習近平の発言がビットコインを高騰させた理由
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- 2019.10.28.
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2019年10月25日から26日に日付が変わって間もなくビットコイン価格が高騰し始め、一時は111万円台にまで上り詰めました。
その後価格は下がり始めたものの、再び上昇を始め、10月28日午後の時点で104万円台を推移しています。
一時は80万円を切ってしまうかもと思われていたビットコインが急騰した背景には、中国の習近平国家主席の発言があるといわれています。
今回は習近平国家主席の発言がビットコイン価格に影響しているのかどうか、そしてこれほどまでに高騰させた要因についてもご説明しましょう。
10月25日の習近平国家主席の発言
中国の新華社通信が10月25日に開催された中央委員会の会議において、習近平国家主席がブロックチェーンは今後の革新に重要な技術であり、開発を加速させなければならないと発言したと報道しました。
画像引用:xinhuanet 新華社通信 北京
CPC中央委員会の書記長であるXi Jinping(習近平)は、ブロックチェーン技術の統合的応用が新しい技術革新と産業変革において重要な役割を果たすことを強調しました。
コアテクノロジーの独立したイノベーションの重要なブレークスルーとしてブロックチェーンを採用し、主な方向を明確にし、投資を増やし、いくつかの主要なコアテクノロジーに焦点を当て、ブロックチェーンテクノロジーと産業イノベーションの開発を加速する必要があります。
引用:xinhuanet 新華社通信 北京 Google翻訳
上記の発言があった会議は定期開催されているワークショップ的なものであり、ブロックチェーンについての現状および将来像を把握するために開催されていたものでした。
発言報道後にビットコインが高騰
上記の報道後、2019年10月26日に日付が変わったことからビットコイン価格が急騰し始めました。
10月26日午前0時頃は83万円台だったビットコイン価格は、一気に91万円台まで上昇し、その後111万円台にまで急騰しています。
習近平国家主席の発言が急騰の原因か?
今回のビットコインの値動きは非常に大きく、24時間でおよそ4割上昇していることになります。
1日あたりのリターン金額としては、ビットコインの歴史上4番目の大きさです。
ではビットコインの急騰は習近平国家主席の発言が報道されたことが原因なのでしょうか。
実はこのタイミングで価格が高騰したのはビットコインだけではなく、アルトコイン、特に中国系のアルトコインが急騰しているのです。
トロン(TRX)はおよそ17%上昇し、ネオ(NEO)は30%近く上昇しています。
またオントロジー(ONT)は50%も上昇しています。
画像引用:coin360 TRON 7日間チャート
上記のTRON 7日間チャートを見ると、26日に上昇した後に一度下がり始めますが、また大きく上昇しているのが分かります。
一方、他のアルトコインはこれほど上昇を示していません。
つまりビットコインと中国系のアルトコインが同じタイミングで大きく急騰しているわけです。
これから考えられることは、やはり習近平国家主席の発言報道が大きく影響しているということでしょう。
なぜ発言報道だけでこれほど急騰したのか
習近平国家主席がブロックチェーンに関する発言をしたことだけで、どうしてこれほどビットコインやアルトコインが急騰したのでしょうか。
もちろんブロックチェーン技術を応用する仮想通貨にとって、今回の発言内容をポジティブに感じることは誰にでも判断できます。
しかしそれだけでここまで急騰してしまうものなのでしょうか。
実はこの急騰の背景には中国という独特のお国柄、そしてこの日まで仮想通貨を取り巻いていたネガティブな環境などが影響していると指摘されています。
中国という国のトップの発言
今回の発言の影響力が大きかったのは、中国という国のトップが発言したからという意見があります。
米投資会社のMaple Leaf Capital社が、このことに関して大きく3つの理由を説明しています。
画像引用:Maple Leaf Capital Twitter
まず1つが中国のトップダウンが徹底されているということを挙げています。
習近平国家主席がやると発言したことは、全ての部署が動き、政策だけでなく補助金までが伴っていきます。
そして中国の地方では、そのための具体策が決められていきます。
これに呼応するように中国の全企業がブロックチェーン技術の可能性を探りだし、CCTVはブロックチェーンに関する放送を流しだします。
大学においてはブロックチェーン関連のコースを新設し、教育にもブロックチェーンに関する内容が盛り込まれるようになります。
そして2つ目に今回の発言によって、中国でこれまで詐欺の代名詞的存在のように扱われていた仮想通貨などが、イメージ的に180度転換して公認のものになるということを説明しています。
3つ目に挙げているのが、ブロックチェーンを学ぶためにはビットコインを無視することはできないという点です。
ビットコインはブロックチェーン技術を応用した典型的な成功例であり、補助金を活用する企業がビットコインに投資することを考えるはずだとしています。
ネガティブ環境の中で輝いたポジティブな話題
上記以外に挙げられるのが、今回の発言までの間、ビットコインを取り巻いていたネガティブな環境が挙げられます。
価格は大きく低迷を続けており、仮想通貨に対するポジティブな話題も見当たりませんでした。
特にフェイスブックの仮想通貨リブラに対する風当たりが強く、G7ワーキンググループがステーブルコインを現状のままでは認められないという報告書をまとめ、議長国であるフランスもこの内容を歓迎しました。
また2019年10月23日に実施された米下院公聴会でも、フェイスブックのマーク・ザッカーバーグCEOに対する質問はまるで文句のようなものが目立っていました。
つまりビットコインの価格が低迷している中、仮想通貨の今後に希望が持てない話題しか見当たらなかったのです。
そんな時に中国の習近平国家主席の発言が報道されました。
しかも中国は、仮想通貨に対する規制を敷く以前には取引高世界一位だった国です。
本来は仮想通貨に対する投資欲や関心などが非常に高いはずなのです。
このことは仮想通貨取引をしているトレーダーなら誰でも知っているはずでしょう。
ネガティブな話題ばかりが続いていた中で、待望のポジティブな話題が飛び出してきたわけですから、その話題性の大きさとポジティブさは普段以上に輝いて見えたはずです。
価格高騰につながらない方がおかしいのかもしれません。
仮想通貨アナリストであるAlex Krüger氏は、今回の発言をした習近平国家主席を仮想通貨の父だと表現しています。
画像引用:Alex Krüger Twitter
Alex Krüger氏以外にも、習近平国家主席を褒めたたえる声が多数見受けられています。
つまり、それほど熱望していた仮想通貨にとって非常に大きな、そしてポジティブな話題だったということです。
まとめ
中国の習近平国家主席の発言内容と、ビットコイン価格への影響についてご説明しました。
中国はもともと仮想通貨に対して貪欲であり、それゆえに取引高が世界一になったのでしょう。
また中国ではデジタル人民元を計画しており、今やその準備段階にあるといわれています。
これらがあるからこそ習近平国家主席の発言が、仮想通貨の将来について説得力のあるポジティブなものに感じられたはずです。
ただし中国がブロックチェーンについて積極的になったとしても、それはあくまでもデジタル人民元構想があるからであり、ビットコイン取引がすぐに解禁になるかどうかは別問題です。
そしてビットコインへどのような影響を及ぼすのかも、まだ不透明です。
そう考えるとするならば、今回の高騰が今後のさらなる価格上昇につながっていくのか、確信が持てないのは誰もが感じているでしょう。
今後の中国の動きに目が離せなくなってきました。