仮想通貨FXで追証が発生する時とはどんな時?
- 独自連載
- 追証特集
- 2019.05.14.
- 特集
- 仮想通貨FXで追証が発生する時とはどんな時?
「『追証=お金を請求されること』はわかるけど、仕組みがわからない・・」
「そもそも追証ってなぜ発生するの?」
そんな疑問を抱えていませんか?
追証という概念は知っているものの、なぜ追証が発生するのか説明できる方は多くありません。
そこで本記事では、仮想通貨FXで追証が発生する2つのパターンについて具体的に解説します。
この記事を読むことで、どんなときに追証が発生するのかを理解できます。
さらに、国内FX業者ごとに、追証の条件とロスカットの基準についてもまとめています。
どこの取引所がどのような追証基準を設けているのか知りたい方は、ぜひご覧ください。
追証とは
追証とは、追加証拠金を期日までに入金しなければいけない制度のことをいいます。
なぜ取引所は追加証拠金の入金を求めるのでしょうか?
仮想通貨FX業者が追証を求める背景には、次の2つの理由があります。
- 証拠金以上に損失が出たから
- 証拠金以上の損失は出ていないものの、ユーザーの資産の状況が不健全だから
ひとつずつ詳しく見てみましょう。
①証拠金以上に損失が出たから
追証制度をもつほとんどの仮想通貨FX業者の場合、入金した証拠金以上に損失が膨らんだときに追証を適用します。
例えば、証拠金として10万円を入金して、レバレッジをかけてポジションを持ったとしましょう。
抱えているポジションの含み損がマイナス11万円になってしまったとき、入金した証拠金は10万円ですので、損失分をカバーしきれません。
このときの不足金マイナス1万円(10万円-11万円)を、取引所が利用者に対して請求します。
なぜなら、利用者の入金額では損失を補いきれないからです。
ただし実際は、ポジションの損失が証拠金以上に膨らむ前に、取引所が強制的にポジションを決済します。
そのため、追証が適用されるケースはそれほど多くありません。
ちなみに、取引所が強制的にポジションを決済することを「ロスカット」といいます。
「ロスカット」は、ユーザーの損失が拡大することを防ぐためのユーザー保護制度といえるでしょう。
相場の急変動時にはロスカットが作動しないことがある
仮想通貨の価格が短時間で急上昇(または急下降)するときは、ロスカットが作動しないときがあります。
理由は主に次の2つです。
- システムの監視に間隔がある
- 注文が殺到してシステムがビジー状態になる
1つ目は、取引システムがユーザーの資産状況を常時監視しているわけではないということです。
システムは、一定の間隔を開けて資産状況を監視していることが多いですので、その監視と監視の間のタイミングで急変動が起こったときは、すでにロスカット基準を割ってしまっている、といったことが起こります。
この場合は、ロスカットが適用されるタイミングがずれます。
2つ目が、注文が殺到して注文が通らないことです。
相場が急激に変動するとき、トレーダーの注文が殺到します。
そのため、取引システムが注文をさばききれなくなって注文がなかなか通らなくなることがあります。
ロスカットシステムがあるからといって慢心してはいけません。
「気づいたら証拠金以上に損失が出ていた・・」ということもあり得るのです。
②ユーザーの資産状況が不健全だから
取引所が追証を求める2つ目のパターンは、ユーザーの資産状況が思わしくないことです。
つまり、「今のところ証拠金以上の損失は出ていないけど、このままポジションを保有し続ければ、証拠金以上の損失が出る可能性が高い」と取引所が判断するということです。
ユーザーがより健全な状況で取引できるよう、取引所が警告して、証拠金を追加するように求めます。
なお、「①証拠金以上の損失が出たときに追証を適用している業者」は、このユーザーの資産状況が思わしくないときは、追証ではなく「ロスカット」を適用しています。
追証・ロスカットの指標となる証拠金維持率とは
「証拠金維持率が○%を下回ると、ロスカットが行われます。」
仮想通貨FX業者のWebサイトを見ていると、上記のような文言を見かけると思います。
仮想通貨FX業者は、この「証拠金維持率」を基準にして追証やロスカットをユーザーに適用します。
では、「証拠金維持率」とは何でしょうか?
「証拠金維持率」とは、ユーザーの資産状況を表す指標です。
具体的には、ポジションの損益を加味した「純資産」と、ポジションを建てるために拘束される「必要証拠金」の割合のことです。
証拠金維持率が高ければ高いほど資産状況は健全ですが、0%を下回ると証拠金以上に損失が出ていることになります。
計算式でいうと、
証拠金維持率=(証拠金+ポジション損益)/必要証拠金×100
となります。
なお、必要証拠金の計算式は次のとおりです。
必要証拠金=ポジションの額÷レバレッジ倍率
または、同じことですが、
必要証拠金=ポジションの額×証拠金率
となります。
例えば、証拠金として10万円入金し、レバレッジ倍率4倍で30万円分のポジションを建てたとき、証拠金維持率は次のようになります(手数料除く)。
(証拠金10万円+ポジション損益0円)/{必要証拠金(30万円÷4倍)} ×100=133%
国内仮想通貨FX業者は追証あり
ほとんどの国内仮想通貨FX業者は、追証制度があります。
追証が発生する基準と、ロスカットされる証拠金維持率の基準を次のカテゴリごとに見ていきましょう。
- 追証なしの国内取引市場
- 証拠金以上に損失が出たときに追証を適用する業者
- 証拠金以上の損失が出ていなくても、資産状況で追証を適用する業者
追証なしの国内取引市場
追証がない国内取引市場は、ZaifのAir FXです。
仮想通貨FX業者 | 追証発生の条件 | ロスカット発生の証拠金維持率 |
---|---|---|
Zaif(Air FX) | 追証なし | 30% |
Zaifのもうひとつの証拠金取引市場である「信用取引」には追証制度がありますので、ご注意ください。
証拠金以上の損失で追証を適用する業者
証拠金以上の損失が出たときに追証を適用するのは、次の6つの業者です。
仮想通貨FX業者 | 追証発生の条件 | ロスカット発生の証拠金維持率 |
---|---|---|
Liquid by QUINE | マイナス残高 | 110% |
BITPoint | マイナス残高 | 100% |
DMM bitcoin | マイナス残高 | 80% |
GMOコイン | マイナス残高 | 75% |
Coincheck | マイナス残高 | 50% |
Zaif(信用取引) | マイナス残高 | 30% |
追証発生の条件となるマイナス残高は、証拠金維持率が0%未満の状態です。
ロスカットが適用される証拠金維持率が高いほど、マイナス残高になる確率は低いといえるでしょう。
証拠金以上の損失が出ていなくても追証を適用する業者
証拠金以上の損失が出ていなくても追証を適用する業者は、bitFlyerです。
仮想通貨FX業者 | 追証発生の条件 | ロスカット発生の証拠金維持率 |
---|---|---|
bitFlyer | 100%(※) | 100%(※) |
(※)2019年5月中に適用予定。それまでは追証発生が80%、ロスカットが50%
追証発生とロスカット発生の証拠金維持率の条件がどちらも同じ100%となっていますが、段階としては、次のように進んでいきます。
- 証拠金の差し入れを要求(追証適用)
- 期日までに証拠金維持率を回復していないとき、ロスカット(強制決済)
追証が発生したら
追証が発生したら、利用者は速やかに証拠金を取引所に対して差し入れる必要があります。
bitFlyerを例に挙げると、追証が発生してから2営業日後の午後5時までに入金することが求められます。
追証が発生してから 2 銀行営業日後の午後 5 時時点で証拠金維持率が 100%を下回る場合、ロスカットが発生しますのでご注意ください。
引用:【重要】bitFlyer Lightning における証拠金取引のサービス内容変更のお知らせ-bitFlyer
また、DMM bitcoinでは、追証が発生してから7営業日後の午前7時が追証解消の期限となっています。
不足金が発生し、1週間後(7営業日目)の午前7:00までに不足金額が解消されない場合は、お客様が保有する全ての仮想通貨を売却させていただきます(不足金解消取引)。
追証の支払い方法は、次の3つです。
- 含み益が出ているポジションの決済
- 現物の仮想通貨を売却
- 日本円の入金
含み益が出ているポジションを保有しているとき、そのポジションを決済することで証拠金を充当できます。
また、仮想通貨FX業者の現物口座に仮想通貨を保有していた場合、その仮想通貨を売却することで、証拠金を充当できるでしょう。
未決済のポジションも現物資産も保有していなかったときは、日本円を仮想通貨FX業者の口座へ入金する必要があります。
追証は借金と同じですから、必ず支払わなければならないのです。
海外仮想通貨FX業者は追証がない
ほとんどの国内仮想通貨FX業者では追証制度がありますが、海外の仮想通貨FX業者にはありません。
つまり、追加で証拠金の差し入れを求められることはありません。
なぜかというと、そもそも証拠金以上の損失が出ないシステムが構築されていたり、万が一損失が発生しても取引所のシステムとして補てんしてくれるからです。
損失を補填するための保険システムやその取引所のユーザー全員で補填する仕組み、より多くの利益が出ている人から補填する仕組みなど、二重三重に安全策が取られています。
そのためユーザーは借金を負うことがなく、口座残高0円から再スタートできます。
また、ユーザーの資産状況が芳しくないときは、国内FX業者と同じ様にロスカットが適用されます。
まとめ
追証は、ほとんどの国内FX業者では口座がマイナス残高になったときに適用されますが、ロスカットシステムがあるため適用されるケースは多くありません。
しかし、ロスカットシステムは万能ではありません。
相場が短時間で急激に変動するときは、ロスカットシステムが作動せずにマイナス残高になる場合もあります。
追証のリスクを減らす意味でも、海外の仮想通貨FX業者を使ってみるのも一つの方法ではありますが、証拠金を全て失ってしまうことには変わりないことを理解しておく必要があります。