ビットコイン価格下落の背景と再度の上昇について
- ビットコイン
- 2021.01.27.
- ニュース
- ビットコイン価格下落の背景と再度の上昇について
ビットコインは2021年1月8日に最高額を記録した後、上下動はあったものの2021年1月27日現在は320万円台を推移しています。
その下落幅はおよそ100万円もあり、非常に大きな額が短期間で下落したわけです。
ここまで下落してしまった背景にはいったいどのようなものがあったのでしょうか。
その要因として挙げられているのがビットコインマイニング業者によるビットコインの大量の売却です。
さらに上昇に転じるには機関投資家による大量の現物購入が必要であるものの、それが不十分であるとの説も見受けられます。
このように弱気な現状分析説がある一方で、価格調整はもう間もなく終わり、上昇に転じる可能性を分析している企業もあります。
これらの説について詳しくご説明しましょう。
価格の下落がマイナーの大量売却につながったとの説
ビットコイン価格がここまで下落した背景には、ビットコインのマイナーが保有していた大量のビットコインを売却したことにあると指摘しているのは、仮想通貨関連のデータ分析企業であるCryptoQuanのCEOであるKi Young Ju氏です。
Ki Young Ju氏は2021年1月26日に以下の内容をツイートしました。
マイナーズポジションインデックスは8年ぶりの高値を記録しました。
彼らは最近、異常な量のビットコインを動かしています。
彼らは42k以来継続的に利益を実現しているようです。
これが、私が弱気な偏見を持ち続ける理由の1つです。
引用:Ki Young Ju Twitter Google翻訳
画像引用:Ki Young Ju Twitter
Ki Young Ju氏のツイートにあるマイナーズポジションインデックスとは、マイナー名義のウォレットから流出するBTCの比率のことです。
この比率はマイナーから流出したUSD建てのビットコインボリュームを365日移動平均法で計算したもので、過去のデータと比較すると高まっていることがみて取れるというわけです。
マイナーがマイニング報酬で得たビットコインは、マイニング施設の稼働に掛かる費用やマイニングマシンなどを購入するための資金にするため、OTC取引やスポット取引所で売却します。
しかしビットコインが高値を更新しているタイミングでは、より高値になることを期待して売却を控える傾向にあります。
つまりビットコインが最高値から下落し始めたため、保有していたビットコインを一気に売却したと考えられるわけです。
もちろんこれだけが全ての理由とはいい切れません。
時期的に最新の高性能マイニングマシンが販売されるタイミングでもあり、購入のために資金が必要だった可能性もあります。
価格上昇には機関投資家からの資金流入が必要
さらに前述のKi Young Ju氏は、米サンフランシスコに本社がある仮想通貨取引所Coinbaseで起きていたプレミアム価格について取り上げ、以下のようにツイートしています。
Coinbase Premiumは、主要な抵抗レベルを破るには十分ではないようです。
米ドルのスポット流入がなければ、これ以上の強気はありません。
引用:Ki Young Ju Twitter Google翻訳
画像引用:Ki Young Ju Twitter
つまりKi Young Ju氏はビットコイン価格が上昇傾向に転じるには、大量のUSDが資金投入されなければならないと指摘しているわけです。
その根拠として、以下のツイートも投稿しています。
CoinbasePremiumに注意を払う必要がある理由はここにあります。
BTCが2万、3万、4万を突破しようとしたとき、それは常に+ $ 50を上回りました。
つまり、富裕層の個人や機関投資家からCoinbaseに大量のスポットが流入していました。
引用:Ki Young Ju Twitter Google翻訳
すなわちビットコインが過去に2万ドルや3万ドル、4万ドルを突破した時には、Coinbaseにおいてプレミアム価格として+50ドルが発生していたのは富裕層や機関投資家からの大量の資金投入があったこと。
そしてそれらは全て米の仮想通貨取引所であるCoinbaseで起こっていたことから、Coinbaseに注目していることを説明しています。
つまり現在のCoinbaseでは過去の大台価格を突破した際に発生していたプレミアムが発生していないため、現状ではビットコイン価格の上昇は難しいと判断しているということです。
ビットコイン価格が上昇する可能性を示唆する企業も
CryptoQuanのCEO、Ki Young Ju氏は、現状ではビットコイン価格の上昇は考えにくい主旨のツイートをしていましたが、その考えとは異なるビットコイン価格の調整は間もなく終了し、上昇に転じる可能性を示唆している企業もあります。
その見解を発表したのは、ブロックチェーンデータ分析企業であるglassnodeで、2021年1月25日付けの同社レポート「The Week On-Chain」内で発表しています。
レポートの中では、ビットコイン価格は下落したものの、ファンダメンタルズは強気のままであり、まだ上昇する余地があると説明しています。
glassnodeが強気であると判断した根拠とは
Glassnodeがファンダメンタルズは強気であり、上昇の余地があると判断した根拠に挙げているのがaSOPRと呼ばれる指標です。
aSOPRの「SOPR」とはSpent Output Profit Ratioのことで、ビットコインの利益率を示しています。
この利益率とは、投資家がビットコインを利益がある状態で売却していれば数値が「1」以上になり、損失が出ている状態でビットコインを売却していると「1」以下の数値となるよう、購入価格と売却価格から計算されているものです。
そして「aSOPR」はSOPRのデータをより正確にするため、ビットコイン取引から1時間以内のビットコインを動かないトランザクションから減じて算出したものです。
つまり買い物でいうところの「釣銭」的要素を除外し、実際に取引されたビットコイン量だけを把握するために考え出されたものです。
GlassnodeはaSOPRの推移とビットコイン価格を併記したグラフを掲載しています。
以下がそのグラフで、黒い折れ線がビットコイン価格を示し、オレンジ色の折れ線はaSOPRを示しています。
画像引用:Glassnode The Week On-Chain
このグラフのaSOPRをみると、しばらくの間数値が高まり続けていたにもかかわらず、赤矢印でも分かるように、aSOPRの標準値である「1」にまで急激に下がっていることが分かります。
このグラフが意味するところは、投資家は利益が出た状態でビットコインを売ることができなくなったケースが増えているということです。
また今後、標準値の「1」よりも下がってくるとすれば、それは損失が出た状態、つまり買った時よりも安い価格でビットコインを売らなければならないケースが増えていることをあらわすことになります。
GlassnodeはaSOPRについて、「1」よりも高い数値から下落してきて、「1」に戻った時にはビットコイン市場が安定を取り戻し、今後強気相場に変わるシグナルになると述べています。
つまり現在のビットコイン価格の下落傾向は、もう間もなく終わるとGlassnodeは考えているわけです。
GlassnodeのaSOPR指標の正確度
実はGlassnodeは、2021年1月11日付けのThe Week On-Chainレポート内で、aSOPR指標のグラフを使用し、間もなく弱気相場になることを予告していました。
それはaSOPRが高すぎるという理由からでしたが、過去の仮想通貨バブルと呼ばれる2017年から2018年初めにも同様の現象が起きていたことが分かっています。
これらのことを含めGlassnodeは弱気相場に突入すること、つまり価格が下落に転じることを予告していたわけです。
まとめ
ビットコイン価格が大きく下落した要因とそこから考えられる今後の展開、そしてデータ分析企業による指標を用いた今後の予想についてご紹介しました。
これらの予想を簡単にまとめてしまうと、現状では上昇は難しいとする意見、そして間もなく強気相場になるという意見の2つに大きく分かれているわけです。
ビットコインのチャートをみると、直近の5日間は比較的狭いレンジを推移している状態ですが、この状態が続くことは考えにくいでしょう。
今後下落するか、もしくは上昇に転じるかの動きは必ず出てくるはずです。
そのチャンスを利益に結び付けるためにも、今回のニュースを参考になさってください。
関連するコンテンツ
- トランプ氏の大統領選勝利による仮想通貨への波及効果
- 米大統領選の勝利者によってビットコイン価格が変化する?
- ビットコインが65,000ドルのレジスタンスを突破し10月末には最高値更新か?
- トランプ氏とハリス氏、2人の米大統領候補の仮想通貨をめぐる報道
- 今のビットコインは安値だが強気相場はあと1年続く可能性
- トランプ候補がビットコインの戦略的準備金計画を発表するとどうなる?
- ビットコイン価格はしばらくは下落してもその後に上昇?
- 2027年までに日本の機関投資家の半数以上が仮想通貨投資の意向
- FRB利下げが今年は1回でもビットコイン価格は大幅上昇との説
- 今後ビットコイン現物ETFがよりBTC価格に影響を及ぼす可能性