コロナの影響でロシアの仮想通貨関連法案が採択延期
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- 2020.04.02.
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新型コロナウイルスの感染拡大は今や世界中に及んでおり、経済活動が制限されることによって世界経済にも深刻な影響を与えています。
また感染が拡大している各国政府は新型コロナウイルス感染防止策だけでなく、様々な経済対策も検討する必要があり、対応すべきことが多方面に渡っているのが実情でしょう。
そのため、本来であれば採択されているはずの法案が後回しになるなどの弊害も出てきています。
新型コロナウイルスの感染拡大については感染患者数や死者数の多さだけでなく、その国の影響力の大きさが注目度に反映されることから、米の状況ばかりが報道されがちですが、ロシアでも感染は拡大しています。
さらにロシアでは、感染拡大によって仮想通貨関連法案の採択が延期されてしまったことが報道されています。
延期されたロシアの仮想通貨関連法案とはどのようなものだったのでしょうか。
このニュースについて、詳しくご説明しましょう。
ロシア国家院が仮想通貨規制法案を採択延期
ロシア連邦議会の下院委員会が仮想通貨を規制する法案である「デジタル金融資産に関する法案」の採択について、新型コロナウイルスが感染拡大している現状から、延期することになったとロシアのメディアであるRBCが2020年3月31日付けで報じました。
画像引用:RBC
「コロナウイルスのために『DFAについて』の法律の採用は延期(Google翻訳)」と題されたRBCの報道によると、ロシア下院委員長は今回の法案について以下のように説明しています。
同文書は、支払い手段としての暗号通貨の使用を禁止し、暗号通貨の交換に影響を与え、鉱業(マイニング)には影響を与えない
(中略)
支払い手段としての使用を禁止する必要があるという結論に達しました。
法律はデジタル金融資産の発行と流通の手順を定義します。
引用:RBC Google翻訳
報道内容を見る限りでは、仮想通貨を決済に用いることは禁止であり、新たな仮想通貨の発行や流通も禁止される内容のようです。
ただしマイニングに関しては不問の内容になっているようです。
これまでも延期されてきた法案
ロシアにおける「デジタル金融資産に関する法案」の採択が延期になったのは、実はこれが初めてではありません。
今回の法案採択の延期は、新型コロナウイルスのパンデミックと戦うことを優先したためであることが報道されています。
文書の採択はおそらく春の終わりまで遅れるだろうと付け加えた。
コロナウイルスのために、すべての立法プロセスは減速し、注目の焦点はパンデミックと戦うための優先措置に移った
引用:RBC Google翻訳
では、これまで何度も延期されてきた理由とはどういうものだったのでしょう。
報道によると、これまでの延期はロシアにおける関係当局の仮想通貨に対する見解がバラバラであったことが指摘されています。
ロシア連邦中央銀行は仮想通貨を合法化することに異論を唱えている一方、ロシア議会の中には仮想通貨の合法化を望む声もあったため、そのままの状況では法案の採択にまでこぎつけることができなかったということでしょう。
ロシア連邦中央銀行の仮想通貨に対する考え
ロシア連邦中央銀行が仮想通貨の合法化に対して否定的な意見を持っていることは、ロシア地元メディアであるInterfaxによって、 2020年3月16日に報じられていました。
画像引用:Interfax
この報道はロシア連邦中央銀行法務部長のアレクセイ・グズノフ氏が、Interfaxからの取材を受けた形で出稿されています。
この中でアレクセイ・グズノフ氏は、仮想通貨発行を認めることは、金融システムや消費者保護システムの観点ではリスクがあること。
そのため仮想通貨の発行と流通を目的とした組織化も禁止にし、さらに違反に対しては法的責任の導入もおこなうと明言しています。
すなわち国としての金融の安定化とマネーロンダリング防止、そして一般消費者の保護を考え合わせると、仮想通貨の発行や流通を認めるにはリスクが大きいと考えているということです。
またロシア以外の国の取引所などで購入した仮想通貨を、ロシア国内で所有することは罰せられませんが、ロシア国内において仮想通貨取引など目的とする事業は禁止されるということになります。
このように仮想通貨取引を禁止する一方で、FSB(ロシア連邦安全保障局)は税収入を高めるため、仮想通貨のマイニングについては規制を有利にするとの見通しが報じられていました。
規制サンドボックス法案の設定
仮想通貨に対しては厳しい姿勢で臨んでいるロシアですが、仮想通貨に利用されているブロックチェーン技術の重要性については認めているようです。
そのためロシア議会では、デジタル技術に関しての規制サンドボックス法案が提出されています。
規制サンドボックス法案とはAI(人工知能)やブロックチェーンなど、新しい技術の導入やビジネスモデルを創出する際に現在の規制下では困難な場合、事業者が申請して認定を受けることで技術導入でき、なおかつその際に得られたデータなどを活用して規制そのものを見直していく制度を指します。
なおブロックチェーン技術の金融領域における規制サンドボックスを監督するのは、ロシアの中央銀行であるロシア銀行です。
ただしロシア銀行は前述したように、仮想通貨に対する懐疑的な姿勢は崩していないようです。
ロシアにおける新型コロナウイルスの状況
これまでロシアでの新型コロナウイルス感染患者数はヨーロッパ諸国と比較して少ないことから、感染拡大はコントロールされていると発表していました。
しかし感染が拡大していったため、2020年3月27日から国際線の運航停止を実施したものの、翌28日には感染者数が1,264人に増えたことなどから、30日には国境を閉鎖して出入国を禁止しています。
これらの状況から仮想通貨関連法案の採択を延期し、パンデミック対策を優先することにしたようです。
現時点では仮想通貨関連法案の採択が議会でいつおこなわれるのか、そのことに関する報道は見あたりませんが、少なくとも新型コロナウイルスが終息に向かわなければ再開はあり得ないものと考えられます。
まとめ
ロシアにおける仮想通貨関連法案が、採択延期になったことについてご説明しました。
ロシア国内での仮想通貨取引は難しいようですが、海外の取引所などを利用すればビットコインなどを所有することは可能なようです。
ロシアでのビットコインユーザー数は2019年時点で1%以上存在しているとされるデータがあります。
また同年のノード数の国別順位は9位であり、日本の10位よりやや多くなっています。
すなわち仮想通貨に対する影響力は日本と同等か、それより少し上に位置するといえます。
ただし、今後ロシアがビットコインをはじめとする仮想通貨にどれほどの影響を与えるのかは、この仮想通貨関連法案の採択が決めるのかもしれません。
今後のニュースに注意が必要です。