ビットコイン取引規模の違いでコロナ下落対応にも違い
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- 2020.09.15.
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- ビットコイン取引規模の違いでコロナ下落対応にも違い
画像引用:OKEx Academy
ビットコインに投資する際、どういうタイミングで投資をし、どういう状況になれば手放すのかは投資家独自の考えによって左右されるでしょう。
その考えが正しいかどうかは全て結果次第であるため、100人の投資家がいれば、100通りの方法論があるのかもしれません。
もちろんこれは仮想通貨の現物取引だけでなく、仮想通貨FXでも同様でしょう。
しかしビットコインを取引する際、その取引ボリュームによって、取引のタイミングや保有期間に特定の傾向があることが大手仮想通貨取引所OKExによって公表されました。
取引ボリュームによって異なる傾向とはどのようなもので、その背景にはどのような狙いや考えがあるのでしょうか。
このニュースについて詳しくご説明しましょう。
大手仮想通貨取引所OKExが取引データを分析
本サイトでもご紹介している中国系の大手仮想通貨取引所であるOKExが、金融向けのオープン分析プラットフォームを提供しているCatallact社と共同で、ビットコインのオンチェーンデータから取引量別の市場における行動について分析をおこなった結果を、2020年9月13日に公表しました。
データ分析の概要について
この調査は、2020年1月から8月上旬までの期間のOKExにおける取引データから、1回あたりのビットコイン取引額で対象者を分類し、それぞれのトランザクションを分析することで対象者層の取引傾向を把握し、分析しています。
またこの調査期間中には新型コロナウイルスによる大幅なビットコイン価格の下落があったため、特にその際の対応について詳細な分析をおこなっています。
把握できた全体的な傾向と分析結果
この調査結果から把握できた全体的な傾向としては、最も件数が多かったのが0と1BTCの間のトランザクションで、全取引件数の大部分を占めていました。
一方トランザクションサイズが大きくなる、すなわち1回あたりの取引量が増えると、トランザクション数は減少する傾向にあることが分かりました。
0.1BTC未満のトランザクション分析結果
1回あたりの取引量が0.1BTC未満のトランザクションは全取引件数のうち最も多かったため、これらはほとんどが個人投資家による投資であると考えられています。
以下のグラフは、黒い折れ線がBTC価格を示し、水色の折れ線はトランザクションをあらわしています。
画像引用:OKEx Academy
このグラフからは、ビットコインの価格変動に連動するようにトランザクションが動いていることがみて取れます。
すなわち、価格の動きに合わせて少額取引をおこなっているということになります。
特に3月の新型コロナウイルスのパンデミックによる大幅下落の際、トランザクションも大きく減少していることが分かります。
ただし5月に入って価格が上昇してきているにもかかわらず、トランザクションは連動していません。
レポートによると、これは5月に半減期を迎えたために価格の推移を見守っていたのではないかと分析しています。
さらにOKExのレポートではこの層の投資家について、ボラティリティが高い状態になった場合や価格が大きく下落した場合、ビットコイン市場から淘汰されてしまう傾向があると述べています。
10から100BTCのトランザクション分析結果
1回あたりの取引量が10から100BTCの場合、取引をしているのは比較的資金に余裕のある個人投資家かマイナーではないかと分析しています。
画像引用:OKEx Academy
この層のトランザクションをみると、新型コロナウイルスで大きく価格が下落した後、しばらくの間は取引が減っているものの、6月下旬ごろからやや回復しつつあることが読み取れます。
OKExのレポートでは、3月の価格下落によって個人投資家が取引を控えるようになり、さらに5月には半減期を迎えたため、マイナーが価格上昇を期待して取引を控えたのではないかという旨を記述しています。
100から1,000BTCのトランザクション分析結果
1回あたりの取引量が100から1,000BTCにまで増えてくると、取引をしているのはクジラと呼ばれる個人投資家やマイナーであろうとレポートでは説明しています。
画像引用:OKEx Academy
この層のトランザクショングラフで特徴的なのは、ビットコイン価格が大きく下落した3月にトランザクションが一気に増えていることです。
これはビットコインが底値にあると判断し、買いに動いたためだと考えられます。
しかもその後のトランザクションに大きな動きがみられないということは、3月に買いに動いたビットコインをまだ保有したままである可能性があります。
1,000BTC以上のトランザクション分析結果
1回あたりの取引量が1000BTCを超える取引は、まさにクジラによる取引であると考えられます。
OKExのレポートでは下図の1,000から5,000BTCのトランザクションだけでなく、5,000から10,000BTCのトランザクションについても分析しています。
画像引用:OKEx Academy
1,000から5,000BTCのトランザクショングラフからは、価格が下落した3月と半減期があった5月の二度、取引件数が増加していることが分かります。
さらに6月に入ってから少しづつ取引件数が増えています。
3月は底値、5月は半減期後の価格上昇を見込んだ動きであろうと考えられます。
そして6月以降の動きは、新型コロナウイルスの影響による経済対策として実施された量的緩和政策などによって、クジラが保有資産をさらに増やすために動いたのではないかとレポートでは述べています。
なお5,000から10,000BTCのトランザクション分析では、3月の下落時に動きはないものの、5月の半減期以降から7月中旬ごろまで何度か大きく取引件数が増えていました。
この要因としては取引所がビットコインを移動させたか、もしくはクジラが今後ビットコイン価格の変動を予測して、資産を複数のウォレットに分散させた可能性が考えられるとしています。
まとめ
OKExが発表した、取引ボリュームによって取引のタイミングや保有期間に特定の傾向があるとするレポートについてご説明しました。
一般的な個人投資家は、ビットコイン価格の動きに応じて取引をしている一方で、クジラのような大きな資産を持っている投資家は、より大局的にビットコインの値動きを捉えているようです。
仮想通貨FXの場合、長期間ポジションを保有することは手数料などの問題から無理がありますが、短いスパンで値動きを捉えることだけに意識が向いてしまうと利益も少なくなってしまます。
時には大局的にビットコイン価格の動きを捉えることも必要なのではないでしょうか。
そんな時、ご説明したようなクジラの行動パターンを思い出してみるのも良いのかもしれません。