仮想通貨FXチャート分析の手法10【ATR】
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テクニカル分析はファンダメンタルズ分析というものがほとんど存在しない仮想通貨マーケットにおいては、必ず利益を上げるために必須なものです。
しかしテクニカル分析の方法というのは千差万別であり、何が正しいのか悩む仮想通貨FXのトレーダーも多いと思います。
ここではテクニカル指標で「ATR」というものを中心に解説したいと思います。
ATR(Average True Range)の見方とトレード手法
ATR(Average True Range)とは何か?
ATRは1978年にウェルズ・ワイルダー氏が考案したテクニカル指標です。ワイルダー氏はこの他にもテクニカル指標を考案しているため名前を聞いたことのある方も多いでしょう。
ATRとは「真の値幅」の平均値表しています。実際にチャートから算出された価格変動の大きさ(ボラティリティ)を知ることができるテクニカル指標となります。
この指標を利用するのはトレンドが出た際や、現在のトレンドの強さを把握するために用いる仮想通貨FXのトレーダーが多いでしょう。
「真の値幅」とは、通常ローソク足を基準に値幅を算出したりしますが、この「真の値幅」についてはチャート上で窓が発生した場合においても、この窓の幅まで考慮して算出されるものです。
では次にどのように計算されているか解説します。
ATRの計算式は??
ATRの計算式は下記の通りです。
(1)真の変動幅(True Range)を算出⇒①②③で最大の値幅を選択
①当日高値と当日安値の差⇒中心値=(当日高値+当日安値)÷2
②当日高値と前日終値の差⇒中心値=(当日高値+前日終値)÷2
③当日安値と前日終値の差⇒中心値=(当日安値+前日終値)÷2
ATR=True Rangeのn日間の指数平滑移動平均線(n:14日間)を算出
※指数平滑移動平均線は基本的に14日を利用して計算するもの
ATRの計算式は上記のようにシンプルなもので、特徴は上述の通り窓明けの影響まで考えた平均値を算出し、そのラインを一本で繋げたものということだけ理解しておけばいいでしょう。
ATRの見方は??
次にATRの基本的な見方について解説したいと思います。
ATRが上昇しているときはボラティリティが上昇しており、ATRが下落しているときはボラティリティが低下していると判断します。
間違えてはいけないことは、そのATRを算出している原資産が上昇していても下落していてもそのボラティリティが高いときはATRは上昇することになります。
決してATRが上昇しているからといって、他のオシレーターと勘違いして、過熱気味とか思わないうようにしましょう。
ATRが上昇しているときはトレンドが強まっていると判断し、その方向について行くほうがベターとなります。
ATRが上昇から下降に転じていた場合はその上昇トレンドが一旦頭打ちとなる可能性があり、トレンド転換の兆しがあると判断するようになります。
これはオシレーターでいう押し目ではありませんので注意してください。
では実際のチャートでATRを確認してみましょう。
下記はbybitのBTCUSDの日足チャートになります。
下段がATRを示しています。黄色の丸で示したタイミングで価格が大きく上昇した際に、ATRは緩やかな下落方向から一転反発し上昇しています。
このようにボラティリティが上昇し相場も活気を取り戻すことで継続しやすいトレンドが始まったと言えると判断できるようになります。
ATRのトレードにおける使い方
ATRの基本的な見方はトレンドフォローの参考指標として材料にできることは上記の説明で理解できたのではないでしょうか。
次に中級者向けのATRの使い方をご紹介します。
その前にトレードで継続的に利益を上げ続けるために必ず守るべきことがあります。
それは「資金管理の徹底」です。
これが出来ない限りどれだけ知識をつけても、テクニカル分析を勉強しても勝てるトレーダーにはなりません。
特に仮想通貨FXの場合、外国為替のFXや現物株、指数や商品先物と比較しても原資産のボラティリティが高い上にレバレッジを利用して資産を増やそうとするものであるため、この「資金管理の徹底」というのは最重要事項となります。
必ずこれは自分を律する心を持ってマーケットと対峙し厳格にルールを守るよう徹底してください。
その資金管理を徹底するための1つの材料としてATRを利用する方法があります。
これまでの説明でATRは「ボラティリティ(トレンドの強さ)を測るテクニカル指標」ということでした。一般的に機関投資家やファンドマネージャーも同様にボラティリティを考えて投資資金の配分を考えるようにしています。
ボラティリティの低い時は期待される値動きが小さいため、投資資金を大きくすることが出来ますが、ボラティリティが高いときは投資資金を大きくすると想定される損失の幅も大きくなります。
そのためATRが高水準の時はそのプロダクトに対しての資金配分を小さくし、ATRが低水準の時は大きな損失が出る可能性も小さいため資産配分を大きくすることで期待される損益をコントロールすることが出来ます。
上記のチャートで見ると、大幅に上昇するまでは値動きが激しくないため、投資資金の割合を大きくしてレンジ相場を収益化し、大幅上昇後ATRが高水準になった時点では投資資金を少しずつ減少させリスクをコントロールすることで、精神的負担を軽減すると同時に冷静にトレードすることを自分自身に意識させることが大切でしょう。