GOLD供給不足が投資家をビットコインに向かわせる?
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- 2020.04.05.
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- GOLD供給不足が投資家をビットコインに向かわせる?
新型コロナウイルスの感染拡大によって世界中の国々の経済が混乱をきたしましたが、米をはじめとする各国の大規模な経済支援策の影響もあり、金融市場は少しづつ回復してきています。
NYダウやNASDAQなども元の株価に戻りつつあり、VIX恐怖指数も2020年4月3日現在は46.80にまで下がってきています。
新型コロナウイルスが蔓延し始めた時、ビットコイン価格は大きく下落しましたが、今は70万円台にまで回復してきています。
また有事の際の安全資産といわれていたGOLDも一時期は大きく下落しましたが、今はまた高値をつけています。
しかしそのGOLDは市場の要求する供給量に応えられない、つまり供給不足であることが指摘されています。
そしてGOLDに投資できない投資家が、ビットコインを購入するようになるとの説が注目されています。
GOLDがどうして供給不足に陥っているのでしょうか。
またGOLDを購入できない投資家は、どうしてビットコインに投資するのでしょうか。
もしこの説に信憑性があるのなら、ビットコインは今後大きく値上がりすることが予想されるのではないでしょうか。
このニュースについて、詳しくご説明しましょう。
GOLDが供給不足との報道
ビジネス雑誌であるブルームバーグ誌が、2020年4月2日にGOLDのディーラーがGOLDを売却してくれる人を懸命に探しており、その際のトークとして特別価格での買取りを提示していると報じました。
つまり「今売ってくれるのであれば、相場よりも高い価格で買い取ります」と説明しているというわけです。
それだけGOLDの買い手は多いものの、市場に出回っていない供給不足の状態であるということになります。
さらに報道によると、1キロ以下の大きさの延べ棒、金貨など、比較的小さな単位のGOLDが供給不足に陥っているとのことです。
供給不足に陥っている原因としてブルームバーグ誌が挙げているのが、金鉱山での採掘がおこなわれていないことです。
採掘がおこなわれなければ、新しい金は市場に出回ることがありません。
そして採掘がおこなわれないのは、新型コロナウイルスの感染拡大の影響のためであると報道では指摘しています。
金の産出量が大きい国とコロナの影響
ではGOLDの産出量が多い国はどこなのでしょう。
2006年の中頃まで、GOLDの産出量世界一だったのは、南アフリカ共和国でした。
産出量は292トンもあり、埋蔵量も世界一だとされていました。
しかし2006年後半に入ると、産出量世界一の座は中国に奪われてしまいます。
2016年時点のデータでは、中国のGOLD産出量は450トンを超えており、2位のオーストラリアの1.6倍近くの産出量があるなど、突出した産出国になっています。
中国は新型コロナウイルスの感染拡大を防止するため、地域の封鎖や外出禁止、人の移動の禁止などを実施していました。
つまり産出量が最も多い中国で採掘が停止していたことが、大きな影響を与えていることが考えられます。
コロナでGOLD不足になりビットコインに群がる
仮想通貨の投資家であり、YouTubeに定期的に動画「Keiser Report」で仮想通貨関連情報を配信しているMax Keiser氏が、2020年3月31日にGOLDの供給不足とビットコインとの関連に関する動画レポートを発表しました。
画像引用:Keiser Report
レポート内容としては、新型コロナウイルスによって経済不安が起こり、それによって億万長者が安全資産であるGOLDを買い占める動きに出ること。
そしてこの影響から市場のGOLDは不足し、GOLDを買うことができない普通の人々は代替え策として、ビットコインを買う動きになるだろうというものです。
そのきっかけになるのは、普通の人々がGOLDを買うことができないことを知る時だと述べています。
さらにMax Keiser氏は、新型コロナウイルスの感染拡大がGOLDの採掘をストップさせている状態は、2008年の金融危機にはなかったことを挙げ、億万長者にとってのGOLDは、一般の人のトイレットペーパーと同じだと述べています。
これはつまり、億万長者がGOLDを買い占めするであろうことから、GOLDを買うことができない一般の人はビットコインを買うしかないと説明しているわけです。
Max Keiser氏の指摘と同様の内容を、Bloombergも2020年3月26日に報道しています。
その際の報道内容は、もっとリアルです。
新型コロナウイルスの感染拡大によってトイレットペーパーや消毒液、そしてマスクが市場から消えてしまったように、GOLDもなくなってしまうと指摘しています。
そしてこの現象は、GOLDの採掘や供給ネットワークが正常に機能していないことが供給不足に拍車をかけているとしています。
インフレも進む懸念
Max Keiser氏の「Keiser Report」でも紹介されたGold Money社のRoy Sebag氏は、以下のように新型コロナウイルスによる経済支援策に対して言及しています。
今週印刷された5,500億ドル。
これは年間の5倍の金生産(シャットダウン前)であり、ビットコインの時価総額の4.5倍です。
これは、政治的および経済的指導者がお金の哲学を採用するまで止まらないでしょう。
引用:Roy Sebag Twitter Google翻訳
画像引用:Roy Sebag Twitter
Roy Sebag氏がツイートしているのは、単に経済支援策が活発におこなわれていることを指摘したわけではありません。
経済支援策として大量の法定通貨が支給されると、中身の伴っていない通貨が増えることになり、その結果インフレが進むことになります。
インフレが進むと、インフレに関係のない資産であるGOLDへ回避する行動が加速します。
しかしGOLDを買うことができず、ビットコインに向かう人が増えると示唆しているわけです。
このことは2020年3月21日のニュース記事「コロナ対策の財政支援がビットコイン価格を押し上げ?」でもご説明した通りです。
GOLD不足による他の仮想通貨への影響
GOLDが供給不足に陥ると、影響が及ぶのはビットコインだけではありません。
GOLDにペッグされたステーブルコインが仮想通貨にはいくつかあります。
テザーゴールド(XAU₮)やPax Gold(PAXG)などです。
ペッグされるGOLDそのものがなければ、テザーゴールドやPax Goldの供給を拡大することができなくなってしまいます。
以下のグラフはテザーゴールドの時価総額をあらわしたものです。
このグラフを見ると、順調に時価総額が上昇してきていることが分かります。
なお2020年3月25日に最大となる5,144万ドル(日本円で約56億円)を記録していますが、2020年4月4日時点では4,930万ドルとなり、214万ドル減少しています。
今後GOLDの供給不足が続いていくと、テザーゴールドの時価総額は減少傾向になるか、良くても横ばい状態が続くことが予想されます。
まとめ
新型コロナウイルスの感染拡大によってGOLDが供給不足に陥っており、その結果ビットコインに投資家が向かう裏側についてご説明しました。
この説を裏付けるようにビットコイン価格は少しづつ上昇してきています。
このニュースを仮想通貨FXに生かすとすれば、GOLDの供給不足がどれだけ話題になるか、もしくは問題になるかに注目しておく必要があるでしょう。
このニュースの重要度とは関係なく残念に感じるのは、本当はGOLDを買いたいのに市場に見あたらず、仕方なくビットコインに流れる現象が起きているとすれば、ビットコインをはじめとする仮想通貨の存在感がまだまだ薄いといわざるを得ない点です。
今後、仮想通貨がGOLDを凌ぐほどの価値と存在感をまとうことはあるのでしょうか。
そして、有事の際にはGOLDよりもビットコインといわれる時代は来るのでしょうか。