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金融庁が仮想通貨FXレバレッジに2倍規制の方針

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  • 2020.01.12.

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日本の仮想通貨FXのレバレッジは、JVCEA(一般社団法人 日本仮想通貨交換業協会)の自主規制によって現在4倍と定められています。

仮想通貨FX業者はJVCEAに加盟しなければ実質的に営業しにくくなるため、4倍のレバレッジに統一されてしまいます。

 

しかし2019年12月14日のニュース記事「日本の仮想通貨FXはレバレッジ2倍になるのか」でもご説明した通り、金融庁内部ではレバレッジを2倍に引き下げるべきだろうという意見が出ていました。

 

そして2020年1月10日、金融庁が仮想通貨FXのレバレッジを2倍にする方針を固めたとの報道がありました。

やはり前述の記事の通り、引き下げを実施することに至ったようです。

 

このニュースについて詳しくご説明するとともに、日本の仮想通貨FX業界の不安などについてもご説明しましょう。

 

金融庁がレバレッジを2倍に規制する方針を決定

金融庁が、仮想通貨FXのレバレッジを最大2倍にする方針を固めたことが2020年1月10日の日経新聞によって報道されました。

 

実際に規制を施行するまでの段階として、2020年1月中にレバレッジ2倍規制に対する意見公募を開始し、その後、春の時点で改正金融商品取引法における内閣府令で施行という計画のようです。

 

JVCEAの自主規制ではない国の規制

これまでの日本国内の仮想通貨FX事業者におけるレバレッジ規制は、全て仮想通貨FX事業者が加盟しているJVCEA(一般社団法人 日本仮想通貨交換業協会)が定めた自主規制によって規制されていました。

JVCEA

画像引用:JVCEA

 

JVCEAは名前の通り一般社団法人であり、金融庁の下部組織ではないものの、金融庁が資金決済法下において認めている認定資金決済事業者協会です。

そのため、JVCEAが主導して規制や利用者保護のための施策を実施することになっています。

 

日本の仮想通貨FX業者のレバレッジが徐々に引き下げられ、2020年1月11日現在、4倍にまで引き下げられたのも、全てJVCEAが主導して実施した自主規制によるものでした。

 

しかし今回の報道にある「改正金融商品取引法における内閣府令として施行」は、国が初めて直接レバレッジを規制する動きに出たということになります。

 

国が直接規制を実施するに至った経緯

ではこれまで仮想通貨FXのレバレッジ規制をJVCEAの自主規制に委ねていたのが、どうして国が直接規制することになったのでしょうか。

 

2018年1月に起こったCoincheckのNEM流出事件は、政府の仮想通貨に対する規制を強化する動きに拍車を掛けました。

諸外国から日本の規制が2年先をいっているといわれるようになったのは、このような背景があるわけです。

しかし日本における仮想通貨での取引の内、証拠金取引と信用取引が全取引のおよそ80%を占めているものの、これらの取引に関する法的な規制はありませんでした。

 

そんな中、2019年5月に仮想通貨の交換業者だけでなく、取引に関する規制を強化した資金決済法と金融商品取引法の改正法が成立したわけです。

そして改正法の目玉ともいえるのが、仮想通貨FXのレバレッジ2倍規制ということになります。

 

レバレッジ2倍規制に対する意見

では2020年の春にレバレッジ2倍規制が施行されることに関して、業界関係者や利用者などはどのような意見を述べているのかをご紹介しましょう。

 

bitFlyer Blockchain加納裕三氏の意見

元ゴールドマンサックスのトレーダーであり、現在はbitFlyer BlockchainのCo-Founder/CEOである加納雄三氏はブログの中で、仮想通貨のレバレッジはボラティリティーを勘案するのが良いと述べています。

 

さらに、レバレッジの下げ過ぎは仮想通貨の流動性を悪くすることにつながることを指摘。

板の注文量が減ることで少しの取引で価格は大きく変化するため、本来は投資家の保護を目的としていたにもかかわらず、結果的に保護にならなくなるという旨も述べています。

bitFlyer Blockchain blog

画像引用:bitFlyer Blockchain blog

 

仮想通貨業界関係者の意見

仮想通貨業界関係者の意見として紹介されているのが、日本国内の仮想通貨FX業者の運営に関してです。

 

レバレッジを2倍に引き下げてしまうと、利用者は少しでも大きな利益が得られる可能性が高い海外の仮想通貨FX業者に流れることになってしまう。

この傾向はレバレッジを4倍に規制した時からのものであり、それがより加速してしまう。

 

こうなると日本国内の仮想通貨取引所は、単に海外で仮想通貨FXをおこなうために必要なビットコインなどの現物を購入するだけの利用に限定されてしまい、事業運営そのものが厳しくなってしまうことが考えられるとしています。

 

個人投資家の意見

レバレッジ2倍規制に対する個人投資家の意見としては、2019年12月14日のニュース記事「日本の仮想通貨FXはレバレッジ2倍になるのか」内でも紹介させていただきましたが、改めてまとめてみます。

 

レバレッジが2倍になることと仮想通貨FXのリスクは本来比例しないものの、リスクが低くなったと勘違いした仮想通貨FX初心者が安易に取り組んでしまい、結果的に追証を抱え込む危険性が高まります。

本当に仮想通貨FXを利用する人々を保護するために規制するのであれば、レバレッジは下げるのではなく、ハイレバレッジにしたうえでゼロカットの仕組みを導入する方が良いという意見がでています。

 

ゼロカットシステムの日本導入について

ゼロカットシステムとは、本サイトでも紹介しているBybit やBitMexなどが導入しているシステムのことで、多少の仕組みや呼び方は異なるものの、仮想通貨FXの証拠金取引において、保有ポジションと逆の値動きになったとしても、利用者は証拠金を失うだけで済む仕組みのことです。

日本の仮想通貨FX業者のように追証を支払う必要がないわけです。

 

非常に優れたシステムといえるはずですが、日本の仮想通貨FX業者はどうして導入しないのでしょうか。

このことに対してTAOTAO株式会社のCEOである荒川佳一朗氏が、Twitterの質問箱で答えています。

peing.net

画像引用:peing.net

 

この中で荒川佳一朗CEOはゼロカットの有用性は十分理解しており、うまく設計して機能させられれば投資家保護につながるだろうと述べています。

 

ただゼロカットは規制の観点から見ると、損失補てんに当たるのではないかとの指摘があり、日本における他の金融商品などが導入できていないことを考えると、それほど簡単に導入できるものではないと感じると説明しています。

 

すなわち、日本で仮想通貨FXにゼロカットを導入できるようにするには、法的な規制をクリアしなければならないということになります。

 

本当の利用者保護のために

金融庁は今回のレバレッジ2倍規制を、ほぼクローズドの状態で議論し、施行する動きに至っています。

 

レバレッジ規制問題は仮想通貨FXの利用者だけでなく、日本の仮想通貨業界全体に大きな影響を与え、ひいては日本における仮想通貨の未来をも潰しかねない問題です。

本来であれば金融庁によって選ばれた有識者だけでなく、業界関係者や利用者からのヒアリングなども必要な課題であるにも関わらず、それすらも満足に実行されていません。

 

残された機会は2020年1月中に開始されるという意見公募でしょう。

この機会を失うと、仮想通貨業界関係者や利用者の声を届けることができません。

本当の意味の利用者保護を実現させるためには、是非活用すべき機会といえるのではないでしょうか。

 

まとめ

金融庁が2020年春から、仮想通貨FXのレバレッジを2倍に規制することを方針として固めたことについてご説明しました。

 

日本は仮想通貨業者に対する規制は世界一であるといわれていますが、本当の意味での利用者保護を理解しきれていないようです。

このままでは、日本における仮想通貨の将来に期待できなくなってしまいます。

 

本末転倒の規制は、発展につながらないことを金融庁は知るべきではないでしょうか。

 

海外の仮想通貨デリバディブ取引は、高水準のリスクを伴う投資であり、全ての投資家に適した投資ではありません。海外の高倍率のレバレッジは少額の資金で証拠金を上回る取引を行うことができますが、仮想通貨は急激な価格変動も多く、短期間に利益を出せる一方で、証拠金の大部分や全てを失ったり、取引額が証拠金を上回っていれば、証拠金額等を超える損失が発生するケースもございます。損失に耐えられない資金投資はするべきではなく、海外業者で仮想通貨FX取引を始めるにあたっては、投資目的やご自身の経験、リスクの許容範囲などを含めて慎重にご検討し、取引内容を十分にご理解いただいた上で、ご自身の責任と判断において取引を行ってください。

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