過去最高値を更新したイーサリアムと関連動向
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- 2021.04.30.
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画像引用:tradingview ETHUSD
仮想通貨の中ではビットコインの占有率が最も大きく、価格も高騰していることから、仮想通貨といえばビットコインを想像する人が多いかもしれません。
しかしアルトコインの中でも、特にイーサリアムは、最近になって非常に注目されている存在になりつつあります。
その最も大きな理由はイーサリアムの価格が高騰していることです。
上の画像は2021年4月29日19時頃のtradingview ETHUSDの値動きです。
このグラフでも過去最高値を更新し続けていることが分かるでしょう。
また価格だけでなく、時価総額も大きくなってきており、この傾向はまだしばらく続くとみられています。
イーサリアムの現在の状況やその背景にあるもの、さらに関連した動向等について詳しくご説明しましょう。
時価総額はプラチナやPayPalを抜き去った
イーサリアムは、価格の高騰だけでなく時価総額も膨らんでおり、2021年4月29日現在、およそ3210億ドルにまで達しています。
この時価総額は2021年当初と比較すると、実に4倍近くの額となります。
以下の表はCompaniesMarketCapの全ジャンルでの時価総額ランキングを示したものですが、これを見るとイーサリアムはプラチナの3058億ドル、PayPalの3183億ドルをも抜き去って、32位にランキングされています。
なおひとつ上の31位には世界的にも有名なP&Gがランキングされていますが、P&Gの時価総額は3216億ドルと、ほとんど差が無い状態といえるでしょう。
また30位にはWalt Disneyがランキングされていることから、イーサリアムの時価総額がどれほど膨らんできているかがイメージしやすいはずです。
ドミナンスも急上昇したイーサリアム
イーサリアムは価格や時価総額が膨らんできているだけではありません。
ドミナンス(時価総額占有率)も大幅に上昇しています。
以下のグラフはcoinmarketcap.comによるドミナンスを示したものです。
画像引用:coinmarketcap.com
このグラフの右端に2021年4月26日時点のドミナンスが具体的に表示されていますが、これを見るとビットコインが50.15%で、イーサリアムは14.65%となっています。
実は2021年4月22日時点では、ビットコインのドミナンスは49.35%にまで下がっており、イーサリアムは15%まで上昇していました。
ここまでビットコインのドミナンスが下がり、イーサリアムが上がっているのは、2018年8月以来のことです。
この背景にはイーサリアムの価格が過去最高値を更新し続ける一方で、ビットコイン価格が600万円前後のまま推移し続けていることが挙げられます。
イーサリアムが好調な原因とは
ではどうしてイーサリアムがここまで好調なのでしょうか。
このことに対し、米NY州に本社を置くJPMorganが投資家に対して、「Why is ETH outperforming(Google翻訳:ETHが優れているのはなぜですか)」と題した、独自のメモを公開しています。
画像引用:Mike Dudas Twitter
JPMorganの独自メモには幾つかのポイントが記述されています。
まずビットコインとイーサリアム共にデリバディブ市場において、4月上旬に流動性ショックからデレバレッジ、つまりレバレッジ投資の負の逆転現象が起きたものの、ビットコインよりもイーサリアムの方が先物取引の流動性が高く、デレバレッジのダメージから早く抜け出すことができたこと。
さらに近年はイーサリアムのスマートチェーンを活用した、分散型金融手法であるDeFiが注目され、市場も拡大してきていることなどから、テクノロジー的にビットコインよりも有利なのではないかと考えられていると説明しています。
JPMorganのメモ内容の背景にあること
JPMorganの独自メモの内容には背景があり、イーサリアムを取り囲む環境が影響していることも見逃せません。
そこで、どのような背景があるのかを紹介しましょう。
機関投資家参入の影響
米のCME(シカゴ・マーカンタイル取引所)がCFTC(米商品先物取引委員会)の認可を受け、イーサリアムの先物取引を2021年2月8日から開始しました。
正式に規制当局から認可された先物取引が上場されたことは、イーサリアムの信頼性を高めることにつながるだけでなく、機関投資家からの参入も見込まれていました。
また2020年にはグレイスケールが申請していた投資信託であるイーサリアムトラストも正式に登録されており、機関投資家が参入しやすい環境が整っていました。
規制当局の見解
2020年12月、アルトコインの中でも時価総額が大きかったリップルが、米リップルやCEOなどの米証券取引委員会(SEC)に提訴されたことで、価格が暴落しました。
提訴に至った判断基準は、権利や提供、販売方法などが米国連邦証券法に基づき、有価証券にあたるのかどうかというものでしたが、イーサリアムに対しては有価証券に該当しないとの判断が2018年にSECから下されていました。
このことが、判断が曖昧になりがちな仮想通貨、特にアルトコインの中でもイーサリアムに対する投資家からの安心感につながっていると考えられます。
DeFi市場の好調さ
DeFi(分散型金融)市場は2020年6月以降ブームとなっており、取引高も急上昇しています。
以下は、仮想通貨関連データ分析サイトDune Analytics による分散型取引所における取引量の推移を示したものです。
画像引用:Dune Analytics
これによると、2021年1月1日時点での分散型取引所における取引量(USD volume)は、673億ドルにもなっており、4月時点でも高い取引量が続いていることが分かります。
イーサリアムブームを加速させるマイニングマシンの発表
イーサリアム価格が順調に上昇しているだけでなく、時価総額も急伸させていることを受け、マイニングマシンメーカーとして世界的大手であるBitmainが、2021年4月24日にイーサリアムの最新マイニングマシンについてYouTubeで発表しました。
このBitmainのイーサリアム最新マイニングマシンはAntminer E9と名付けられており、2021年後半にリリースされる予定になっているようです。
「Antminer E9 Introduction: Ethereum Miner」と題された動画によると、Antminer E9の計算能力は3ギガハッシュ/秒と高められ、消費電力は2,665wと抑えながらも、処理能力は従来からあるGeForce RTX 3080の32倍にも達するとされています。
Bitmainが新しいイーサリアムのマイニングマシンを発表した背景には、イーサリアムの価格が高騰しているだけでなく、イーサリアムのマイニングにも活用できるゲーム用のグラフィックカード需要が急激に高まっていたことが挙げられます。
つまりゲーム用マシンでイーサリアムのマイニングがおこなわれていた可能性が高いわけです。
このことはイーサリアム価格が急騰し、時価総額も膨らんでいることから、今後もイーサリアムブームが続くとBitmainが考えているといえます。
まとめ
これまでの最高値を更新し続けているイーサリアムが、時価総額でも急伸しているその状況や背景、またBitmainがイーサリアムは今後も価格上昇していくと考えていると予想していることなどについてご説明しました。
このブームともいえるイーサリアムの高値や時価総額は、これまでの仮想通貨=ビットコインとの図式を塗り替えるものにもなりかねません。
また仮想通貨の新しい可能性を示唆するものとして、今後も躍進していくことが考えられます。
これからはビットコインだけでなく、イーサリアムからも目が離さない方が良いかもしれません。
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