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FATF第4次対日相互審査報告書で日本の不備指摘

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  • 2021.09.01.

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FATF第4次対日相互審査報告書

画像引用:FATF Mutual-Evaluation-Report-Japan-2021

2019年10月28日から11月15日にわたり、FATF(金融活動作業部会)によって実施された第4次対日相互審査の報告書が、2021年8月30日に公表されました。

 

2008年に実施された前回の第3次対日相互審査では、日本は半分の項目において改善が必要であると評価されており、他国と比べてみても非常に厳しい評価を下されていました。

 

第3次対日相互審査の実施からおよそ10年経った今回の対日相互審査ですが、注目されるのは、今回からは仮想通貨が審査対象として含められたという点です。

 

そして報告書では、一定の評価を下している部分はあるものの、全体としては非常に厳しく評価されていることが明らかになりました。

 

この情報について詳しくご説明しましょう。

 

FATFが第4次対日相互審査の報告書を公表

FATF(金融活動作業部会)が2019年10月28日から11月15日の期間に実施した、第4次対日相互審査についての報告書を2021年8月30日に公表しました。

この報告書は原題が「MUTUAL EVALUATION REPORT OF JAPAN」と名付けられており、本記事冒頭の画像がそれにあたります。

 

FATFと審査について

FATF(金融活動作業部会)とは「Financial Action Task Force」の略号で、マネーロンダリング対策(AML)やテロリストに対する資金供給対策(CFT)についての世界的基準を設ける組織です。

そしてその基準が正しく遵守されているかどうかを、加盟各国で相互に審査しています。

相互審査には、偏見や政治的意図を排除し、遵守されているかどうかを公平に審査する意図があります。

 

今回の第4次対日相互審査では第3次審査になかった、仮想通貨に関する審査も含まれていました。

仮想通貨に対してFATFは、トラベルルールと呼ばれるサービスプロバイダーが送金および受金者の国際的な本人確認、つまりKYCを提唱しているため、この点が順守されているかも審査されていたはずです。

 

日本は万全の態勢で臨んだはず

日本は第4次対日相互審査に万全の態勢で臨んだはずでした。

それは前回の第3次対日相互審査の結果が惨憺たるものであったからです。

 

そのため金融庁をはじめとする関係各局が、今回こそは同じ失敗を繰り返さないと、危機感を持って第4次対日相互審査に臨んでいました。

 

FATFの審査報告

FATFによる第4次対日相互審査の報告書は、概要部分を仮翻訳されたものが財務省のウェブサイトで公開されています。

財務省によるFATF報告書概要翻訳

画像引用:財務省

 

この中の「主な評価結果」について、ポイントを紹介しましょう。

 

まだ改善していく必要あり

まず日本の取り組みについては、リスクが大きな仮想通貨などにも対応するよう動いていることは認めていますが、それが必ずしもAMLやCFTにつながっているとはいえず、改善していく必要があると述べています。

 

仮想通貨取引業者に対するAMLやCFTの監督措置は要改善

日本が仮想通貨取引業者などに対する法令を定め、適切な監督をし、不適切業者に対する素早い対応をしてきたことは認めています。

 

ただし、これらの対応がAMLやCFTにつながっているとはいい切れず、監督時における改善の必要性を指摘しています。

 

疑わしい取引の届け出が型通りでしかない

報告書は、日本の仮想通貨取引業者の対応についても触れています。

 

仮想通貨取引業者は、仮想通貨取引に犯罪が付きまとう危険性を理解しており、AMLやCFTについて届け出義務を果たしており、実績が伴っていることも評価しています。

 

しかしその届け出が画一的になりすぎていること、さらには参考事例通りでしか届け出されていないことなどを指摘しています。

これは単純に届け出の仕方を問題視しているのではなく、AMLやCFTにつながるケースを参考事例でしか判断しておらず、他のケースでは見逃されている可能性があるということが指摘されているわけです。

 

今後の優先課題として

FATFが、今後日本がAMLやCFTについて優先的に改善していく必要があるのは、顧客を継続的に管理すること、取引そのものをモニタリングすること、必要に応じて資産凍結などの強硬措置を実施することを挙げています。

 

顧客の継続的管理は、仮想通貨取引に必要なアカウントや口座開設の際には、厳重な本人確認がおこなわれているものの、一度口座を開設してしまうと、その後は開設した本人が使っているのかどうか、フォローされていないことを指しています。

 

取引のモニタリングや資産凍結などの強硬措置は、AMLやCFTとして必要不可欠な要素です。

 

FATFが日本に対して下した結論

上記のFATFによる第4次対日相互審査報告書の概要では、評価している部分もありますが、改善していく必要性を何カ所も指摘されています。

 

最終的にFATFは日本は合格したと判断しているのでしょうか。

それとも不合格だと判断したのでしょうか。

 

それを判断する指標になるのが、FATF加盟国の区分です。

区分は以下のような三段階になっておいます。

 

・通常フォローアップ国

最も高い評価にあたるのが「通常フォローアップ国」に区分されます。

つまり一般的なフォローアップで十分なほどしっかり対策がされているということであり、合格と位置づけられる区分となります。

現時点で「通常フォローアップ国」に区分されているのは、イタリア、英国、スペイン、ロシアなどの8ヵ国です。

 

・重点フォローアップ国

「通常フォローアップ国」の下の評価にあたる区分が「重点フォローアップ国」です。

これは今後、重点的にフォローアップしていかなければならない改善点が多い国であり、この区分に分類された国は実質不合格だということになります。

 

そして日本はこの「重点フォローアップ国」に区分されました。

つまり不合格だということです。

なお現時点で、日本以外に「重点フォローアップ国」に区分されている国は、米国、中国、韓国、カナダ、オーストラリア、スイス、メキシコなどの19ヵ国です。

 

この区分に分類されると、今後の改善状況を5年の期間中に3回報告しなければなりません。

そしてその報告で改善が進んでいないと判断されると、FATFから名指しで改善されていないことを批判されてしまいます。

 

・観察対象国

さらに最も低い評価区分が「観察対象国」です。

これは常に注視しておく必要がある国という位置づけになってしまいます。

現時点でこの区分に分類されている国は、アイスランドとトルコの2ヵ国です。

 

麻生財務大臣の談話を発表

FATFによる第4次対日相互審査報告書の公表を受け、2021年8月30日、麻生財務大臣が談話を発表しています。

財務省 FATF報告書に対する財務大臣談話

画像引用:財務省

 

この談話の中で麻生財務大臣は、警察庁・財務省を共同の議長にした「マネロン・テロ資金供与・拡散金融対策政策会議」の設置に加え、3年間の行動計画を策定して対策を充実させていくことを述べています。

 

まとめ

FATFの第4次対日相互審査では、日本はAMLやCFTに対して取り組んではいるものの、まだまだ不十分という結果が下されました。

 

この指摘に対し、日本はさらなる改善を目指していくはずです。

それは仮想通貨取引に対しても同様におこなわれるでしょうが、仮想通貨のレバレッジ規制や税制など、他国と比較して不公平感のある現状を改善していかなければ、本当の意味での改善につながっていかないのではないでしょうか。

 

これを機会に、日本における仮想通貨の意味を見直してもらいたいものです。

 

海外の仮想通貨デリバディブ取引は、高水準のリスクを伴う投資であり、全ての投資家に適した投資ではありません。海外の高倍率のレバレッジは少額の資金で証拠金を上回る取引を行うことができますが、仮想通貨は急激な価格変動も多く、短期間に利益を出せる一方で、証拠金の大部分や全てを失ったり、取引額が証拠金を上回っていれば、証拠金額等を超える損失が発生するケースもございます。損失に耐えられない資金投資はするべきではなく、海外業者で仮想通貨FX取引を始めるにあたっては、投資目的やご自身の経験、リスクの許容範囲などを含めて慎重にご検討し、取引内容を十分にご理解いただいた上で、ご自身の責任と判断において取引を行ってください。

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