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仮想通貨への厳しい姿勢が内外から批判を浴びるゲンスラーSEC委員長

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  • 2023.11.09.

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米証券取引委員会(SEC)のGary Gensler(ゲイリー・ゲンスラー)委員長が仮想通貨に対して厳しい姿勢をとり続けていることは、2023年10月26日のニュース記事「ビットコイン現物ETFの開始で価格は年74%上昇との説」内でもご説明しました。

 

グレースケール・インベストメンツがビットコイン現物ETFの申請をSECに退けられたことで訴訟を起こし、グレースケール・インベストメンツ側の勝訴となったにもかかわらず、ゲンスラー委員長はビットコイン現物ETFの審査をSECスタッフがおこなっている最中であるとして、判断について未だに明言していません。

 

このようなSECとゲンスラー委員長の仮想通貨への厳しい姿勢が、米議員から激しく批判されているだけでなく、SEC内部からも批判の声が上がっています。

 

いったい誰が、どのような批判の声を上げているのか、詳しくご説明しましょう。

 

米議員によるゲンスラー委員長年収1ドル法案提出

金融サービスと一般政府(FSGG)委員会が、米国政府全体の支出を抑えることを目的とした法案の修正案を提出し、さらに米国共和党、ティム・バーチェット下院議員(テネシー州)がSECの予算削減案として、ゲンスラー委員長の年収を1ドルにすることを提案しました。

congress.gov ゲンスラー委員長年収1ドル法案

画像引用:congress.gov

 

なおこの法案自体は、2023年7月13日に提出されていたものですが、11月6日にSteve Womack(スティーブ・ウォマック)下院議員によって紹介されました。

 

スティーブ・ウォマック下院議員は、SECなど米の政府機関が規制をし過ぎていると説明し、SECは米にとって重要な機能ではあるが、その使命から逸脱していることが多く、国民への不利益につながっていることを指摘しました。

そしてそのことが財政の負担にもつながっていると主張し、予算を削減すれば規制をし過ぎなくなると同時に、本来あるべき規制に戻るであろうと説明しています。

 

なお、ゲンスラー委員長の年収は300,000ドル(日本円で4,500万円)以上だと推定されています。

その年収を1ドルにするための法案を提出したのですから、非常に衝撃的な内容の法案が提出されたといえます。

 

SEC内部からのゲンスラー委員長に対する批判

ゲンスラー委員長の仮想通貨に対する厳しい姿勢については、SEC内部からも批判の声が上がっています。

 

SECのマーク・ウエダ委員による批判

SECのMark T. Uyeda(マーク・ウエダ)委員が、2023年11月6日にロンドンで開催されたSECの規制についてのカンファレンスに出席し、その席上で仮想通貨に対する規制の方法について批判しました。

SEC Mark T. Uyeda氏によるSEC批判

画像引用:sec.gov

 

マーク・ウエダ委員は、現在、仮想通貨市場に参加することは運任せでしかなく、参加当初は合法だと考えられているものが、数年後にSECの調査を受けなければならないことが実情だと説明。

 

さらにSECは仮想通貨市場に参加する人々に対して情報開示を求めるだけでなく、透明性を求めているものの、SECそのものが規制について明確な説明ができていないと批判しました。

つまりどのような商品が証券であり、証券でないのかがSECからは一切提示されておらず、現在の証券かどうかは全て恣意的なものであると主張しているわけです。

 

SECのヘスター・パース委員による批判

クリプトマム(仮想通貨の母)とも呼ばれるSECのHester Peirce(ヘスター・パース)委員も、SECの仮想通貨に対する規制について懸念を示しています。

 

ヘスター・パース委員は、これまで何度も仮想通貨に関するより明確な規制を提供できていないことについてSECを非難していますが、直近ではLBRY事件についてSECのアプローチに懸念を表明しています。

Hester Peirce X LBRY事件SEC批判

画像引用:Hester Peirce X

 

ヘスター・パース委員はLBRY事件について、仮想空間だけでなく、現実の世界のアプリケーションでも十分に機能していたブロックチェーンを構築していた企業を倒産させたことは、投資家や市場にとって本当に有意義だったのかと非難しています。

 

またSECは仮想通貨規制に対するアプローチで不一致があり、革新的な企業がトークンの提供を登録するための道筋が明確になっていないとも述べていました。

 

LBRY事件とは

ヘスター・パース委員が懸念を表明したLBRY事件とは、ブロックチェーンをベースとしたファイル共有や決済ネットワークを構築していたLBRY(ライブラリ)に対してSECが訴訟を起こし、LBRY側は敗訴しましたが、LBRY側は控訴もせず、会社を閉鎖した事件です。

LBRYの構築していたブロックチェーンは現実世界のアプリケーションで機能するブロックチェーンでした。

 

そもそもSECがどうしてLBRYに対して訴訟を起こしたのかというと、SEC側の主張ではネイティブトークンを展開する方法に問題があるというものでしたが、LBRY側はそのトークンを有価証券としてSECに登録しませんでした。

 

SECはこの行為に対して、詐欺であるなどの申し立てはしなかったものの、罰金として4,400万ドル(約65.8億円)要求していました。

裁判で罰金刑は認められたものの、罰金額は111,614ドル(約1,670万円)へと大きく減額されました。

しかしこの裁判がおこなわれたことでLBRYの経営状態は悪化し、すぐに破産してしまいました。

 

SECの委員長が大統領選挙で変わる可能性も

上記のようにSEC内部から批判され、米議員から年収1ドルとの法案を提出されても、現時点でゲンスラー委員長が辞職するなどの情報は一切ありません。

それどころか冒頭で説明したように、裁判でグレースケール・インベストメンツに敗訴したにもかかわらず、ビットコイン現物ETFの申請に対して審査中であるとして、最終的な判断を明確にしていません。

 

つまり米の現政権が続く間、ゲイリー・ゲンスラー氏はSECの委員長であり続ける可能性が高いといえるわけです。

 

しかし2024年に控えている米大統領選挙で共和党候補が米大統領に就任すれば、SECのトップが変わり、仮想通貨市場への規制状況は一転するだろうとの予測も存在しています。

そしてSECトップ候補の一人が、前述したヘスター・パース委員です。

 

ヘスター・パース委員は仮想通貨に対して非常に好意的で、これまで何度も仮想通貨に対する強制措置に反対してきました。

もしヘスター・パース委員がSEC委員長に就任することになれば、現在進行している仮想通貨に対する強制措置は中止される可能性もあると考えられています。

 

まとめ

SECのゲイリー・ゲンスラー委員長が議員やSEC内部からも批判を浴びていることについてご説明しました。

 

どのような批判を受けても、おそらくゲンスラー委員長の仮想通貨を敵視する姿勢は変わることはないでしょう。

しかしそれでは米国での仮想通貨市場は発展することがなく、他国の動きから取り残されることになりかねません。

一刻も早く改善されるべきでしょう。

 

また、もしゲンスラー委員長が辞任するなどのニュースが流れたなら、仮想通貨価格は一気に上昇する可能性もあるのではないでしょうか。

 

海外の仮想通貨デリバディブ取引は、高水準のリスクを伴う投資であり、全ての投資家に適した投資ではありません。海外の高倍率のレバレッジは少額の資金で証拠金を上回る取引を行うことができますが、仮想通貨は急激な価格変動も多く、短期間に利益を出せる一方で、証拠金の大部分や全てを失ったり、取引額が証拠金を上回っていれば、証拠金額等を超える損失が発生するケースもございます。損失に耐えられない資金投資はするべきではなく、海外業者で仮想通貨FX取引を始めるにあたっては、投資目的やご自身の経験、リスクの許容範囲などを含めて慎重にご検討し、取引内容を十分にご理解いただいた上で、ご自身の責任と判断において取引を行ってください。

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