人口13億のインドで仮想通貨取引の環境が整い始める
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- 2020.05.28.
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仮想通貨の代表ともいえるビットコインが誕生したのは2008年10月であるといわれており、さらに通貨としての価値を持つことができたのは2010年5月だとされています。
それから10年経過した現在のビットコインは、多くの人が取引をおこない、資産としての価値もGOLDより高いと評する人が出てくるほどの存在になりました。
しかしまだまだ仮想通貨を取引したことがない人も多くいるはずです。
今後どれだけ多くの人に利用してもらえるようになるかというのは、まだ歴史の浅いビットコインをはじめとする仮想通貨の課題といえるでしょう。
そんな仮想通貨にとって大きな朗報となるニュースが飛び込んできました。
それが、インドで仮想通貨取引ができる環境が整いつつあるというものです。
ご存知のようにインドの人口は13億人(World Population Prospects, 2019 Revisionのデータより)といわれ、人口世界一である中国の14億人に次いで大人口を抱える国です。
このようなインドで仮想通貨取引環境が整うと、仮想通貨市場に多くの人々がなだれ込んでくる可能性があります。
もちろん仮想通貨価格への影響も非常に大きいことが予想されます。
インドで整いつつある仮想通貨取引環境とはどのようなものなのか、ご説明しましょう。
インド中央銀行が仮想通貨取引口座の非制限を公表
インドの中央銀行であるRBI(インド準備銀行)が、仮想通貨取引所に対する口座サービスの禁止事項はないと正式に回答しました。
これはインドの仮想通貨取引所であるUnocoinの共同創設者、Harish BV氏からの情報請求に対する回答で明らかになったものです。
画像引用:Unocoin
RBIは過去に仮想通貨取引所に対する銀行口座サービス禁止令を出しており、そのことに対してインド最高裁判所は違憲であるとの判断をしていました。
しかし最高裁判所の判断があったにも関わらず、一部の銀行では仮想通貨取引所などに関連する口座サービスを拒否し続けただけでなく、RBIから仮想通貨取引に関連した口座サービスに対する姿勢は明確に発信されていませんでした。
このようなRBIに対して2020年4月25日、Harish BV氏が仮想通貨関連企業やトレーダーなどに対する銀行口座サービスの制限があるのかどうかを問う情報請求をおこなっていました。
そしてこの情報請求に対する回答が届き、その内容が2020年5月24日にツイートされています。
質問:RBIは、銀行が暗号取引所または暗号トレーダーに銀行口座を提供することを禁止していますか?
RBIからの回答:現時点では、そのような禁止事項はありません。
引用:Crypto Kanoon Twitter Google翻訳
すなわちRBIは、銀行が仮想通貨仮想通貨関連企業やトレーダーなどに口座サービスを提供することを禁止していないと、公に発表したことになります。
インドでの仮想通貨に対する対応の経緯
インドにおける仮想通貨に対する対応は、これまでどのようなものだったのでしょうか。
情報請求をされなければ、仮想通貨への対応を公にしなかったことなどから、決して好意的に捉えていなかったであろうことが伺えます。
仮想通貨に存在するリスクを指摘
2018年1月、インド財務省は仮想通貨に対して本質的価値がないことを述べており、これに伴って複数の主要銀行が、仮想通貨取引のために既に開設されていた口座封鎖や口座の機能を制限するなどの措置をとっていました。
さらにRBIも仮想通貨に用いられている技術などは評価したものの、市場の統合性やマネーロンダリング、そして消費者保護の観点から仮想通貨をみた時、色々なリスクが存在することを指摘していました。
RBIが銀行に対しサービス停止命令
2018年4月5日にRBIは、国内の銀行に対し仮想通貨取引のために提供している個人や企業向けのサービスを停止するよう求めるとともに、RBIが独自の仮想通貨発行を検討していることを声明として発表しています。
画像引用:RBI PressRelease
仮想通貨関連企業からの異議申し立て
RBIのこの対応に対し、異議を唱えたのは仮想通貨取引所などの仮想通貨関連企業でした。
裁判所に対して異議を申し立て、インド最高裁まで争うことになります。
この係争の背景には、仮想通貨トレーダーから所得税を徴収していただけでなく、インドの仮想通貨取引所では国内の公共機関でも導入されていたKYCやAML対策に取り組んでいたにもかかわらず、RBIが実力行使とも取れる銀行へのサービス停止命令をしたことがあります。
違憲判決でも取引拒否の実情
そして2020年3月、インド最高裁によってRBIの銀行に対する命令は違憲との判決を下されています。
判決が下された時点で、本来であれば銀行は仮想通貨取引のために提供している個人や企業向けのサービスを再開すべきです。
しかし一部の銀行では、仮想通貨取引のための口座サービスを拒否し続けていました。
拒否し続けている理由として挙げられていることに対し、フィンテック分野の弁護士が確認したところ、RBIが通知してくることを待っていると口頭で説明していたようです。
すなわちRBIは、最高裁判所によって違憲であるとの判決が出されたにもかかわらず、過去に命令をだしていた銀行に対して仮想通貨取引のための口座サービスを再開する旨を通知していなかったことになります。
そのため前述したようにHarish BV氏がRBIに対して、銀行口座サービスの制限があるのかどうかの情報請求をしたというものでした。
インドの仮想通貨市場に対する影響力
冒頭でご説明したように、インドの人口は2019年時点で13億6,600万人といわれており、中国に次ぐ人口2位の国です。
そして国連の予想によると、インドの人口は2027年までに中国を抜き去って1位となり、2050年までにその差はもっと広がっていくだろうとされています。
さらにインドの富裕層の中での仮想通貨の位置付けは、資産として高い人気があることが分かっています。
これはビジネスや金融、株式市場、経済関連のニュースを報道しているメディアであるFinancial Expressが2019年8月30日に、富裕層に対する調査結果を報じたことで明らかになっています。
報道によると、インドの人気資産は1位が不動産、2位は株、3位が債券で、仮想通貨は4位となっています。
そして全回答者の1割が今後3年以内に仮想通貨へ投資すると答えています。
なおインドにおいては近年、中間層と富裕層が人口増加とともに急増しています。
2016年時点のGDPは既にイギリスを抜いて世界5位になっており、資産として100万ドル以上の額を保有している人は2018年時点で43万7,000人、2023年にはこの人数は倍になることが予想されています。
つまりインドで仮想通貨取引環境が改善すれば、現時点で仮想通貨取引を禁止している中国をはるかに超える仮想通貨市場に対する影響を及ぼすことが考えられるわけです。
まとめ
中国に次ぐ人口があるインドにおいて、仮想通貨取引を取り囲んでいたこれまでの経緯、そして取引環境が整いつつある現状についてご説明しました。
インドの銀行では今後、仮想通貨取引のための口座サービスが再開されるでしょう。
その時の仮想通貨市場に対する影響力は、非常に大きなものになるはずです。
また「インドの仮想通貨市場に対する影響力」の項でご説明したインドの人気資産調査は2019年時点のものです。
新型コロナウイルスのパンデミックはこの調査後に起こっており、現在の人気資産順位も変わっていることが考えられます。
世界的な流れから考慮しても、仮想通貨に対する人気はおそらく高くなっているでしょう。
今後はインドの仮想通貨取引環境がいつ、どの程度改善されていくのかを見定めておくことが、仮想通貨FXで利益を出すために必須となってくるのかもしれません。