ビットコイン価格急落の要因と今後の値動きはどうなるのか？

画像引用：Bybit BTCUSD

ビットコイン価格は2022年5月5日頃から下落傾向にありましたが、2022年5月11日にさらに下落し始め、12日には一時26,000ドル台にまで下落してしまいました。

この価格は2021年の最低価格を下回るものでした。

なお5月12日20時30分頃の時点では、28,150ドルと多少盛り返してはいるものの、下落傾向は続いていると予想されます。

このようなビットコイン価格急落の要因はどのようなものなのでしょうか。

そして今後のビットコインの値動きはどうなっていくのでしょうか。

これらのことについて、詳しくご説明しましょう。

ビットコイン価格が下落した要因について

ビットコイン価格がここまで下落してしまった要因とはどのようなものなのでしょう。

以下のような要因がメディアによって指摘されています。

1.米国株式市場の低迷

米国ではインフレ抑制策として、金融引締め策が今後さらに加速されると見込まれているだけでなく、2022年5月11日に発表された4月分のCPI（米消費者物価指数）予想されていたより高かったことも影響し、株式市場は軒並み下落しました。

つまり景気の後退が懸念されたわけです。

この結果、ダウ平均株価は前日比で1.02％（325.63ドル）安となり、NASDAQ総合指数も3.18％（373.44ドル）安となったほか、S＆P500も1.65％下落するなど、軒並み下落していました。

画像引用：nikkei225jp

ビットコイン価格は過去にはデジタルゴールドと呼ばれるなど、GOLD（金）と同じような位置付けだといわれており、景気や株価などとは真逆の動きを示すことがほとんどでした。

しかし最近は米国株式市場の動きと連動していることがほとんどで、ビットコインが多くの投資家などに認知され、位置付けそのものが以前とは変わってきています。

2. UST（TerraUSD）の暴落

ステーブルコインの中でも米ドルにペッグしていないアルゴリズム型ステーブルコインであるUST（TerraUSD）が、2022年5月10日頃から非常に大きな乱高下を繰り返し、そのことが仮想通貨市場全体に大きな影響を及ぼしました。

UST（TerraUSD）の乱高下の原因は、USTの価格を維持していたアルゴリズムで密接なかかわりがあったプラットフォームであるLUNAがデススパイラルに陥ったことにあり、わずか24時間の間で95.9％も暴落していました。

画像引用：tradingview 5日

3.DeFi（分散型金融）市場の信用不安

UST（TerraUSD）はDeFi（分散型金融）市場に対しても信用不安を起こしてしまいました。

DeFi（分散型金融）市場では、前述したUST（TerraUSD）を担保として他の仮想通貨を借りることができるからです。

本来は米ドルと1：1の価値があるからこそ担保としての価値があったわけですが、この価値比率が崩れてしまうと強制的な売却にもつながりかねず、連鎖的な影響も懸念されてきます。

この懸念からDeFi銘柄のうちAVAX（アバランチ）は31％下落し、UNI（ユニスワップ）は20.5%の下落、LINK（チェインリンク）では22.3%下落し、AAVE（アーブ）は24.9%下落するなど、UST（TerraUSD）の信用不安はDeFi市場に対しても大きな影を落としてしまいました。

UST（TerraUSD）を巡る様々な動向や発言

上で説明したビットコイン価格下落原因のうち、米国株式市場の動向は経済的なものであり、仮想通貨と直接的な関係はありません。

しかしUSTが下落要因になっていることは、仮想通貨そのものが下落の原因とつながっており、本来なら起こりえなかったはずです。

USTの下落や信用不安を巡っては様々な発言が巻き起こっていますので、ご紹介しましょう。

Terraform LabsがUSTのペッグ回復策を発表

USTだけでなく、USTの価格維持アルゴリズムで関係が深いLUNAを開発したTerraform Labs（テラフォームラボ）のDo Kwon（ド・クウォン）CEOは、2022年5月11日に消えてしまったUSTの時価総額を救うための施策をTwitterで発表しました。

画像引用：Do Kwon Twitter

ド・クウォンCEOが発表した施策とは、USTとLUNAとを取引きすることで、双方の需要と供給のバランスを取るというものですが、実際にどれほどの効果があるのかははっきりとしていません。

USTの信用不安がテザー（USDT）にも影響

USTの価値が米ドルと対等でないとの信用不安は、米ドルにペッグしている最大のステーブルコインであるテザー（USDT）にも影響を及ぼしていました。

画像引用：tradingview 5日

2022年5月12日のAM7時の時点で0.95ドルにまで下落していました。

本記事の執筆時にはほぼ回復してきていますが、それでも0.996ドルと完全に回復したとはいえないのが分かります。

この事態を受け、テザー社の最高技術責任者Paolo Ardoino（パオロ・アルドイノ）氏は、以下の内容をツイートしています。

テザーはhttp://tether.toを介して1ドルでUSDtの償還を尊重していることを思い出してください。

> 300Mは、過去24時間にスウェットドロップなしで償還されました。

引用：Paolo Ardoino Twitter Google翻訳

米議会で民主党と共和党の論争テーマに

LUNAやUSTの急落は、思わぬところでも論争を巻き起こしました。

米議会の民主党派議員と共和党派議員との間でお互いを非難する材料となり、論争を巻き起こしたのです。

民主党のシェロッド・ブラウン議員は、共和党が仮想通貨の将来性を信じるあまり、リスクについて軽く考えていると指摘し、我々民主党は仮想通貨のシステムのリスクについて正しく理解しているとする旨を発言しました。

また同じく民主党のエリザベス・ウォーレン議員も、ステーブルコインは消費者だけでなく、経済に対してもリスクがあり、規制する管轄がないことや裏付け資産がないことは金融システムへの脅威であるとする旨を発言しています。

一方、民主党と相対する共和党のパット・トゥーミー上院議員は、今回のことでステーブルコインに注目が集まることを合理的だとし、仮想通貨の領域で失敗することも選択肢であり、これを経るからこそ市場が解決策を見つけていくのだと発言しました。

今後のビットコインの値動きはどうなる？

LUNAやUSTの大幅な下落によって、ビットコインも価格を大きく下落させてしまいました。

ビットコイン下落の背景には米国株式市場の問題だけでなく、仮想通貨全体に対する信用不安が影響していますが、ビットコインが今後上昇していく、つまり仮想通貨FXで「買い」のポジションを持って利益を上げられるタイミングはどのような時なのでしょうか。

このことに関しては色々な可能性がメディアなどで取り上げられていますが、その幾つかの説をご紹介しましょう。

「先物市場でおよそ17憶ドルのロングポジションが清算されたこともあり、売りがひと段落しているように感じられる。

さらに信用不安があるアルトコインから、信用できるビットコインに買いが入る可能性はあるが、一時的なものだろう。」

「USTのペッグ回復策が効果を発揮し、米ドルとの価値が1：1になるとともに、LUNAの価格が以前のように最高値になれば、仮想通貨全体における注目すべき回復劇になるのではないか。」

これはつまり仮想通貨全体が注目されることになり、ビットコイン価格も回復するのではないかということを示唆しています。

「ビットコインは相場の底に達しておらず、買いを入れることは控えるべきではないか。」

まとめ

ビットコイン価格が急落した要因には米株式市場の状況に加え、USTの大幅下落があったこと。

さらにUSTに関連した信用不安の影響もあったことなどについてご説明しました。

ビットコイン価格は大きく下落してしまいましたが、いつかは上昇に転じるはずです。

しかし現状では明るい兆しは見えておらず、いつ上昇するか、つまり「買い」ポジションを持てば良いのかは、材料がないことからも専門家の間でも意見が分かれているようです。

しばらくは米株式市場の動きだけでなく、ステーブルコインの値動きも注視しておく必要があるでしょう。