仮想通貨メディアがレバレッジ2倍に見直し署名呼びかけ
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- 2020.02.15.
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2019年5月31日に成立した暗号資産に関する法案「情報通信技術の進展に伴う金融取引の多様化に対応するための資金決済に関する法律等の一部を改正する法律」について、金融庁は2020年5月施行を目指しており、同年2月13日までパブリックコメントを求めていました。
この法案の目玉的存在が仮想通貨デリバディブ取引や信用取引におけるレバレッジ2倍案です。
仮想通貨メディア4社は、この法案のパブリックコメントへの投稿を呼び掛けるとともに、見直し署名を呼び掛ける運動を、共同で宣言しました。
金融庁がレバレッジ2倍に規制することに関しては、2020年1月12日のニュース記事「金融庁が仮想通貨FXレバレッジに2倍規制の方針」でご説明しましたが、4社のメディアが共同でパブリックコメントへの投稿や見直し署名を呼び掛けたのは、それだけ大きな危機感の表れだといえるでしょう。
このニュースについての詳細と、仮想通貨メディアが抱く危機感とはどういうものかなどについても詳しくご説明しましょう。
仮想通貨メディアが共同で呼び掛け
金融庁が2020年5月に施行予定の、仮想通貨に関連した改正資金決済法および改正金融商品取引法について、4社の仮想通貨メディア「Cointelegraph Japan」「CoinChoice」「CoinPost」「COIN TOKYO」が2020年2月13日に共同文書を公開し、金融庁のパブリックコメントへの投稿や見直し署名を呼び掛けました。
画像引用:change.org
金融庁の改正法案とは
金融庁が改正しようとしている法案は、資金決済に関する法律の一部改正だけでなく、仮想通貨交換業者に関する内閣府令等の一部改正に及んでいます。
具体的にはセキュリティトークンの適用除外や預かり金の信託、預かり仮想通貨の管理方法だけでなく、仮想通貨のデリバディブ取引に関しても及んだ内容になっています。
この中でも特に問題視されているのが仮想通貨のデリバディブ取引に関する内容で、レバレッジを法律で2倍に規制するというものです。
これまでの仮想通貨デリバディブ取引におけるレバレッジは、JVCEAが自主規制として4倍に定めていましたが、今後は自主規制ではなく法律で2倍に定めるというものです。
法改正の手続きの流れ
今回の「情報通信技術の進展に伴う金融取引の多様化に対応するための資金決済に関する法律等の一部を改正する法律」案は、2019年5月31日に法案として成立しましたが、今後の流れとしては、パブリックコメントを求め、その意見を考慮していくことが行政手続法によって定められています。
そのため、2020年1月14日にこの法案に対してのパブリックコメントを求める公示がおこなわれ、同日から2020年2月13日まで意見や情報を受け付けていました。
画像引用:e-Gov
メディア4社が考えるレバレッジ2倍の悪影響
仮想通貨メディア4社は、金融庁が仮想通貨デリバディブ取引や信用取引のレバレッジを2倍に規制することによってどのような悪影響があると考え、パブリックコメントへの投稿や見直しの署名を訴えたのでしょうか。
仮想通貨取引所の厳しい運営に拍車
仮想通貨取引所に対する規制はどんどん厳しくなる一方です。
ハッキング対策などのセキュリティ面はもちろんのこと、マネーロンダリング対策、テロ支援資金対策なども世界的に重視されています。
これらは今後の仮想通貨取引所にとって必須の条件となりますが、同時にこれらの対策に対する費用が膨大になることも事実でしょう。
レバレッジが2倍になると利用者離れが進むことが予想され、仮想通貨取引所の収益は厳しいものになってしまいます。
収益が減るのに、運営コストはこれまでよりかかるという事態になりかねず、事業運営そのものができなくなる取引所が出てくる可能性もあります。
またこの状態が進むと、日本国内の仮想通貨産業そのものが衰退してしまう旨を訴えています。
世界的仮想通貨デリバディブの流れに孤立
海外では仮想通貨FXに対する注目度が高まっており、本サイトでも紹介しているBybitやDeribitなどの新しい仮想通貨デリバディブ取引所の登場だけでなく、世界的な大手仮想通貨取引所であるBinanceなども仮想通貨FXに注力しています。
日本国内のレバレッジが2倍になってしまうと、日本での仮想通貨FX取引そのものが衰退するだけでなく、国内の仮想通貨FX取引所の廃業の危険性に加え、仮想通貨FX取引が海外のレバレッジ規制が緩い国に流出してしまう危険性もあります。
すなわちレバレッジ2倍規制が、日本における仮想通貨産業の育成に大きな壁となってしまう旨を訴えています。
海外の取引所への資産流出
仮想通貨資産は移動させることが簡単であるため、日本の仮想通貨デリバディブ取引のレバレッジが2倍になると、多くの投資家は海外の仮想通貨FX取引所に拠点を移してしまうことが以前から指摘されています。
日本の仮想通貨に対する規制は非常に進んでおり、十分な保護がされていない一部の海外の仮想通貨FX取引所で取引きしてしまうケースも考えられます。
また海外に投資家が流れてしまうということは、国内の規制を厳しくする意味がなくなってしまいかねません。
さらに海外への流出が進んでしまうと、日本国内における仮想通貨の流動性が下がり、結果的にボラティリティは大きく、大口投資家による市場操作もしやすくなってしまいます。
これらを防ぐためにも、国内での仮想通貨FX利用者を増やしていくことができる施策を取るべきとの旨を訴えています。
パブリックコメントが考慮されることはあるか
仮想通貨メディア4社がレバレッジ2倍規制に対するパブリックコメントを投稿してくれるよう促していましたが、実際にパブリックコメントの内容を考慮し、法案などの見直しや変更、または中止されることはあるのでしょうか。
この疑問に対しては仮想通貨メディア4社の共同声明に協力している弁護士が解説していますが、過去にパブリックコメントによって当初考えていた法案が改定されたことはあると答えています。
ただそのためには、法案の条文のどの部分に対してのコメントであるかをはっきりさせ、なおかつ論理的に記述しなければ金融庁からの適切な回答が得られないとしています。
つまり、どれだけ金融庁を納得させられるコメントが投稿されたかという点が重要になってくるわけです。
まとめ
金融庁が2020年5月から施行しようとしているレバレッジ2倍規制に対し、仮想通貨メディア4社が共同声明を発表したことについてご説明しました。
金融庁はレバレッジを2倍にすることが利用者保護につながると考えているようですが、多くの投資家は、レバレッジ2倍規制は保護にならないと声を上げているようです。
そのうえで、ゼロカットシステムといわれる損失を出しても証拠金を失うだけで済む仕組みを取り入れるべきだと主張しています。
しかしゼロカットシステムを導入することは、金融商品取引法第39条の条文に抵触するために、改正は並大抵ではできません。
これらを考え合わせると、この法案を阻止することは非常に難しく、そのことが分かっているからこそ仮想通貨メディアが4社も加わった共同声明を発表したのかもしれません。
今後、どのような決定が下されるのか、注目していきましょう。
そしてもし、レバレッジ2倍規制が実施されるのであれば、その時は海外の仮想通貨FX取引所の中でも、特に安心してFX取引ができるBybitなどを活用する方向にシフトしていくのがベストといえるでしょう。