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金融緩和策は本当にビットコイン高騰につながる?

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  • 2020.04.29.

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2019年に中国で発生した新型コロナウイルスの感染拡大は、2020年4月28日現在、未だ衰えることなく世界中で猛威をふるっています。

日本でも緊急事態宣言がだされており、自宅で退屈な時間を過ごされている方も多いでしょう。

 

4月28日現在で最も感染者数が多いのは米国の981,106人(外務省海外安全情報より)で、非常に深刻な状態となっています。

そのためFRB(米連邦準備制度理事会)は、3月の時点で政策金利を0~0.25%に切り下げると同時に、7,000億ドルにも上る量的緩和政策を実施しています。

さらに4月に入ってからも金融緩和政策は拡大されています。

また世界中の多くの国々も、米と同調するように金融緩和政策を実施しています。

 

この各国の金融支援策について、ビットコインなどの仮想通貨に関心を持つ人々の間では、インフレにつながるためにビットコイン価格が大きく上昇するという説が有力なようです。

 

しかしその一方で、経済関連の専門家の間ではデフレに陥るのではないかとの見方が強まっています。

 

この相反する説について、詳しくご説明しましょう。

 

インフレからビットコイン高騰説

FRBを代表とする世界各国の中央銀行による金融緩和によって、現金が無制限にバラ撒かれることで極度のインフレが起こり、それから回避するためにビットコインの価値が高まると主張しているのはビットコインに関心が高い人々です。

 

2020年4月15日のニュース記事「ビットコインの大幅下落の可能性と買いチャンス説」内でご説明したように、仮想通貨取引所BitMEXのArthur Hayes氏はBitMEXブログにおいて、金融市場が大打撃を受けた後に20,000ドルにまで到達することを予想しています。

それも、2020年の年末までに到達すると予想しています。

 

量的緩和による影響でインフレが起こり、その結果ビットコイン価格が高騰していくと考えているのはArthur Hayes氏だけではありません。

 

仮想通貨アナリストとして活躍し、Twitterでも多くの仮想通貨に関連したツイートで存在感を示しているPlan B氏も、FRBの量的緩和によるビットコインの高騰を予想しています。

Plan B Twitter

画像引用:Plan B Twitter

 

量的緩和がデフレにつながるとする説

FRBを代表とする各国の金融緩和政策がインフレにつながり、それが結果的にビットコイン価格の高騰につながるとする説がある一方で、経済関連の専門家の間では金融緩和政策などがインフレではなくデフレを起こしかねないとの主張が見受けられます。

 

The NewYork Timesの報道

原油先物価格が大きく下落し、一時的にでもマイナスになったのはデフレの兆候が出ていると指摘しているのは、The NewYork TimesのNeil Irwin氏です。

The NewYork Times

画像引用:The NewYork Times

 

Neil Irwin氏の「石油のマイナス価格が教えてくれること(Google翻訳)」と題された記事では、原油価格がマイナスにまで落ち込んだ理由として、以下のように説明しています。

 

Covid-19の危機は経済への並外れたデフレショックであり、世界の生産的資源の膨大なシェアの空転を引き起こしているということです。

引用:The NewYork Times(Google翻訳)

 

つまりNeil Irwin氏が主張しているのは、新型コロナウイルスの感染拡大によって工場などで生産ラインがストップし、車を運転する人も大幅に減ったことなどから、原油の需要量が大きく減少したこと。

そしてこのような状態にあるにもかかわらず、原油供給量は減っていなかったために原油価格がマイナスにまで落ち込んだことを挙げているわけです。

さらに、原油と同じ供給過多の現象が経済全体に大きくのしかかってくると主張しています。

 

なおNeil Irwin氏の記事では、衝撃的な文章が冒頭に書かれています。

 

私たちは、ほとんどの人の生涯に見られるものを超えるデフレの瞬間にいます。

引用:The NewYork Times (Google翻訳)

 

総合金融機関INGもデフレを危惧

量的緩和などによってデフレが起こることを危惧しているのはThe NewYork Timesだけではありません。

 

50ケ国以上で銀行業務を展開している総合金融機関、INGのチーフエコノミストであるJames Knightley氏もやはりデフレを危惧する発言をしています。

 

その内容は、原油などのエネルギー価格が大きく下落していることに加え、失業者が急増していることが原因で、まもなくマイナスのCPI(消費者物価指数)をみることになるだろうというものです。

ING

画像引用:ING

 

James Knightley氏の執筆記事「米国:デフレが進行中(Google翻訳)」では、FRBの実施している量的緩和策がインフレにつながるのではないかという考えは、金融危機後にFRBによって実施されたQE1、QE2、QE3プログラムの後にも起こっていないことを挙げて否定しています。

その理由として、FRBのマネープリンターから印刷された紙幣は、消費者のポケットではなく、金融資産を支えていることに使われているのだろうと述べています。

 

さらにJames Knightley氏は、新型コロナウイルスが発生する以前の状態に戻るには、長い期間がかかることも予想しています。

 

「通常どおりのビジネス」に戻るには何ヶ月もかかる可能性があります。

失われた出力が2022年半ばまで完全に回復することはありません。

これは、解雇された何百万人もの労働者の新しい雇用機会が制限され、失業率が低下するのが遅くなり、賃金圧力がほとんどなくなることを意味します。

引用:ING Google翻訳

 

つまりJames Knightley氏は、量的緩和があってもインフレに陥る可能性は非常に低く、それよりもデフレに陥る可能性の方が高いと指摘しているわけです。

 

インフレかデフレか

ビットコインがインフレに際してリスクヘッジする有効な方法であることは、否定の余地はなさそうです。

実際にハイパーインフレが起こってきた諸外国では、その目的でビットコインが使われていました。

例えばベネズエラやジンバブエではそうであり、最近の例ではアルゼンチンでも同様の傾向があったようです。

 

アルゼンチンでは、法定通貨のアルゼンチンペソの価値が大きく低下しており、年間インフレ率も50%を超えていたことから、2019年10月には米ドルの購入制限が厳格化されました。

しかし価値が低下したアルゼンチンペソより、価値が高い外貨を獲得することを目的としたビットコインの購入につながり、ビットコインの出来高が大きく伸びていました。

 

しかしこの例は、あくまでもインフレもしくはハイパーインフレが起こった場合のものであり、デフレに陥った場合にはこの限りではありません。

 

ではFRBや世界各国の金融緩和策によって、ビットコインなど仮想通貨に関心が高い人々がいうように世界経済はインフレに傾くのでしょうか。

それとも経済関連の専門家が指摘しているようにデフレに傾くのでしょうか。

 

どちらに傾くのかはもうしばらく様子をみなければ判断はできませんが、インフレに傾くと予想している仮想通貨に関心が高い人々の考えは、大量の現金が出回ることに主眼を置いて分析されているようです。

一方で経済関連の専門家は、現金が出回ることだけでなく、失業率や供給過多までを視野に入れて分析しているようです。

 

またもし経済関連の専門家がいうようにデフレに傾く可能性が高いのであれば、その時ビットコイン価格はどういう動きになるのでしょうか。

残念ながらこのケースを予想した仮想通貨関係者の報道は、今のところ見当たらないようです。

 

まとめ

新型コロナウイルスによって実施された量的緩和などの金融緩和策が、ビットコイン価格の高騰につながるのかどうかについて、インフレかデフレかで大きく左右されること、そしてその意見も二分されていることをご説明しました。

 

実際にどちらになるのか現時点では判断できかねますが、しばらくは様子を見る必要があるのかもしれません。

 

ビットコインは半減期をおよそ半月後に控えていることからも非常に判断に迷うところですが、慎重な対応が必要になってくることは間違いないでしょう。

 

海外の仮想通貨デリバディブ取引は、高水準のリスクを伴う投資であり、全ての投資家に適した投資ではありません。海外の高倍率のレバレッジは少額の資金で証拠金を上回る取引を行うことができますが、仮想通貨は急激な価格変動も多く、短期間に利益を出せる一方で、証拠金の大部分や全てを失ったり、取引額が証拠金を上回っていれば、証拠金額等を超える損失が発生するケースもございます。損失に耐えられない資金投資はするべきではなく、海外業者で仮想通貨FX取引を始めるにあたっては、投資目的やご自身の経験、リスクの許容範囲などを含めて慎重にご検討し、取引内容を十分にご理解いただいた上で、ご自身の責任と判断において取引を行ってください。

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