発掘難易度が下がってもハッシュレートが上がらないビットコイン
- ビットコイン
- 2020.11.04.
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- 発掘難易度が下がってもハッシュレートが上がらないビットコイン
2020年10月31日のニュース記事「ビットコイン取引手数料高騰化の理由と影響」では、ビットコインの取引や送金などの手数料が高騰している事情についてご説明しました。
記事内で、手数料高騰の背景には取引量が急に増えたことに加え、ディフィカルティ(発掘難易度)が高い状態にあるにもかかわらず、ハッシュレートが大きく下落している実情を解説していました。
また手数料の高騰化を防ぐ契機となるのは次回のディフィカルティ調整であり、難易度が下がれば手数料も下がる可能性があることも記述しておりました。
ディフィカルティは2020年11月3日に調整され、非常に大きく易化したものの、ハッシュレートは相変わらず低いことが分かりました。
もちろんディフィカルティは調整されたばかりであり、ハッシュレートはもう数日動きを追ってみなければはっきりとしたことは言えませんが、ハッシュレートがビットコイン価格に応じた動きにならなければビットコイン価格への影響も避けられません。
このことに関する詳しい情報や影響について改めてご説明しましょう。
ビットコインのディフィカルティが大きく易化
ビットコインのマイニングに大きな影響を与えるディフィカルティが2020年11月3日に調整され、-16.5%とこれまでの調整の中で2番目となる大きな易化になりました。
画像引用:btc.com
今回調整されたディフィカルティの-16.5%は、2011年10月31日のディフィカルティ-18.03%に次いで大幅な易化です。
2020年3月は、新型コロナウイルスのパンデミックによりビットコイン価格が記録的に下落しましたが、その直後のディフィカルティでも−15.95%にとどまっていました。
つまり今回のディフィカルティ易化はそれ以上に大きいものであるいうことです。
ディフィカルティの大幅な易化の背景
ニュース記事「ビットコイン取引手数料高騰化の理由と影響」でも説明しましたが、これほどまでにディフィカルティが易化する背景には、中国の四川省に多数あるマイナーの電気代が影響しています。
中国四川省では毎年6月から10月の4ケ月間は豊水期になるため、電気代が非常に安くなります。
11月時点では豊水期が終わっているということです。
豊水期とビットコインハッシュレートの関係について、マイニングに関する内容のブログであるHashr8を運営しているトーマス・ヘラー(Thomas Heller)氏が、2020年10月27日にツイートしています。
なおトーマス・ヘラー氏は、中国でも大手で知られるマイニングプールであるF2Poolでグローバル責任者を務めていた経験があり、マイナーやマイニングに関して非常に詳しい人物です。
四川省の多くのマイニング施設では、水力シーズン豊水期は10月25日に終了しました。
多くの鉱山労働者は新疆ウイグル自治区、内モンゴル自治区、または海外に移動します。
四川省の農場の中には、平水期(通常の水位)が1か月になるものもあれば、5月まで枯水期(低水位)になるものもあります。
引用:Thomas Heller Twitter Google翻訳
電気代の安い期間は四川省でマイニングをするが、電気代が高くなるとより電気代の安い中国内の他のエリア、もしくは海外に移動しマイニングを行うということです。
つまり豊水期が終わるとハッシュレートも下がってしまうということになります。
ただ中国内の他のエリア、もしくは海外でマイニングを始めるまでの間がどの位空くのか、他のエリアや海外でマイニングする際にも四川省でマイニングしていた頃と同じ稼働率なのかなどについては言及されていません。
ディフィカルティ大幅易化によるハッシュレート変化
ビットコインのディフィカルティは、仮想通貨関連メディアなどでも大きく易化するだろうと報じられていました。
前述のトーマス・ヘラー氏も-8.8103%から-7.4278%の間で調整されると予想していたようですが、実際はその予想をはるかに超えるものだったわけです。
マイナーにとってディフィカルティは利益に直結する課題であり、事前にディフィカルティが易化することが分かっていればそれなりの対応、つまりディフィカルティ調整日に合わせて稼働率を上げるなどの方法をとるはずです。
以下はビットコインのハッシュレートをあらわしたグラフで、2020年11月2日までのデータが反映されたものです。
画像引用:blockchain.com
グラフ内の赤丸の個所が2020年11月2日のハッシュレートをあらわしており、108.8EH/sだと表示されています。
前日のハッシュレートは107.64 EH/sであり、ほんのわずかではあるものの上昇していることが分かります。
ディフィカルティの調整は11月3日におこなわれましたので、前日ではハッシュレートにそれほど影響しないのかもしれませんが、11月3日以降のハッシュレートには注目しておくべきでしょう。
今後のハッシュレート変化による影響
今後ハッシュレートが上昇していくか、それとも上がらずに横ばい状態で推移するかによって影響度が大きく異なるのは取引手数料でしょう。
ハッシュレートがビットコイン価格の上昇に沿うように上がっていくのであれば、それは正常な状態といえます。
しかし問題はハッシュレートが上がらないケースです。
その場合には、今でも高くなってきている取引手数料がより高騰する可能性があります。
ニュース記事「ビットコイン取引手数料高騰化の理由と影響」内でもご説明したように、現在はマイナーの収益の中でも、取引手数料が占める割合が高くなってきています。
マイナーにとってはマイニング報酬でも、取引手数料であっても利益になればそれでいいのですから、下げることにつながる動きをすることはありません。
取引手数料の高額化はビットコインの取引自体がしづらくなってしまうだけでなく、ビットコイン価格の上昇を抑制してしまう可能性があるため、避けることができる方が望ましいといえるでしょう。
まとめ
ビットコインのディフィカルティが過去2番目となる易化で調整されたこと、さらに現時点ではハッシュレートがそれほど上がっていないことについてご説明しました。
現在のハッシュレートをみる限り、仮想通貨FX取引の指標の1つとされるハッシュレートによる価格予想は参考にならない状態です。
ハッシュレートと価格が連動していないからです。
取引手数料が高額になる可能性についても視野に入れ、仮想通貨FXに取り組んでいく必要があるでしょう。
とはいうものの、ビットコイン価格が上昇し続けていくことは利益を産み出しやすい環境といえます。
取引手数料のことを考慮しつつ、うまく利益を産み出してください。