ビットコインの価格予想に半減期は無意味との説
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- 2020.05.02.
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4年に1度訪れるビットコインの半減期が、いよいよ10日後(2020年5月1日現在)に実施されます。
ビットコイン関連のニュースやTwitterなどでも半減期に関する話題が多く見られ、tradingviewのビットコイン価格も2020年5月1日現在は94万円台にまで上がってきました。
ビットコイン価格は2020年4月30日に一時100万円を突破しており、現在はやや小康状態という感じでしょう。
この価格上昇も半減期が間近に迫ったからだとの見方をしている人も多いはずです。
しかしビットコイン価格について半減期を意識する必要はなく、半減期が迫っているからといって強気になる必要もない。
そして半減期だからといって、そのことに関して議論することさえも無意味だとする説が報道されています。
ではその説では、いったい何が重要だと位置づけているのでしょうか。
またその説とはどのようなものなのでしょうか。
詳しくご説明しましょう。
世界中が意識しているビットコイン半減期
ビットコインの半減期を10日後に控え、世界中ではビットコイン半減期に対する関心が非常に高まっています。
2020年5月1日現在、Google Trendsで「bitcoin halving(ビットコイン半減期)」を調べてみると、以下のグラフになります。
なおこのグラフは、世界の全ての国において過去12ケ月間で「bitcoin halving」がweb検索された動向を示したものです。
画像引用:Google Trends
このグラフをみると、4月に入ってから急激に検索数が増えていることが分かります。
点線の部分は4月26日~5月2日までの予想をあらわしたものです。
グラフは週単位で集計されているため、5月1日時点では集計途中であることから、あくまでも予想ではあるものの大きく伸びることが予想されています。
つまり世界中の人々が、それだけビットコインの半減期に高い関心を持っているということが分かるでしょう。
半減期はさして重要ではないとの発言
多くの人々が注目しているビットコインの半減期ですが、注目する理由を一言でいうと「値上がりするから」というものでしょう。
つまり半減期を迎えるから、強気の取引ができるかもしれないと考えるからです。
しかし半減期は価格の上昇要因、すなわち強気取引ができる原因にはならない。
それよりもFRB(連邦準備制度理事会)が実施している量的緩和などの金融政策の方が、過去におこなわれていない施策であり、長い目でみるとビットコイン価格の上昇に大きな影響を及ぼす可能性が高いと主張する人達がいます。
半減期は無視して良いレベル
OTCビットコイン取引所であるBull BitcoinのCEO、Francis Pouliot氏は半減期よりも重視するべきことがあると主張しています。
Francis Pouliot氏はビットコインの半減期によって起こされる供給量の減少は、取引所にとってみると平時の取引高から考えれば、ほとんど無視しても良いレベルの話だとの趣旨を述べています。
そしてビットコイン市場が強気になれる背景には、従来からある金融資産などが信頼を失っていることにあること。
さらに新型コロナウイルスの感染拡大によって実施されたFRB(連邦準備制度理事会)の量的緩和などの金融政策は、これによってビットコインにどのような影響があるかを予想できるだけでなく、大きなインパクトのある出来事であるとし、半減期による影響などとは比較にもならないという旨を主張しています。
半減期の議論は時間の浪費
Francis Pouliot氏と同様の意見を主張しているのが、ブロックチェーンと暗号通貨のヘッジファンドであるBlockhead Capital社のマネージングパートナーであるMatthew Kaye氏です。
Matthew Kaye氏はビットコインが半減期を迎えるにあたり、強気の取引を主張し、それに対して議論すること自体がもう時間の浪費だと述べています。
つまり無駄な議論をしているといっているわけです。
半減期のファンダメンタルズは見るものがない
仮想通貨データ分析企業であるMessari社のリサーチアナリストRyanWatkins氏は、ファンダメンタルズに基づいて半減期を強気にみている分析は、参考になるような見るべきものが存在していないと主張しています。
さらにマクロ経済が不確実である間は、半減期を短期的にみた場合、ビットコインと他の金融資産は変わらないとする旨を述べています。
画像引用:RyanWatkins Twitter
ビットコインオプション市場は歓迎していない
ビットコインの半減期に対してあまり意味がないというよりも、どちらかといえば歓迎していないのはビットコインオプション市場です。
ビットコインオプションについて簡単に説明すると、所定の時間内に、決めた価格で、資産となっているビットコインを売る権利や買う権利を与える契約のことです。
オプション取引には大きく分けてロングとショート、そしてコールとプットの計4種類があります。
ロングコールなら、決めた価格で「買う権利」を「買う」ことを指します。
ショートコールは、決めた価格で「買う権利」を「売る」こと。
ロングプットなら、決めた価格で「売る権利」を「買う」こと。
ショートプットは、決めた価格で「売る権利」を「売る」こととなります。
このビットコインオプション市場は、ビットコインの半減期を強気に取引できるイベントだとはみなしていないようです。
以下のグラフは仮想通貨データ分析をおこなっているSkew社が発表しているビットコインのプットコールレシオを示したものです。
プットコールレシオとは、「売る権利」の契約金額を「買う権利」の契約金額で割ったもので、相場のトレンドや投資家の心理を知る目安に使われる指標のことをいいます。
つまり相場が下落した時に利益を狙うプット型、そして相場が上昇した時に利益を狙うコール型のどちらが多いのかを知ることができるわけです。
なお、一般的にはプットコールレシオが上昇していくと、相場は下落局面にあるといわれています。
画像引用:analytics.skew.com
このグラフでは、黄色線が取引ボリュームをあらわし、黒線は未決済建玉のプットコールレシオをあらわしています。
グラフをみると取引ボリュームは上がっておらず、むしろ下がっているのですが、未決済建玉のプットコールレシオは4月に入ってから上昇し続けていることが分かります。
これはつまりビットコインオプション市場は、半減期が近づくほどビットコイン価格が下落する可能性が高いと考えており、そのリスクヘッジをしようとしていることが分かります。
まとめ
ビットコインの半減期について短期的な視点で価格が上がる、もしくは価格が下がるなどでみるべきではないとする意見に加え、半減期のリスクを警戒しているビットコインオプション市場の実例も紹介いたしました。
ご説明したこれらの説が正しく、半減期に右往左往するべきではないと断言することは難しいかもしれません。
事実、新型コロナウイルスの影響で大きく下落したビットコイン価格は、半減期を前にして94万円台にまで上昇しています。
ただこの価格上昇が半減期を10日後に控えたからなのか、それともFRBの量的緩和がここにきてさらに影響を及ぼしているのかの判断はできません。
しかし、量的緩和がビットコイン価格に大きな影響を及ぼすであろうことは確実であり、それがいつ、どのように現れるのかは見定める必要があるでしょう。
またビットコインの将来にも間違いなく影響するはずです。
その影響が、ビットコインにとって良い形であらわれて欲しいものです。