新型コロナウイルスが中国のマイニングにまで影響か
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- 2020.02.01.
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- 新型コロナウイルスが中国のマイニングにまで影響か
2019年の年末に中国武漢で発生したとされている新型コロナウイルスの猛威は確実に広がり続けており、2020年1月31日現在も感染者数は増えているようです。
この日、日本の外務省は中国に対する感染症危険情報のレベルを引き上げました。
これにより当該地域への渡航の自粛や中止勧告が出されることになります。
新型コロナウイルスの影響はあちこちに出始めており、iPhoneの販売や製造にまで影響が出ていることが報道されています。
そして中国に多い仮想通貨マイニング業者にも、確実に影響が出ています。
マイニング業者への影響とはどのようなものなのでしょうか。
またその影響はビットコイン価格にどのような影響を及ぼすのでしょう。
これらについて詳しくご説明しましょう。
新型コロナウイルスの拡大と対応
中国武漢市で発生した新型コロナウイルスによる感染はますます広がっており、中国国家衛生健康委員会の発表によると、2020年1月31日現在の中国国内の感染者数は9,692人となり、死亡者数は123人に達しています。
なお感染患者はチベット自治区でも確認されたため、これで中国全土に感染が広がったことになります。
WHO(世界保健機関)が緊急委員会を開催して協議した結果、新型コロナウイルスが中国以外の国に拡大する可能性を考慮し、緊急事態宣言をおこないました。
日本の外務省は、WHOの緊急事態宣言を受け、中国全土に対する感染症危険情報を不要不急の渡航自粛であるレベル2に引き上げました。
なお武漢市のある湖北省については、1月24日の渡航中止勧告であるレベル3を維持したままになっています。
さらに入国申請の前14日以内に湖北省で滞在していたことのある外国人だけでなく、湖北省の旅券を持つ人に対しては、特別な事情があるケース以外の入国を拒否する方針のようです。
米国ではこれまで湖北省のみを渡航中止にしていましたが、緊急事態宣言によってその対象を中国全土に広げました。
新型コロナウイルスによるマイニングへの影響
猛威をふるっている新型コロナウイルスによって、省を超えた交通手段による移動は困難になっており、街中を出歩く人も極端に少なくなっているようです。
これはもちろん、中国政府による都市隔離政策の影響もあります。
加えて中国政府は2020年1月24日から30日までだった春節の連休を、新型コロナウイルス拡大防止のため、2月9日まで延長することを発令しています。
つまり10日間延長することで、春節で帰郷していた人たちのUターンや仕事の再開による人同士の感染を少しでも防ぎたいということです。
この春節の延長によって、中国大手のマイニングマシンメーカーであるBitmainだけでなく、Canaan、MicroBTの各社におけるマシン製造と出荷が遅れることになりました。
画像引用:Bitmain
この3社の中でも特にMicroBT社は顧客に向け、生産や輸送だけでなくアフターサービスも正常に機能していないと発表していますが、BitmainやCanaanも実情は同様でしょう。
3社はいずれも中国本土に生産ラインを設けており、とりあえず春節が終わらなければ生産だけでなく輸送も目途が立っていません。
春節が終わったとしても、新型コロナウイルスのこれ以上の拡大を防ぐため、中国政府がどのような措置をとるかも不透明です。
政府の発令内容によっては、生産や輸送の停滞がさらに続く懸念もあるわけです。
現時点でのマイニング業務への影響
中国にあるマイニング業者はほとんどが四川省や雲南省、新疆省などにあり、武漢市のある湖北省とは離れていることもあって、感染者は出ているものの、現状ではマイニング業務は問題なくおこなわれているとのことです。
ただしこれはあくまでも現在の状況であり、今後マイニング業者が多い地域で新型コロナウイルス感染者が急増してくると、中国の主要マイニング地域が稼働しなくなる可能性も否定できません。
新型マイニングマシンが届かないという意味
では、中国に拠点を置くマイニングマシンの大手であるBitmainやCanaan、MicroBTの新型マイニングマシンの生産や輸送が確保できず、発注していたにも関わらず届かないという事態はどのような影響を及ぼすのでしょうか。
3社への発注は中国マイニング業者が多数
中国に拠点を置くBitmainなどのマイニングマシンメーカーからマシンを購入するのは、その多くが中国国内にあるマイニング業者です。
世界的に見ても中国の四川省などにマイニング業者が多いのは、電気代の安さが大きな理由ですが、もうひとつの理由がBitmainなどの世界最大手マイニングマシンメーカーが中国に拠点を構えているということも挙げられます。
同じ中国国内であれば、Bitmainの最新型マイニングマシンが少しでも早く、しかも輸送費はそれほどかからずに入手できるというメリットもあるわけです。
多くのマイニング業者が新型マシンを手にできない
世界でも主流であるマイニングマシンのメーカーであるBitmainやCanaan、MicroBTなどから新型のマイニングマシンが届かないということは、旧型の性能の劣ったマイニングマシンを継続して使わざるを得ないということです。
旧型のマシンは新型のマシンと比べると、どうしても演算能力は劣ってしまいます。
特に2020年5月に4年ぶりの半減期を迎えること、そしてビットコイン価格の上昇から、マイニング業者にとっては今が最も重要な時期です。
つまり今が一番利益を出しやすい時期であるにも関わらず、旧型マシンを稼働させなければならないというわけです。
ディフィカルティは1月28日に上昇
旧型マイニングマシンを稼働させるしかないマイニング業者にとって、もうひとつ頭の痛い問題があります。
それはビットコインをマイニングする際の難易度であるディフィカルティが、2019年12月20日から続けて4回上昇しているということです。
直近のディフィカルティは1月28日におこなわれており、その際には+4.67%になっています。
画像引用:btc.com Difficulty
これは、マイニングが+4.67%難しくなっているにもかかわらず、旧型マシンでマイニングしなければならないということです。
次回のディフィカルティ調整は2週間後の2020年2月10日ですが、その間に新しいマイニングマシンが届かなければ、旧型マシンで難しいマイニングをこなさなければならず、マイニング業者にとっては厳しい状況といえるでしょう。
ビットコイン価格への影響
では上記のような状況は、ビットコイン価格にどのような影響を及ぼすのでしょうか。
一般的に考えると、2020年1月31日時点で100万円を突破しているビットコインは、需要と供給のバランスでみると需要に寄っている、つまり需要の方が多く、供給が少ない状態だといえます。
しかも新型のマイニングマシンが届かないマイニング業者が増え、さらにディフィカルティはプラスの調整になっているため、新しいビットコインが仮想通貨市場に出回りにくくなり、需要の方が多い状態をより加速させることにつながります。
すなわちビットコイン価格の上昇につながりやすいということです。
まとめ
中国の新型コロナウイルスによる影響がマイニングにまで及んでいることをご説明しました。
マイニングに影響が及ぶとビットコインが供給されにくくなるため、理論上は価格の高騰につながるはずです。
ただし現在100万円台のビットコイン価格が今後確実に上昇するとは断言できず、他の要素によって下落する可能性ももちろんあるでしょう。
ビットコインの値動きを見極めていくためにもニュースやチャートはしっかり確認し、慎重な判断を心掛けてください。