ビットコインがエルサルバドルで法定通貨化の日に下落
- ビットコイン
- 2021.09.09.
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- ビットコインがエルサルバドルで法定通貨化の日に下落
2021年の7月末から価格が上昇し始めたビットコインは、2021年9月6日まで上昇傾向にありました。
しかし翌9月7日の午後になってから一気に下落し始め、一時は500万円付近まで下がりました。
その後は520万円台にまで持ち直したものの、9月8日17時過ぎの時点では490万円を切る勢いで下落しています。
これは大口投資家のビットコイン売却によるものだといわれていますが、おりしも9月7日は南米のエルサルバドルにおいてビットコインの法定通貨化が施行された日でもありました。
ビットコインにとっては記念すべき法定通貨化の日であったにもかかわらず、その日に10%を超える価格下落があった背景にはどのようなことがあったのでしょうか。
詳しくご説明しましょう。
エルサルバドルで世界初の政府によるBTC購入
2021年9月7日、南米のエルサルバドルにおいて、世界初となる政府によるビットコイン購入が発表されました。
発表したのはエルサルバドルのNayib Bukele(ナジブ・ブケレ)大統領で、現地時間の午前4時55分にツイートされました。
画像引用:Nayib Bukele Twitter
エルサルバドルは最初の200コインを購入しました。
締め切りが近づくにつれ、私たちのブローカーはさらに多くを購入するでしょう。
引用:Nayib Bukele Twitter Google翻訳
エルサルバドルではブケレ大統領がビットコインを法定通貨として認める法案を推進しており、2021年6月9日に議会によって可決されていました。
そしてエルサルバドル政府が200BTC、日本円にしておよそ11億円分を購入したわけです。
このことは、世界で初めてビットコインが政府によって購入された記念すべき瞬間だったといえます。
そしてその後のツイートでも、さらに200BTCを追加購入したことを明らかにしており、この時点で合計400BTCを保有したことが明らかになっています。
ビットコイン価格の下落
世界で初めて、またビットコインにとっても記念すべき政府によるビットコイン購入という日に、ビットコイン価格は大きく下落しました。
そして一時は反発したものの、再び下落傾向となり、2021年9月8日17時30分の時点では、490万円を切るほどの勢いになっています。
画像引用:tradingview.com BTCJPY 5日間
ビットコイン価格下落の背景
このようにビットコインにとって記念すべき日であり、本来ならビットコインの将来を見据えて価格が上昇することが考えられたはずにもかかわらず、価格が大きく下落してしまった背景にはどのようなことがあるのでしょうか。
エルサルバドルでのウォレットダウンロードが一時停止
エルサルバドルでビットコインが法定通貨となったこの日、トラブルがお祝いムードに水を差しました。
そのトラブルとは、ビットコインを使うためのウォレットをダウンロードするサイトにアクセスが集中し、一時停止になっていたということです。
現在は復旧されているようですが、エルサルバドル政府は国民1人に対して30ドル分のビットコインを配布する予定が、このトラブルによってかなわなかったのです。
このことは、エルサルバドルでビットコインが法定通貨として正しく機能するかどうかの不安要素として捉えられたということでしょう。
香港で仮想通貨に対する規制強化の報道
中国の圧力が高まりつつある香港で、SFC(香港証券先物委員会)が仮想通貨に対する規制を強化すると2021年9月7日、香港メディア「etnet」によって報じられました。
画像引用:etnet
香港では仮想通貨取引が禁止されているわけではありません。
また香港における仮想通貨の位置付けは、有価証券でもなく、決済にも利用できません。
そのため本来であれば日本でいえば金融庁などにあたるSFC(香港証券先物委員会)が規制すべき対象ではありません。
しかし報道によると、仮想通貨の無許可取引や詐欺などが横行しており、投資家保護のためにSFCが監督範囲を広げ、規制の強化と投資家に対する教育までを視野に入れているとされています。
また2021年5月には香港の議会にあたる立法会が、個人投資家による仮想通貨の取引禁止を検討する予定であったことに加え、仮想通貨取引所を利用できるのは800万香港ドル(日本円にしておよそ1億円)以上の資産がある投資家のみにする方針も明らかになっています。
これは個人投資家のほとんどが仮想通貨の取引ができなくなるだけでなく、香港の仮想通貨取引所の大多数が顧客を失ってしまうことを意味しています。
このニュースは、ビットコインにとって大きなネガティブ要素と捉えられたのではないかと考えられます。
ニューヨーク株式市場の急落
2021年9月7日のニューヨーク株式市場で、新型コロナウイルスの感染が再び拡大しつつあることから、景気回復が進まないことを懸念され、S&P500とダウ平均が下落しました。
S&P500は4520.03ドルとなり、これは前営業日と比較すると0.3%の下落となります。
またダウ平均も35100.00ドルで、前営業日との比較では0.8%(269.09ドル)下落していることになります。
この下落はコロナ禍から回復して以来、比較的順調だったニューヨーク株式市場において大きなものであり、このことは投資家にとって大きなネガティブ要素となっているはずです。
ロングポジション大量ロスカットが下落に拍車
上記の理由などにより、大口投資家がビットコインを売却したことによって、価格が下落したとされていますが、これまでの上昇傾向から一転して下落傾向に導いたのは、ビットコインのロングポジションが大量にロスカットされたということでしょう。
仮想通貨データプロバイダーであるbybtのデータによると、2021年9月7日の24時間でロスカットされたロングポジションは36.8億ドル(日本円にしておよそ4050億円)にまで達しているとのことです。
そしてこのロスカットされたデータの中で最も大きな額だったのは、仮想通貨取引所Huobiの4370万ドル(日本円にしておよそ48億円)だったということです。
Huobiではこの莫大な額のロスカットが影響し、一時1BTCあたりの価格が他の仮想通貨取引所と比較すると2,000ドル以上開いていました。
ビットコイン価格下落の影響が及んでいたのは仮想通貨デリバディブ市場だけではありません。
また近年人気のあるDeFiレンディング市場にも影響は及んでいました。
DeFiのデータプロバイダーであるdebankのデータからは、今回のビットコイン価格の下落によって起きたDeFiレンディング市場の強制清算額は、直近の3ヶ月で最大規模のものになったことが分かっています。
まとめ
ビットコインが世界で初めて法定通貨として取り扱われた日に、価格が大きく下落したことに加え、その背景にあったことについてご説明しました。
エルサルバドルのブケレ大統領は、ビットコイン価格が下落した後、さらに150BTCを押し目買いし、これまでの合計で550BTCを購入したことが明らかになっています。
しかし急激な下落の要因が上で説明したようなことである以上、今後の値動きは不安定になりがちです。
ビットコインの値動きは、毎年9月に不安定であることが指摘されていますが、やはり指摘通りになったということでしょうか。
とはいうものの、仮想通貨FXは値動きが大きいからこそ利益につなぎやすいともいえ、現物売買と比較すると、今がチャンスとの見方もできます。
ただし取引に際しては、今まで以上に慎重な見極めが必要な時期なのかもしれません。
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