ではトレンドは3段階あると言われています。その3段階とは下記の通りです。
- ①先行期
②追随期
③利食い期
それぞれの意味を解説します。
まず①の先行期というのは、一番反応の早い投資家がこれから向かうと考えている方向性にポジションを持つことで、もちろんこの先行期というタイミングで仕掛けるということはそれなりに騙しの動きも多いということ理解しましょう。
②の追随期はある程度トレンドが変わったと判断できるような動きになってきたタイミングで仕掛けていくタイミングを表しています。
③の利食い期は①の先行期に仕掛けた投資家が利食いをするタイミングと同時に、完全にトレンドが変わったと判断できることから出遅れていた投資家が遅れて参入するタイミングと言われています。
しかし③はほぼトレンドが終了したタイミングと言え、基本的には遅きに失する場合が多いことを表しているため、①の先行期か②追随期でなんとか仕掛けることができるようなテクニカル分析を心がけましょう。
4、平均は相互に確認される必要がある
平均、つまりすでにファンダメンタルズのニュースは全て織り込まれている中で、利用している複数のテクニカル指標が同じ方向を示すまでトレンドとは言えないということを表しています。
例えば移動平均線を1本だけ利用していて、その移動平均線が下向きになったからトレンドは下落に転換したという安易な発想はやめてくださいということです。
そして複数のテクニカル指標を利用していたとしても、自分が取引している時間軸をチェックして、どのようなサインが出ているのか、そのサインは時間軸をずらすとどう変化するのかというところも勘案して分析することを示しています。
いくつかの時間軸で同様のトレンドのサインが出ていれば、トレンドと見做すことはできますが、そのサインが1つの時間軸しか出ていないと、強力なものとは言い難く、そのサインを信じて取引をしていいのか迷うところでしょう。
5、トレンドは出来高でも確認されなければならない
ダウ理論は価格の変化に焦点を当てて、理論が展開されているようにも見えますが、実はもう1つ重要な材料があります。
それは「出来高」です。
やはり価格の値動きをチャートで見た際に大きく動いているようにも見えますが、実際は取引高がとても少なくたまたま高い位置や低い位置で取引が成立した動きもプライスインされています。
つまりトレンドが転換したと判断するには価格の動きに併せて出来高の増加も確認すべきということを示しています。
外国為替のFXとかは一部を除き相対取引であるため、出来高というものはチェックできませんが、仮想通貨は取引所がメインであることから出来高が公表されているケースが多く、チャートでも出来高表示可能な取引所は多いです。
これは外国為替のFXと比較しても仮想通貨が有利なポイントでもあるため出来高分析は必ず行うようにしましょう。
出来高からトレンドを探るということは株の世界でも基本であるため、仮想通貨のチャートにも出来高は表示してテクニカル分析を行いましょう。
特に急激に売買が増加する動きが多いのが仮想通貨です。
しかし出来高が少なくても価格が大きく変動してしまうのも仮想通貨であるため、この際に出来高を見て、急激な動きの賞味期限というものを判断すると効率的な取引ができるかもしれませんので是非試してみてください。
6、トレンドは明確な転換シグナルが発生するまで継続する
考案したダウ氏はトレンドが一度発生すると、明確なトレンド転換のシグナルが発生するまでは継続するということを説いています。
これは言い換えると、トレンドが一度発生すると相当なことがない限り一定期間は継続するから素直についていきなさいということを伝えるメッセージなのかもしれません。
ダウ理論は基本的にトレンドフォローで利益を出すための理論といえ、逆張り投資家のようなトレンドに逆らった取引では継続的に利益を出し続けるのは難しいということを表しています。
この明確なトレンド転換のシグナルというのはトレーダーがそれぞれトレンドの判断で使用しているもので異なってきますが、④の定義を重ねて考えると、理解しやすいかもしれません。
また利益確定のタイミングにも実は言及しており、明確にトレンド転換のサインが出るまでは感情のままに利益確定は行うなということも示しているため、利益を極大化するための格言とも言えるでしょう。
ダウ理論は相場の基礎知識
ここまでダウ理論の重要な6ポイントに付いて解説しました。
ご覧頂くとわかる通り、テクニカル分析をベースに作られた理論であるため、仮想通貨でも重要な理論と言えるでしょう。
もちろんシグナルやテクニカル指標に何を使うかは人それぞれ異なりますので、シグナルが出るタイミングというのも異なってきます。
このテクニカル指標に何を使うべきか悩んだ際は仮想通貨FX入門のコラムで色々特集しておりますので自身に合ったテクニカル手法や、インディケーターを見つけてもらえばと思います。
ダウ理論は初心者に親しみやすく、チャート分析を行うことに慣れてくると、6つのポイントがとても理解しやすいため、まずはテクニカル分析を行いながらダウ理論を意識してみてください。
意識することで新たな発見が生まれることでしょう。