仮想通貨が持たれているイメージと現実のギャップ
- 仮想通貨関連
- 2020.04.22.
- ニュース
- 仮想通貨が持たれているイメージと現実のギャップ
仮想通貨FXに取り組んでいる人にとって、仮想通貨は投資や金融商品的な意味合いが強く、株などと比べてボラティリティが大きいために利益も大きくでるものの、その反面リスクも大きいものだという位置づけでしょう。
つまり仮想通貨を決してネガティブに捉えていないということです。
では一般の人から見た仮想通貨はどのようなイメージのものなのでしょうか。
これまで仮想通貨のイメージはあまり良くないことが度々報じられてきましたが、そんな状況は変わってはいないのでしょうか。
また、実際に仮想通貨はどのようなことに使われているのでしょうか。
悪いといわれてきたイメージ通り、違法なものを購入することなどに使われているのでしょうか。
これら疑問に答えるような調査報告が2件公表されています。
果たして仮想通貨のイメージと現実はどのようなものなのでしょう。
仮想通貨に対するイメージと現実の使途
仮想通貨に対するイメージはどのようなもので、実際にどのようなものに仮想通貨を使った経験があるのかについて調査した結果を、世界中のトップクリエイティブ企業の作品や事業を紹介しているVisual Objectsが発表しています。
画像引用:Visual Objects
調査対象と留意点
Visual Objectsの調査は、過去にオンライン決済プラットフォームを使った経験のある米国の938人を対象にして実施されています。
ただし938人のうち、仮想通貨を購入したり投資したことがある人は150人と16%だけであり、残りの84%にあたる788人はこれまで仮想通貨に投資した経験がない人達です。
つまり、仮想通貨が持たれているイメージ調査としてはある程度の信頼度はあるものの、仮想通貨を実際にどのように使用したのか、その使い道に関してはあまり調査としての信頼性が高いとはいえず、参考程度のものと理解しておくべきです。
仮想通貨で購入されるもののイメージ
調査対象者に対して、仮想通貨を使って購入されるものとしてどのようなイメージがあるかを尋ねたところ、以下のような結果になりました。
画像引用:Visual Objects
仮想通貨を使って購入されるもののイメージとして最も高かったのは株式で40%となり、その次に違法なものが30%を占めています。
以下は電子機器や金、衣類、不動産、食料品と続いています。
これを見ると仮想通貨のイメージがあまり良いものではなく、違法なものを購入すると考えられている割合が非常に大きいことが分かります。
仮想通貨で実際に購入したもの
では実際に仮想通貨を使って、どのようなものが購入されていたのかを調べたのが以下のグラフです。
画像引用:Visual Objects
仮想通貨で実際に購入されたものの1位は食料品で38%となり、続いて衣類、株、金の順となっています。
そしてその次には武器15%、麻薬11%と続いています。
武器に関しては、おそらく銃だと考えられますが、米国において銃は購入することができるものであり、15%の全てが違法だと断言することはできません。
これを見ると、違法なものを購入していることが多少なりとも認められるものの、前項の「仮想通貨で購入されるもののイメージ」結果とは大きく異なり、ごく普通のものを購入している例がほとんどであることが分かります。
つまりビットコインを使って買うものは、違法なものや犯罪にかかわっているものであるとのイメージができてしまっているということになります。
仮想通貨イメージが悪い理由とは
Visual Objectsの調査報告では、仮想通貨のイメージが悪い理由についても言及しています。
その理由の1つとして、仮想通貨の代表的な存在であるビットコインが、悪名高い闇サイトである「シルクロード」で使われていたことを挙げています。
「シルクロード」に関しては、2020年4月15日のニュース記事「ビットコインの大幅下落の可能性と買いチャンス説」内でも説明していますので、こちらをお読みください。
2つ目の理由として挙げているのが、取引における匿名性の高さです。
仮想通貨は匿名もしくは偽名で送金・受金ができるため、犯罪に利用される率が高いと考えられているわけです。
匿名性の高さゆえに、前述の「シルクロード」で決済に用いられていたことも影響しているでしょう。
3つ目に、政府の管理下にないということが挙げられています。
仮想通貨は全ての国や政府などが金融資産として認めているわけではなく、しかも価格は需要と供給のバランスによって決まってきます。
最近ではUSドルなどの法定通貨にペッグしたステーブルコインもみられるようになってきましたが、国がその価値を保証していないものであるということも信頼性を低くしているようです。
4つ目として、違法なものを簡単に購入できるという点を挙げています。
これは匿名性の高さに加え、違法なものを購入する際によく使われているという背景もあるでしょう。
通貨別の信頼度調査
では仮想通貨を含め、通貨の発行母体によって信頼度に違いは出てくるのでしょうか。
また出てくるとすれば、どの程度の違いになるのでしょうか。
この疑問を解消できる調査を、エコノミスト誌と仮想通貨金融プラットフォームを提供しているCrypto.comが共同で実施しています。
調査概要
この調査は3,000人を対象にして実施されており、法定通貨に加え、現実には未だ実現していないものの発行されたと仮定するデジタル通貨、そして仮想通貨に対する信頼度をそれぞれ比較しています。
なお、デジタル通貨は中央銀行が発行母体となるCBDCのもの、そして国際金融企業が発行するもの、さらに国際テクノロジー企業が発行するものの3種類を仮定しています。
調査結果
調査結果をまとめたのが以下のグラフです。
上から法定通貨、CBDC、国際金融企業発行、国際テクノロジー企業発行、そして仮想通貨の順で表示されています。
なお、各棒グラフのTrustworthy(Google翻訳「信頼できる」)内の数値が信頼度となります。
画像引用:cryptoslate
報告書によると、各通貨の信頼度は、現金が84%と最も高いものとなりました。
次いで、中央銀行発行のCBDCが54%、国際金融企業発行のデジタル通貨が39.6%、国際テクノロジー企業発行のデジタル通貨が36%の信頼度を得ています。
そして仮想通貨は26%の信頼度しか得ることができていないことも分かりました。
これも仮想通貨に定着してしまっているイメージの悪さが影響しているのかもしれません。
まとめ
仮想通貨が多くの人に持たれているイメージと、実際に使われている内容には大きな違いがあることをご説明しました。
このイメージの悪さが定着してしまっているのは、闇サイトで使われていただけでなく、匿名性の高さなど、仮想通貨に本来備わっている機能などももちろん影響しているでしょうが、それだけでは無いはずです。
今回の調査では意見として出てきていませんが、仮想通貨取引所があちこちでハッキングされ、何度も流失を許してしまったことは多くの人の記憶に残っているでしょう。
その流出額も半端なものではなく、それを聞いた一般の人々にとって仮想通貨は危険なもの、不安定なものと認識されてしまったはずです。
一度植え付けられた意識を変えることは非常に厄介で、時間もかかるでしょう。
またその意識を変えていくには、業界全体が変革の意識を持って取り組んでいかなければなりません。
そして多くの人々の仮想通貨に対する意識を変えることができた時こそ、仮想通貨が本当の市民権を得た時なのかもしれません。