バイナンスがFTX買収に合意したが仮想通貨価格下落にはまだ注意
- 仮想通貨関連
- 2022.11.09.
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- バイナンスがFTX買収に合意したが仮想通貨価格下落にはまだ注意
2022年6月後頃から急激に価格が下落し始めたビットコインなどの仮想通貨は、最近になってやや回復傾向がみられました。
しかし2022年11月7日頃から急激に下落し始め、11月9日現在268万円台を推移しています。
米株式市場とビットコインなどの関連性は薄れつつあるとはいえ、まだまだ影響を受ける状況でしたが、最近の米株式市場は上昇傾向にあり、仮想通貨の値動きとは相反しています。
この仮想通貨価格の下落要因には、大手仮想通貨取引所FTXの流動性危機があるとされています。
しかし11月9日に同じく大手仮想通貨取引所バイナンスが、FTXを買収することに合意したと報じられました。
本来なら安心できるニュースではあるものの、ビットコインなどの仮想通貨価格は未だ下落傾向にあります。
この背景にはバイナンスのチャンポン・ジャオ(CZ)CEOの発言も影響しています。
これら一連の動きに加え、チャンポン・ジャオ(CZ)CEOの発言についてもご紹介しましょう。
FTXのCEO投資会社アラメダリサーチの財務状況がリーク
世界最大手といわれる仮想通貨取引所FTXのCEOであるSam Bankman-Fried(サム・バンクマン・フリード)氏の投資会社であり、FTXの親会社であるAlameda Research(アラメダリサーチ)の財務状況が分かる貸借対照表が米CoinDeskによってリークされました。
リークされた内容として衝撃的だったのは、2022年6月30日時点で保有資産は146億ドルで、負債は80億ドルでしたが、実は資産のほとんどがFTX自身で発行しているFTXトークンであるFTTに加え、流動性がほとんどないSOL(ソラナ)やSRM(セラム)などのトークンだったことが明らかになったという点です。
加えてサム・バンクマン・フリード氏はソラナ(Solana)に対する投資家として広く知られており、アラメダリサーチの資産としてソラナ関連のトークンの割合が大きかったことも明らかになっていました。
このリークされた情報に対してアラメダリサーチは、リークされた貸借対照表はあくまでも一部であること、さらに「貸借対照表に反映されていない100億ドル以上の資産」があると発言しています。
バイナンスはFTXトークンを売却と発表
このリークを受けて、バイナンスのチャンポン・ジャオ(CZ)CEOは2022年11月7日、同社保有のFTXトークンを全て売却すると発表しました。
画像引用:cz_binance Twitter
Binance は昨年、FTX 株式からの撤退の一環として、約 21 億米ドル相当の現金 (BUSD と FTT) を受け取りました。
最近明るみに出た啓示により、私たちは帳簿に残っているFTTを清算することを決定しました。
引用:cz_binance Twitter Google翻訳
ただし売却する理由については、バイナンスの共同創業者であるYi He氏が、これはあくまでも投資に関しての決断であると説明していました。
FTXの債務超過懸念とバイナンスのFTT売却騒動の影響
米CoinDeskのリークによって、FTTがもし大幅に下落するとアラメダリサーチはすぐに債務超過になってしまう状況であることが発覚してしまったわけです。
またバイナンスがFTTを全て売却すると発表した事によって、アラメダリサーチの債務超過が現実のものである可能性が高まったともいえるわけです。
その結果、FTTの価格は11月7日時点で11%下落すると同時に、ステーブルコインやイーサリアムなどの仮想通貨がFTXから一斉に引き出され始め、数日で2億9,200万ドル相当が引き出されたことが分かっています。
しかしその引き出しにFTXは対応できておらず、遅延している状況でした。
遅延していることの理由についてFTXは、引き出しにすぐに対応できるよう設けられたホットウォレットの残高不足であるが、順次対応していると説明しています。
仮想通貨全体の価格が下落
FTXの財務状況リークやバイナンスのFTT全売却を受け、FTXでは仮想通貨の引き出しが相次ぎましたが、仮想通貨市場全体にも大きな影響を及ぼしました。
これまで少しづつではあるものの、価格が上昇し始めていたビットコインなどの価格が大きく下落したのです。
これはひとえに投資家のリスク回避の動きといえます。
画像引用:tradingviewBTCJPY 5日
以前の仮想通貨価格は米株式市場とあまり連動することはなかったため、デジタルGOLDと呼ばれていました。
しかし近年では連動することが増えてきていたものの、最近では常に連動するのではなく、何らかの指標や大きく動く時だけ連動する動きになってきていました。
特に直近のビットコインとNASDAQ、S&P 500(SPX)を比較すると、米NY時間に入ったタイミングや米国消費者物価指数などの発表タイミングで両者の相関性が高まっていることが分かっています。
2022年11月7日以降の米株式市場においては、ナスダックとS&P500がやや上昇し、ダウ平均は1%の上昇となっているなど、比較的好調といえるものでしたが、仮想通貨市場は逆相関の様相を呈しています。
バイナンスCEOがFTXを買収する趣意書に署名
2022年11月9日、バイナンスのチャンポン・ジャオ(CZ)CEOがFTXを買収することに合意したとツイートしました。
画像引用:cz_binance Twitter
今日の午後、FTX が私たちに助けを求めてきました。
かなりの流動性クランチがあります。
ユーザーを保護するために、拘束力のない LOI に署名し、http://FTX.com を完全に取得し、流動性の危機をカバーすることを意図しています。
近日中に完全な DD を実施する予定です。
引用::cz_binance Twitter Google翻訳
チャンポン・ジャオ(CZ)CEOがツイートしているFTXの助けについて、FTXのサム・バンクマン・フリードCEOは、あくまでもFTXの「流動性不足の解消」に加え、「1:1で資産をカバー」するために介入して欲しいと打診したと説明しています。
一方、チャンポン・ジャオ(CZ)CEOはユーザーを保護するために買収の基本合意書にサインをしたと述べていますが、買収のない介入は基本的にあり得ないため、買収を視野に入れた基本合意書を締結したとみるのが正しいでしょう。
なお今回対象となるのはFTX.comのみであり、FTX US、FTX Japanは買収対象とはなっていません。
現状では拘束力のない合意で撤回も可能
バイナンスとFTXが交わした基本合意書は拘束力がないものであったとされ、バイナンスもFTXの詳しい状況を把握しなければなりません。
そのためチャンポン・ジャオ(CZ)CEOは、契約が正式なものとなるまでにはある程度の時間を要するが、状況を把握していくと述べていました。
さらにこの契約について、バイナンスはいつでも撤回できるとも説明しています。
もしバイナンスが契約を撤回したら
FTXのサム・バンクマン・フリードCEOはバイナンスとの契約について、あくまでも流動性不足の解消を主な目的としたものだと説明していますが、事実上は買収を打診したとみるのが妥当でしょう。
アラメダリサーチが主張するように、「貸借対照表に反映されていない100億ドル以上の資産」がもし存在するなら、流動性の解消にバイナンスの介入は不要なはずでしょう。
そしてもし資産もなく、財務状況が想像を絶するほど緊迫しているとすると、バイナンスは正式な買収契約に移行するでしょうか。
もしバイナンスが買収には適さないと契約を撤回したとすれば、仮想通貨業界のリスクがクローズアップされることにもなりかねません。
今以上の仮想通貨価格の下落につながる可能性だけでなく、今後の仮想通貨業界全体の発展に大きな障害となる可能性もあります。
まとめ
バイナンスがFTXの買収に合意するまでの経緯と、現状についてご説明しました。
バイナンスがFTXを正式に買収するかどうかによって、仮想通貨価格がどう動くかが変わってくるでしょう。
もちろん、今後の仮想通貨業界の発展にも関わってきます。
今後の状況は注視しておくべきでしょう。