海外仮想通貨取引所BitMEXとOKExで相次ぐ不祥事
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- 2020.10.21.
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- 海外仮想通貨取引所BitMEXとOKExで相次ぐ不祥事
仮想通貨取引や仮想通貨FX取引をする場合には、国内の業者を利用する方が安全であるという通説があります。
それは、海外業者に対するセキュリティ面の不安だけでなく、その業者自体が不正なことをおこなっているのではないかという漠然とした不安感によるところが多いはずです。
だからこそ利用するメリットがそれほど多くなくても、安心して利用できることを重視し、国内仮想通貨取引所を利用する人がいるのでしょう。
もちろん海外業者の中には、そのような悪質な業者も存在している可能性はあります。
海外の仮想通貨取引所の中でも取引高が大きく、取引高ランキングでも常に上位にいたBitMEXとOKExが今月に入ってから続けざまに不祥事に至り、仮想通貨業界でも関心が高まっています。
一体この2つの大手仮想通貨取引所で何があったのでしょうか。
仮想通貨業界全体のイメージまでも損ないかねないこの事件について、詳しくご説明しましょう。
BitMEXのCEOらがCFTCから訴追される
世界の仮想通貨取引所の中でも取引高も多く、大手であるBitMEXのCEOを含めた経営者4人がマネーロンダリングや違法取引を意図的に認めていたとして2020年10月1日、CFTC(米商品先物取引委員会)が訴追したことを発表しました。
画像引用:CFTC
CFTCが発表したところによると、BitMEXのCEOら4人は個人投資家に対して不法に仮想通貨のレバレッジ取引を提供しており、その手数料として総額で1兆ドル、日本円にしておよそ105兆円を入手していたとされています。
起訴されたのはBitMEXのCEOであるアーサー・ヘイズ氏、それに共同設立者であるベンジャミン・デロ氏、サミュエル・リード氏、グレゴリー・ドワイヤー氏の合計4人です。
訴追に対するBitMEX側の対応とCEOの逃亡
BitMEX側はCFTCによる訴追の発表に対し、即日同社ブログで以下の内容を発表しています。
私たちは、これらの告発を行うという米国政府の手厚い決定に強く反対し、主張を積極的に擁護するつもりです。
スタートアップとしての初期の頃から、適用される米国の法律は当時理解されており、利用可能なガイダンスに基づいていたため、それらの法律を遵守するよう常に努めてきました。
引用:BitMEX blog Google翻訳
つまりBitMEXは訴追を受けた4人を擁護すると宣言したわけです。
しかし訴追を受けたうちの1人であるサミュエル・リード氏は当日のうちにマサチューセッツ州で逮捕されたものの、残りの3人は逃亡していることが報じられており、2020年10月20日現在も逮捕されたとの報道はみられません。
すなわち今も逃亡を続けているということになります。
4人が逮捕され、もし有罪となった場合には最大で懲役5年と25万ドル(約2600万円)の罰金刑が課せられるとみられています。
OKExの秘密鍵管理者が公安当局に拘束で出金停止
世界の仮想通貨取引所の中で、トップクラスの取引高を誇るOKExでもトラブルが起きています。
OKExに預けられている仮想通貨の出金に必要な秘密鍵の保持者の1人が、中国公安当局によって拘束され、2020年10月16日から出金手続きができない状態が続いています。
なおこれは拘束されている人物の秘密鍵が、出金に関連した作業に必要であるためとされています。
OKExの幹部が拘束されている理由について
OKExが出金停止に至る経緯として、最初は中国の現地時間15時に出金停止をすると発表していましたが、予定を早めて午前11時に出金が停止されました。
出金停止を告知していた時間より早めたことに対して、OKExの元の本社場所である中国の投資家たちからは、OKExがマネーロンダリングに関わっていたのではないかとの情報も飛び交っています。
中国のビットコインやブロックチェーン関連メディアである8BTCの共同設立者であるRed Li氏は、2020年10月16日に以下をツイートしています。
画像引用:Red Li Twitter
#okexが最初に述べた引き出しは、午後15時に一時停止されますが、すぐに午前11時に変更されます。
「特定の」取引所で800を超えるアカウントが国境を越えたマネーロンダリングに関与しているという噂があります。
引用:Red Li Twitter Google翻訳
拘束された人物とOKEx側の対応
中国公安当局が拘束した人物は、OKExの創設者であるMingxing Xu(ミンシン・シュー)氏ではないかとの情報もあります。
事実、Mingxing Xu氏が警察から事情聴取を受けたとの地元メディアによる報道もあり、その1週間後にOKExが出金を停止しています。
またMingxing Xu氏が警察に連行された後、OKExには出勤していないともいわれています。
OKExは出金停止に至る原因となった秘密鍵保有者がMingxing Xu氏かどうかは明らかにしておらず、秘密鍵保有者は捜査に協力していると述べただけにとどまっているようです。
また全てのOKExユーザーに対して、資産は安全であることや出金以外の機能には影響がないことをアピールしており、出金機能が回復できるよう全力を尽くすとだけ発表しています。
両方の取引所に共通するダークな部分
BitMEXやOKExがこのような事態になっている背景に共通するのは、どちらにもダークな部分が見え隠れしているということです。
BitMEXで訴追された中の1人は、セーシェル共和国に設立した理由を規制当局へのワイロが米や他国よりも安かったことを自慢げに話していたとされています。
このことを米司法省は悪質だと指摘しているようです。
一方、OKExは元々中国で「OKCoin.cn」として立ち上げられ運営されていましたが、中国の仮想通貨取引所に対する規制によってマルタへ移転し、OKExとして運営されていました。
しかし相変わらず中国語でのサービスは継続されており、OTC取引やP2P取引なども実施していたことから、事実上本社場所が変わっただけで中国人投資家を相手にしていたことは何も変わっていませんでした。
つまりOKExは、中国政府が禁止している仮想通貨取引をこれまで続けていたということであり、グレーな立ち位置の存在であったということになります。
BitMEXの訴追された1人が話していたワイロについての話は、単なる自慢話だとは考えにくいでしょう。
OKExもこれまでグレーな立ち位置で運営できていたこと、さらに同じ中国でグレーな立ち位置といわれているBINACEが中国公安当局から摘発を受けていないことを考えると、その差はどこにあるのでしょうか。
この点を考えると、2つの仮想通貨取引所に共通しているダークな部分が見え隠れしているように感じられます。
まとめ
仮想通貨取引所の大手として知られるBitMEXとOKExの不祥事について、発表されていることや経緯についてご説明しました。
仮想通貨そのものが世の中に登場してまだ日が浅く、取引やFXに至っては色眼鏡で見ている人が一部にいるのも事実でしょう。
ビットコインが上場企業によって準備資産として購入されるなど、資産としての価値が世の中に認められつつある現在、そのビットコインを取り扱う仮想通貨取引所などがこのような不正行為に関わることは、業界全体を貶めることにもつながっていきます。
不正にかかわる業者や人物は、仮想通貨の普及とともにいずれ淘汰されていくのでしょうが、一刻も早くクリーンな業界になって欲しいものです。