2020.2月末になって失速感が出てきたビットコイン
- ビットコイン
- 2020.02.27.
- ニュース
- 2020.2月末になって失速感が出てきたビットコイン
2020年の年明け直後は70万円台だったビットコイン価格は、その後上昇を始め、2月中旬には114万円台にまで値上がりしました。
今年5月に半減期を控えており、半減期前には価格が上昇するといわれていたこと。
それに加え、中国で発生した新型コロナウイルスの影響から株価が低迷し、リスクヘッジとして投資されることの両面により、ビットコイン価格はますます上昇するだろうと考えていた方も多かったはずです。
しかし2020年2月26日現在のビットコイン価格は一時より下がり始めています。
また新型コロナウイルスの猛威はとどまるところを知らず、感染は拡大しつつあるにもかかわらず、ビットコインがリスクヘッジ的存在として機能していないようにも映ります。
どうも、これまでの定説が覆されているようです。
そこで現在のビットコインを取り巻く環境などを一度整理し、改めて現在のビットコインの状況を確認してみましょう。
2月末になって値下がりしているビットコイン
2020年の年明け以降、順調に価格が値上がりしてきていたビットコイン価格に異変が起きています。
tradingviewBTCJPYのチャートによると、2020年の年明けすぐは70万円台でしたが、その後上昇を始め、2月13日には114万円台にまで上昇していました。
そのビットコイン価格が2月20日の114万円台から下落を始め、一度は盛り返したものの、2月26日24時少し前には100万円を切るまで下落し、その後も下落を続けているようです。
ビットコイン価格はさらに上昇と考えられていた
前項でビットコイン価格に異変が起きているとしたのは、ビットコイン価格はまだしばらくの間は上昇するだろうと考えられていたからです。
その根拠となっていたのは以下のようなものでした。
半減期を5月に控えていること
ビットコインは2020年5月に半減期を迎える予定になっています。
これまでの半減期を見ると、半減期前には価格が上昇しており、今回も同様ではないかとの見方がありました。
この説とは異なり、今回の半減期では価格が高騰することはないとする説もありましたが、どちらかというと少数派で、多くは高騰するだろうと考えていたはずです。
新型コロナウイルスによる株価低迷
2019年12月末に中国で発生した新型コロナウイルスの影響により、株価が低迷し始めており、そのリスクヘッジとしてビットコインが買われているために価格が上昇しつつあるとする説は非常に有力なものでした。
また事実、2020年2月24日までのビットコイン価格は、新型コロナウイルスの影響が広がるほど上昇していました。
2月25日のディフィカルティは下がった
ビットコインはマイニングによって発掘されますが、その難易度は新しいブロックを10分で生成できるよう、2週間に1度調整されています。
マイニング業者が多数マイニングに参加したり、これまでよりも高性能なマイニングマシンが導入されると、新しいブロックは10分以内に生成されることになります。
10分以内に生成されてしまうようであれば難易度を高め、10分以上マイニングにかかっているようであれば難易度は下げられることになります。
この難易度のことをディフィカルティと呼びます。
ディフィカルティは2019年12月20日から5回連続でプラス修正されていましたが、2020年2月25日はマイナス修正されています。
以下の表の青い枠線内はプラス修正されたもので、赤い枠線内はマイナス修正されたものを示しています。
画像引用:BTC.com Difficulty
ディフィカルティが下がった要因
5回連続でプラスになっていたディフィカルティが0.38%ではあるものの、ここにきてマイナス修正された背景にはどのようなことが考えられるのでしょうか。
まず1つが5回連続してディフィカルティが上昇したため、現状ではマイニングが難しすぎるようになってしまったということが考えられます。
そのためにブロック生成が遅くなり、マイナス調整された可能性があります。
もう1つ考えられることは、新しいマイニングマシンが新型コロナウイルスの影響によって各マイナーに届けられていない、つまり配送が遅延している可能性です。
マイニングマシンメーカーは中国を拠点とする企業が多く、新型コロナウイルスの影響によって注文に対応しきれていない可能性も考えられます。
過去には強気相場に転換も
ディフィカルティが下がったということは、前述のようにマイニングが難しくなり過ぎたため、マイニング業者がその難しさに付いていけなくなったともいえます。
もしそうであったなら、過去にはこのようなケースの後にビットコイン価格が強気相場に転換していることに注意する必要があります。
このことはTwitter上でも取り上げられています。
画像引用:PlanB Twitter
2011年12月(4.6ドル)、2015年5月(230ドル)、2018年12月(3691ドル)に難易度の底(マイナーの降伏)が見られました。
ATHが約100倍になるまで、価格はこれらの底から上昇し続けます。
ATHが37万ドルになるまで上昇傾向が続くことを意味します。
引用:PlanB Twitter Google翻訳
これはつまり、マイナーがディフィカルティを克服できない状況に陥った時、強気相場が始まるというもので、その実例がTwitter上で紹介されているわけです。
もし今回のように価格下落があったとしても、ディフィカルティの点から見ると上昇の中の一時的な下落なのかどうかを見定める必要があるということになります。
ビットコインの安全資産神話が崩れた?
2019年末に中国で発生した新型コロナウイルスの猛威は、日を追うごとに拡大しつつあります。
感染を警戒した国や企業などは普段通りの経済活動がしづらくなり、その結果、世界的に株安状態に陥っています。
以前はビットコインがリスクヘッジの資産として位置づけられると、多くのアナリストや金融関係者が発表していました。
また今年に入ってからビットコイン価格が高騰してきた背景として、株価低迷が言及されてきました。
しかしここにきて一気に値下がりを始めたことは、今のビットコインは、株価低迷のリスクヘッジとして機能していないということになります。
さらにもうひとつビットコインに同等の資産価値があるとして例に挙げられていたのが「金」です。
ビットコインには金と同様に安全資産としての側面があると主張されていました。
しかしその神話も崩れつつあります。
以下のグラフはビットコインと金との相関関係をあらわしたものです。
金との相関関係があると主張できるのは0.6以上の数値でなければなりませんが、2月に入ってから相関関係は下がってきており、2020年2月25日現在は0.12345となっています。
2020年1月よりも大幅に下がってきていることが見て取れるでしょう。
画像引用:Coinmetrics BTC×GLD
まとめ
2020年2月末になって、ビットコイン価格が急に失速してきたことについてご説明しました。
新型コロナウイルスの蔓延や世界同時株安などの状況は、これまでビットコインが経験したことがない状況なのかもしれませんが、資産としての優秀性やリスクヘッジ機能が取り沙汰されてきただけに、意外な感がするのは否めません。
ただ本文内でも説明したように、今回の下落が一過性のものであり、依然としてトレンドは強気なのかもしれません。
このことはしばらく様子をみないと何ともいえませんが、新型コロナウイルスの蔓延による影響だとすると、これまでの通説が通用しないケースも考えられます。
仮想通貨FXでは、特に慎重な取引が必要になってくることは間違いないでしょう。