トランプ氏の大統領選勝利による仮想通貨への波及効果
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- 2024.11.07.
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- トランプ氏の大統領選勝利による仮想通貨への波及効果
米国大統領選挙の一般投票が2024年11月5日におこなわれ、その結果、ドナルド・トランプ氏がカマラ・ハリス氏に勝利しました。
カマラ・ハリス氏は仮想通貨に言及することはほとんどなく、一方のドナルド・トランプ氏は何度も演説で仮想通貨について言及していました。
そのため、両候補の戦いは仮想通貨の将来にも大きく影響するとみられていたため、仮想通貨市場の関係者はその行方に注目していました。
ではドナルド・トランプ氏が二度目の大統領になると決まったことで、仮想通貨に対する波及効果はどのようなものなのでしょうか。
ドナルド・トランプ氏は、2025年1月20日におこなわれる大統領就任式を迎えるまではまだ米国大統領ではありませんが、本記事執筆時点でもう既に仮想通貨への色々な波及効果がみられています。
またドナルド・トランプ氏は選挙期間中に仮想通貨に関して色々な公約を発表していました。
この公約があったからこそ、大統領選に勝利できた可能性もあるでしょう。
どのような公約を掲げていたのかも含めてご説明しましょう。
ドナルド・トランプ氏勝利確定前の波及効果
ドナルド・トランプ氏の勝利がまだ確定していないにもかかわらず、仮想通貨市場では色々な動きがみられました。
ビットコインクジラがビットコインを大量取得
仮想通貨インテリジェンスプラットフォームであるLookonchain(ルックオンチェーン)が2024年11月6日にXへ投稿したところによると、ビットコインクジラが米の仮想通貨取引所であるバイナンスで1806BTC以上を取得し、自身のウォレットに移動させていることが明らかになったとのことでした。
つまりビットコインクジラは、ドナルド・トランプ氏が勝利すると予想しただけでなく、それによってビットコイン価格が今後さらに大きく上昇すると考えたということです。
有利との見方だけでビットコイン価格が上昇し、最高値も更新
実はドナルド・トランプ氏が大統領選に勝利したと確定する前から、ビットコイン価格は上昇し始めていました。
ドナルド・トランプ候補の勝利が確定したのは2024年11月6日の夕方以降でしたが、tradingviewのBTCJPYのチャートをみると、11月6日の正午前からビットコイン価格が一気に上昇し始めていることが分かります。
つまりドナルド・トランプ候補が有利だとする見方が広まってきた時点で、未だ勝利が確定しているわけではないにもかかわらず、ビットコイン価格はBTCJPYで80万円から90万円ほど急上昇していることになります。
またそれだけではなく、ドナルド・トランプ候補の勝利確定後の2024年11月7日の午前6時ごろには、ビットコインの史上最高値である1,177万円台を記録していました。
ドナルド・トランプ氏勝利確定後の波及効果
ドナルド・トランプ氏が大統領選に勝利したことが確定的になった後の波及効果をご紹介しましょう。
ブラックロックのビットコイン現物ETFの取引が急増
ビットコイン現物ETFは多くの企業が運営していますが、今回のドナルド・トランプ氏勝利で、いずれも取引高が急増していることが明らかになっています。
その中でも最大規模の運用資産残高があるブラックロックが運営しているIBITで、大幅に取引高が増えていることを、BloombergのシニアETFアナリストであるEric Balchunas(エリック・バルチュナス)氏がXに投稿しています。
画像引用:Eric Balchunas X
エリック・バルチュナス氏の投稿によると、ドナルド・トランプ氏の勝利が確実になった日の翌日に、米株式市場の開始わずか20分で、一日分の取引高である10億ドル(約1,500億円)をIBITが記録したと述べています。
米国における仮想通貨関連株が大幅上昇
ドナルド・トランプ氏の勝利確定後には、米国における仮想通貨関連企業の株価が大幅に上昇しました。
全ては紹介しきれないものの、主要な銘柄だけをご紹介します。
ドナルド・トランプ氏を応援すべく多額の寄付をしていた米仮想通貨取引所コインベースは31.11%も上昇しています。
仮想通貨投資プラットフォームのロビンフッドは19.6%の上昇。
ビットコインを大量に購入し続けていることで知られるマイクロストラテジーは13%以上上昇。
ビットコインマイニング関連企業においては、ライオット・プラットフォームズが26%の上昇、クリーンスパークは23%上昇、ハット8も11%上昇しています。
ドナルド・トランプ氏の選挙期間中における仮想通貨関連の公約
ドナルド・トランプ氏は選挙期間中に仮想通貨に関連した幾つかの公約を発表しています。
その公約があったからこそ、仮想通貨関連企業やトレーダーなどはドナルド・トランプ氏を支持し、選挙戦が有利だと分かっただけでビットコイン価格も上昇し始め、仮想通貨関連企業の株価も上昇したのでしょう。
実際にドナルド・トランプ氏が仮想通貨に関連して発表した公約についてご紹介します。
SECゲイリー・ゲンスラー委員長を就任初日に解任
SEC(米証券取引委員会)のゲイリー・ゲンスラー委員長が仮想通貨に対して否定的で、多くの仮想通貨取引所や仮想通貨関連プロジェクトに対して訴訟を起こしていることは周知の事実です。
SECが主張しているのは、仮想通貨は法的にみて証券にあたり、仮想通貨の開発者や企業はSECに対して仮想通貨を証券登録しなければならないというものでした。
しかしその主張は場当たり的で、明確な根拠を示さないばかりか、一貫性がないため、仮想通貨関連企業にとってもどう対処すべきなのかが分からないものばかりでした。
このような姿勢のSECゲイリー・ゲンスラー委員長に対し、ドナルド・トランプ氏は2024年7月27日に開催されたビットコイン2024カンファレンスに登壇した際、大統領就任の初日に解任し、新しいSEC委員長を任命するとともに、仮想通貨に関する大統領諮問委員会を組織すると演説しています。
さらにこの大統領諮問委員会が、100日以内に規制枠組みを確立することに加え、米国のCBDC(中央銀行デジタル通貨)の開発停止を財務省に指示するとも述べています。
画像引用:Bloomberg 2024年7月28日
米国でのビットコインのマイニングを支援
現在、米国におけるビットコインのマイニングに関しては、環境団体などから環境への影響を懸念する声があり、消費電力がどれほど大きいかもしばしば報道されています。
しかしドナルド・トランプ氏は、米国におけるビットコインのマイニングを推進して、残りのビットコインは全て米国でマイニングすると宣言しました。
その宣言を履行するための具体策は示されていませんが、この宣言は環境団体などからの圧力に苦しむ米国のマイニング企業にとっては強気になれる言葉であったと考えられます。
戦略的ビットコイン準備金について
ドナルド・トランプ氏の仮想通貨に関連した特徴的な宣言が戦略的ビットコイン準備金についてです。
現在、犯罪組織などから押収したビットコインは、法執行機関によって売却されていますが、ドナルド・トランプ氏はこの押収したビットコインを売却せず、戦略的ビットコイン準備金として保有しておくことを主張しています。
つまりドナルド・トランプ氏は、保有し続けることで後に価格の上昇したビットコインが米の国家債務の返済に活用できるということを示唆しているわけです。
その他の公約として
上記以外にもドナルド・トランプ氏が選挙活動中に発表した公約が幾つかあります。
そのひとつが、ダークネットとして知られる「シルクロード」の運営者ウルブリヒト氏を減刑するとともに、同氏を釈放するかもしれないというものです。
「シルクロード」はビットコインで薬物をはじめとする違法なものを売買できるウェブサイトであるため、「シルクロード」を作ったウルブリヒト氏は現在、仮釈放の無い、終身刑となっています。
そしてもうひとつの公約が、「SECゲイリー・ゲンスラー委員長を就任初日に解任」の項でも説明したCBDC(中央銀行デジタル通貨)の開発停止です。
ドナルド・トランプ氏はCBDCと共に、政府運営のブロックチェーン決済システムを作らないようにすると述べています。
まとめ
今回の米大統領選挙は非常に接戦であると報じられていたため、ドナルド・トランプ氏も必死で、なんとか仮想通貨支持層を味方につけたかったのだと考えられます。
そのため上で説明した公約も、本当にそうすべきだと考えて発表したものかという点には多少の疑問が残ります。
例えば、「シルクロード」の運営者ウルブリヒト氏を減刑することや、CBDCの開発停止などは、どういった意図があるのか分かりません。
しかし公約として掲げた以上は、守るべきなのが公約です。
そして、これらを含めて公約として掲げてきたからこそ、多くの仮想通貨支持層が応援してきたわけです。
またこれまでSECなどによって規制されてきた経緯もあり、それがなくなると考えたからこそ多くの人々が支持し、そして期待しているからこそビットコイン価格も急上昇したのでしょう。
多くの仮想通貨支持層の期待を裏切らない働きをみせて欲しいものです。
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