フェイスブックが仮想通貨リブラを発表
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- 2019.06.25.
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2016年6月18日、SNSで知らない人がいないほど有名な米フェイスブック(Facebook)が仮想通貨リブラ(Libra)のホワイトペーパーを発表しました。
フェイスブックが仮想通貨を発行するということで、一部の情報が事前に報道されていたことからも注目度は非常に高く、多くの推測も流れていましたが、やっとはっきりした構想が把握できたわけです。
ファイスブックを利用している人や仮想通貨に関心のある人ならおそらく誰でも興味がある、この仮想通貨リブラについて詳しくご説明しましょう。
6月18日フェイスブックが仮想通貨リブラを発表
米SNSのフェイスブックが仮想通貨リブラ(Libra)の構想について、ホワイトペーパーを発表しました。
仮想通貨リブラはステーブルコインで、何種類かの法定通貨だけでなく、何種類かの国債を裏付け資産にした世界中で利用することを目指したものです。
発表によるとリブラの運用と普及のための子会社カリブラを設立したようです。
仮想通貨リブラについて
画像引用:libra
仮想通貨リブラはリブラブロックチェーンと呼ばれる独自のブロックチェーンで構築され、発行されます。
しばらくの間は誰でもネットワークに参加できるわけではなく、許可制を取り、リブラの普及に合わせて無許可で参加できるネットワークにしていくようです。
リブラの大きな特徴は、ステーブルコインであることです。
しかも単一の法定通貨だけでなく、複数の法定通貨と複数の国の国債を裏付け資産にしています。
これは世界中で利用されることを視野に入れており、従来の一国の法定通貨を裏付け資産としたステーブルコインよりも高い信頼性と安定性を持たせたということです。
裏付け資産となる法定通貨や国債は一ヵ所に保管するのではなく、世界中の信頼できる金融機関のネットワークで厳重に保管するようになっています。
リブラの発行により、莫大な金額が利益として上がってきますが、これらは全てフェイスブックとは別に設立されたリブラ協会(Libra Association)の運営やリブラの開発に利用されるようになっています。
またリブラはステーブルコインであるため、投資の対象としての存在ではなく、送金・現金引き出し・購入決済のために活用することを目的に開発されています。
そのため、裏付け資産である複数の国の法定通貨や国債よりも値上がりすることはありません。
新たに設立されたカリブラ
リブラ発行にあたってフェイスブックは、リブラ普及と運用のため、子会社としてカリブラを設立しており、カリブラが前述したリブラ協会に参加している形になっています。
画像引用:calibra
リブラ協会はスイスのジュネーブを本拠地として設立され、mastercardやVISA、イーベイ、PayPalなどの決算企業以外にも仮想通貨取引所など、複数の企業が参加しており、今後はメンバー企業を募っていく方針です。
しかし、これだけの企業がリブラ協会に参加しているにも関わらず、フェイスブックそのものは参加していません。
これはリブラの運用などにフェイスブックの力が及ばないよう配慮されているためです。
専用のウォレットアプリをリリース予定
カリブラからはリブラ専用のウォレットアプリがリリースされる予定になっています。
このウォレットアプリを使用すると、メールを送信するようにリブラを送金することができます。
もちろん送金は小額から可能で、決済にも少ない操作でできるのが特徴です。
またリブラの送金や商品購入、現金引き出しに際してはこのウォレットアプリだけでなく、既にフェイスブックからリリースされているFacebook MessengerやメッセージアプリWhatsAppからも利用できるようになります。
非常に多くの人に利用されている既存アプリを利用できる点からも、利便性は非常に高いものになります。
セキュリティに重要なアカウント
リブラ専用のウォレットアプリは、セキュリティを高めるため、フェイスブックやFacebook Messenger、WhatsAppで使っていたものとは異なるアカウントを設定できるようになっています。
異なるアカウントを設定したうえで、フェイスブックやFacebook Messenger、WhatsAppで使っていたアカウントと連動させることができるようです。
また設定するアカウントもセキュリティを高めるためにID認証が準備されており、フェイスブックなどで被害の多かった「なりすまし」を防ぐことができます。
アプリに内蔵される機能
専用のウォレットアプリには個人情報やリブラ取引の履歴などが流出しないよう、保護機能があり、これ以外にもリブラの詐欺に合わないような機能やリブラ決済報告機能に加え、サポート機能も搭載されているようです。
リブラの低い手数料設定
法定通貨を国際送金するより、仮想通貨を送金する方が送金完了までに時間短縮できるだけでなく、手数料も安くなりますが、リブラは従来の仮想通貨送金よりも送金手数料は低く設定するようです。
もちろん送金にかかる時間が短いのは従来の仮想通貨と変わりません。
また実際の店舗やオンラインショップでの決済に利用する際にも、これまでの仮想通貨より手数料は低く設定されています。
これらに加えて、リブラでの決済が手早くできるよう、専用のPOSシステムも開発されているようです。
リブラはいつリリースされるのか
現在のところ、リブラはまだ開発途中であり、数か月かけてプロトタイプのテストを経てリリースする手順になっているとのことです。
目標としては2020年にリリース予定であり、前述のリブラ専用ウォレットアプリも合わせてリリースしたい考えのようですが、正式なリリース予定日は発表されていません。
リブラへの期待と疑問
これまでの説明で分かるように、リブラは投資目的の仮想通貨ではなく、世界中で通用する通貨を目指して開発されています。
しかもそれをフェイスブックという世界的SNSを有する企業が発表しているため、いよいよ本格的な仮想通貨時代がやってくるのかと期待する人がいる一方で、このやり方で大丈夫なのかと疑問を持つ人もいるようです。
世界的に見ると、国際送金に仮想通貨を利用している人は非常に多く存在しています。
彼らの多くは銀行口座を持たず、海外に出稼ぎに行き、国にいる家族のもとへ稼ぎを送金しています。
法定通貨での送金は手数料が非常に高く、しかも着金まで時間がかかりますが、仮想通貨の送金であれば手数料も安く、着金までそれほど時間はかかりません。
このような人たちにとって、リブラはありがたい存在になるはずです。
また海外に頻繁に出かける人にとっては、通貨を両替しなくてもリブラ決済することができるなら、レートを気にする必要もなくなります。
歓迎する人々がいる一方で、リブラに疑問を抱いている人も存在しています。
例えば、リブラが複数の国の法定通貨や国債を裏付け資産としている点です。
ステーブルコインは裏付け資産に両替することが簡単にできるもののはずですが、複数の法定通貨や国債を裏付け資産としているのに、1:1で両替することができるのかという疑問が生じてきます。
これ以外にも仮想通貨が世界の主権通貨になってしまったら、各国の経済が成り立たなくなるのではないか、サブプライム問題や欧州債務危機などを引き起こしたシャドーバンキングになるのではないかと懸念する声もあります。
仮想通貨に対する規制は世界中の国が関わる問題であり、国ごとに仮想通貨に対する見解や立ち位置が異なります。
統一した規制を作り上げることは非常に難しいですが、リブラが何らかの契機となり、本格的な仮想通貨時代の幕開けにつながっていくのではないでしょうか。