仮想通貨が上昇する理由とは?
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足元仮想通貨の上昇が急激に強まっています。
4月(2019年)と比較してすでに価格は2倍以上となっており、2ヶ月で100%の上昇率を見せている仮想通貨のマーケットですが、背景としてはどのようなものがあるのでしょうか。
色々要因は言われていますのでその理由を1つ1つご紹介したいと思います。
ビットコイン上昇の背景は?
1.レンジブレイクによるストップロス発動
まず昨年末の3000ドル付近まで下落した際大きなポイントであった4000ドルを割れたことで一旦ロングポジションのストップロスが発生し、大きく下落する動きとなりました。
その後下落方向を見る動きが強くなるものの底堅く推移しており、1月から4月まで3ヶ月間ボラティリティが低下した動きが続いています。
4300ドル付近に上値の抵抗線があり何度も叩かれており、逆に下は3000ドル前半でロングポジションを構築する動きも出ていたことから、両サイドどちらにも方向感が出ませんでした。
しかし4300ドルを突破したタイミングで一気に相場が動き始めます。
まずは昨年の大きなトレンドについていっているトレンドフォロワーのショートポジション、そして急落後戻り売りを仕掛けたショートポジションが溜まっており、その最初のストップロスの注文が溜まっているラインが4300ドル越えにあったため、相場が一気に動きました。
そこからの上昇トレンドも、それまでショートポジションを持っていた投資家のギブアップ的な売りが継続したことから上昇圧力に起因したと強く考えられます。
2.米中貿易戦争からのEM通過売りビットコイン買い
これは時期によって相関係数が高まったり低下したりするため一概に言えませんが、一般的に言われている理由です。
教科書的に言うと、最大の発行量が確定しているビットコインは、ある意味リスク回避時に選好される金や銀等コモディティと似ていると言われており、リスク回避時には買われやすいと言われてます。
特に今回米国が中国に急遽追加関税を発動するというニュースが出た後、株が急落、為替は円高に動く局面でビットコインは上昇しました。
これは理由として複雑なのですが、米中貿易摩擦は先進国の契機に悪影響なのは周知の事実です。
そして新興国の成長は先進国の景気に影響を受けざる得ないため、このようなことが起きると、金利の高い新興国通貨が売られ、リスク回避資産と呼ばれる円や、債券が買われます。
そしてビットコインも今回はリスク回避資産として使われていたと言えるでしょう。
また自国通貨を信用していない新興国というのは実は多いのが現状です。
一例としてはトルコの国民は給料を全て別の資産に変えている動きが現地で起きています。
それはトルコリラで保有していても年々下落しているため、トルコリラで持つよりは米ドルや他の通貨で資産を防衛する動きが出ている状況です。
今回の上昇の局面でもトルコリラ売りビットコイン買いや、ブラジルレアル売りビットコイン買い、アルゼンチンペソ売りビットコイン買いと、自国の通貨の信任がない国々の通貨を売ってビットコインを買うという動きが出ていました。
しかしリスク回避資産として認識されて動く場合もあれば、株が上昇するタイミングでビットコインも上昇することもあるため一概にリスク回避資産とも言えないのがビットコインです。
今後ビットコインがどちらの資産として認識されて動くかわかりませんが、いずれはその価値の認識の仕方は統一されることでしょう。
3.ドミナンスによる比率の変化
ドミナンスとは仮想通貨市場全体の時価総額から1つ1つの通貨がどのくらいの割合を占めているのかをチェックするものがあります。
上昇した4月まではビットコインのドミナンスは低下していました。
つまりアルトコイン買い、ビットコイン売りが継続していたということです。
全体の時価総額はアルトコインの割合が徐々に上昇しており、ビットコインは相対的に売られている環境が継続していました。
仮想通貨のマーケットは外国為替の世界と同様に通貨ペアで売買しており、対BTCでアルトコインを売買するプレイヤーが多く存在します。
これは法定通貨と呼ばれる米ドルや日本円、ユーロ等国の通貨を交換することは規制上難しいため、BTCを担保に売買をする取引所が世界各地で存在します。
つまりBTCを担保として入金し、「BTC売り〇〇買い」というポジションを取るということです。
このような取引がされるとドミナンスはビットコインに傾いているのか、アルココインに傾いているのか全体のバランスを把握することができます。
つまり中期的にもビットコインが売られにくい環境が整いつつあり、4月の動きでアルココイン売りビットコイン買いの動きに転換したということが見て取れます。
このように仮想通貨市場全体のバランスを把握しておくことも中期的なトレードには必要なこととなります。
4.そもそもの流動性が低い市場
これは今回の動きに限らず仮想通貨全体に言えることですが、外国為替と違って、仮想通貨の取引量というのはかなり少ないマーケットです。
ビットコインも仮想通貨では大きい方ですが、それでも他の投資商品と比較すると流動性は低いことは変わりないでしょう。
流動性が薄いと、大きな注文が市場に与えるインパクトは大きいものがあり、相場の値動きというのも大きくなりやすいと言えます。
流動性で一番意識しておくべきことは「売るときに売りたい値段で売りにくい」ということです。
このようなリスクも仮想通貨のマーケットは内包していると言えるため覚えておきましょう。
またチャート上で見えている価格というのはあくまで参考値です。
よく高値がすごい価格まで上昇したりしているような時もありますが、100円でも売買が成立していたらチャートとしては表示されるためチャートの動きも参考値として見做すことがとても大切です。
大事なのは本当にその価格で大きな取引が成立していたのかおどうか見極めることが重要です。
不随して覚えておくようにしましょう。
5.チャート分析から転換と判断
最後にテクニカル分析から判断できることは、上値抵抗線をブレイクして下落相場から反転したと言えることです。
ファンダメンタルズ分析があまり機能しないマーケットと言われており、仮想通貨のトレーダーはテクニカル分析を重要視しています。
その各トレーダーが着目しているテクニカル分析でトレンドが転換したとなるとポジション動向も一気に転換した状況です。
特に今回は米国、欧州の投資家のどちらからも大きな買いが淡々と入っていた様子で、大口の投資家が動いているのは相場のトレンドを作り出す重要な動きと言えます。
動向はなかなか把握するのは難しいですが、ニュースサイト等でも色々出ていることもあるためチェックすることは必須でしょう。
現状のマーケットで注意すべきこと
ここまで上昇した要因をいくつかご紹介しましたが、直近で注意すべきことは何なのかを最後簡単にご説明します。
米中貿易摩擦や景気後退懸念が収まるかどうか注視
上昇した要因に上げた米中貿易摩擦ですが、これがきっかけとなり新興国通貨売りビットコイン買いの動きが続いている一要因です。
つまりこれが収まる動きを見せた時はその反動がくるということです。
ロングポジションを保有している場合はチェックすることをおすすめします。
先物ポジションがロング優勢となっていること
今まではトレンドがショートだったこともあり、先物ポジションではショートポジションが作られることが多かったですが、4月からの上昇以降ショートポジションがなくなり、ロングポジションが作られています。
これは逆にいうと、ロングポジションを解消する売り注文が出やすい環境になっているということです。
トレンドは継続しやすいが深追いも禁物
ビットコインは一度200万円以上突破し大きな利益を出せた商品でもありました。
いまだにそれを夢見ている個人投資家も少なくない様子です。
しかしプレイヤーは個人から大口の機関投資家に変わってきています。
また先物の商品等まで誕生しており、値動きも収斂しやすい状況です。
上下のボラティリティが低下するのは間違いなく、これを踏まえて機動的な売買を行うことが大切でしょう。
またこのように急に上昇すると再度300万円という予想が出たりするので、このような根拠ないロジックに惑わされず冷静にルール通り取引を行うことが一番大切です。
その冷静さを失わないように気をつけてマーケットと対峙しましょう。