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中国でハッシュレートシェアが拡大しつつある理由

  • ビットコイン
  • 2019.12.13.

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  • 中国でハッシュレートシェアが拡大しつつある理由

中国は習近平国家主席がブロックチェーン技術を推進することを宣言しましたが、ブロックチェーンを使った代表的存在である仮想通貨取引については禁止したままの状態です。

さらに仮想通貨取引業者に対する取り締まりも強化しつつあります。

中国政府の取り締まりに関しては、2019年11月30日のニュース記事「ビットコイン価格の低迷は中国の取り締まりが影響か?」でご説明した通りです。

 

ただし仮想通貨のマイニング業については、NDRC(国家発展改革委員会)が一時禁止を考えていたようですが、最終的には禁止しないことになりました。

 

このような状況にあった仮想通貨のマイニングがここにきてハッシュレートシェアを拡大しつつあり、2019年6月のシェア60%から現在はさらに拡大してきているようです。

中国のマイニング業者のハッシュレートシェアがここまで拡大してきた理由とはどのようなものなのでしょうか。

またこの背景にはどのような理由があるのでしょう。

 

このニュースに関して詳しくご説明しましょう。

 

中国マイニング業者のハッシュレートシェア拡大

中国のビットコインマイナーのハッシュレートシェアが最近特に拡大しているというCoinSharesの研究者の発表を、REUTERSが2019年12月11日に報道しました。

 

CoinSharesは、ヨーロッパ地域におけるデジタル資産をマネージメントする企業の中でも最大の企業です。

Reuters

画像引用:Reuters

 

「中国のビットコイン採掘者がより大きな生産力を獲得-研究(Google翻訳)」と題された記事によると、CoinSharesの研究者が計測したこの2年間で、ビットコインハッシュレートは、中国のマイニング業者が66%の割合を占めるようになったとのことです。

 

この割合は、2019年6月の中国のマイニングハッシュレートシェアが60%だったことから比較しても、さらに拡大していることが分かります。

 

ハッシュレートとは

ハッシュレートは仮想通貨、今回のケースではビットコインを発掘するためにマイニングマシンが計算する1秒当たりの計算力、すなわち発掘速度のことをいいます。

ハッシュレートの表示はhash/sで表します。

マイニングマシンの性能が高いほどハッシュレートは高くなり、1秒当たりの計算力が高まるということです。

 

なお、過去から現在までのハッシュレートの推移は、以下のようなグラフで見ることができます。

blockchain.com

画像引用:blockchain.com

 

年々ハッシュレートが高くなってきているのは、マイニング業者が増えてきており、マイニングマシンの台数が増えてきていることだけが要因ではありません。

マイニングマシンが年々高性能になってきていること、そしてマイニングマシンを休まずにずっと稼働させる、つまり稼働時間が長くなってきていることも要因といえます。

 

ハッシュレートシェアが高いとは

ではハッシュレートシェアが高いとはどういうことなのでしょうか。

 

グラフのハッシュレートの100,000,000を赤四角で囲んでありますが、これは100,000,000 hash/s、M(メガ)は100万をあらわすので、10M hash/sと表示します。

例えばその時のハッシュレートがこの10M hash/sだった場合、60%のシェアは6M hash/sとなるわけです。

 

ハッシュレートシェアを高めるためには、より高性能のマイニングマシンを多数導入するか、マシンの台数を今よりも増やす、もしくはマシンの稼働時間を長くする必要があるということになります。

 

CoinShares研究者の指摘

CoinSharesの研究者であるChristrher Bendiksen氏は、中国のハッシュレートシェアが高まっているのは、より高度なマイニングマシンを大規模に配置したことが要因であると説明しています。

 

またマイニング業者は中国だけでなく世界各地にありますが、競合している他国のマイニング業者よりもハッシュレートシェアを高めることができれば、有利に働くことも説明しています。

CoinShares

画像引用:CoinShares

 

中国のマイナーのシェアが高い理由

ではどうして中国のマイナーがこれほど高いハッシュレートシェアを維持できるのでしょうか。

 

それには前述したように、より高度なマイニングマシンを大規模配置したことが背景にありますが、競合他社も同じように高度なマシンを大規模配置すれば中国に並ぶことができるはずです。

中国には何らかの特別な理由があるのではないでしょうか。

 

CoinSharesの研究者Christrher Bendiksen氏がこの点について指摘しているのは大きく2点あります。

 

まず1つが、マイニング業者が多い中国の中でも、四川省には特にマイニング業者が多く、しかも四川省ではマイニングに欠かせない電気代が安く、人件費も安く抑えることができること。

そして電気代が安い水力発電がおこなわれる雨季への対応など、環境に応じて最適なマイニングができるよう研究されていることを挙げています。

 

そしてもう1つが、マイニングマシンに関してです。

中国には高度なマイニングマシンを大量に導入することができるルートが備わっていると指摘しています。

中国にはマイニングマシンメーカー大手のBitmainやCanaanがあります。

Bitmainはマイニングマシンとして有名なAntminerなどを販売しているだけでなく、自社でマイニングもおこなっています。

Canaanもマイニングマシンメーカーとしては世界2位であり、やはりマイニング事業も展開しています。

そしてこれらのメーカーはマイニングマシンに不可欠なチップなどのOEM契約で、世界の主要なルートを抑えてしまっているのが現状です。

つまり高度なマイニングマシンを自社で導入することができるだけでなく、他国のマイニング業者では真似しづらい業界構造になっているというわけです。

 

中国マイナーの天下はいつまでか

上記したような、中国のマイナーが高いハッシュレートシェアを確保できる理由を知ると、中国マイナーの天下がずっと続いていくように感じるかもしれません。

 

Christrher Bendiksen氏によると、中国のマイニング天下はいずれ低下していくのではないかと説明しています。

その理由として、高度なマイニングマシンは今後中国以外にも流通していくであろうことを挙げています。

 

しかし中国製の高度なマイニングマシンが中国以外に販売される際の関税を考慮すると、BitmainやCanaanよりも高額で購入しなければならない可能性があります。

また中国以外のマイニングマシンメーカーが、BitmainやCanaanのマシンと同等の性能を持つマシンを開発するのもそれなりの時間がかかるでしょう。

 

これらを考え合わせると、いずれ中国の優位性は薄れてくるものの、それにはある程度の期間がかかるのではないかとも考えられます。

 

中国政府がどう動くかが影響

BitmainやCanaanの高度なマイニングマシンを他国のマイニング業者が購入しようとしても、関税が影響する可能性があることは説明しました。

 

ではもし中国政府が外貨獲得の一手として仮想通貨のマイニングを重視し、自国のマイニング業者を守るため、マイニングマシンに高い関税を課したとするとどうなるでしょう。

すなわち中国政府がバックアップしたらどうなるかということです。

 

そうなると、中国のマイニングマシンと同等の性能を持ち、価格も安いマシンが中国以外で販売されるまで、中国マイナーは地位が安泰ということになります。

 

中国政府の動き次第で状況が変化することがご理解いただけるでしょう。

 

まとめ

中国でビットコインのハッシュレートシェアがどんどん拡大している理由や、その背景などについてご説明しました。

 

中国でのマイニングが今後どうなっていくのかは、中国政府の動きに大きく影響されます。

また中国政府の動きは、貿易戦争の相手国である米の動きにも影響されるでしょう。

 

非常に複雑な背景がありますが、これらを把握するためにもニュースに注目しておくようにしましょう。

 

海外の仮想通貨デリバディブ取引は、高水準のリスクを伴う投資であり、全ての投資家に適した投資ではありません。海外の高倍率のレバレッジは少額の資金で証拠金を上回る取引を行うことができますが、仮想通貨は急激な価格変動も多く、短期間に利益を出せる一方で、証拠金の大部分や全てを失ったり、取引額が証拠金を上回っていれば、証拠金額等を超える損失が発生するケースもございます。損失に耐えられない資金投資はするべきではなく、海外業者で仮想通貨FX取引を始めるにあたっては、投資目的やご自身の経験、リスクの許容範囲などを含めて慎重にご検討し、取引内容を十分にご理解いただいた上で、ご自身の責任と判断において取引を行ってください。

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