中国の新型コロナウイルスが仮想通貨に与える影響
- 仮想通貨関連
- 2020.01.28.
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2020年1月9日に初の死者を出したといわれている中国の新型コロナウイルスは、2020年1月27日現在ますますその猛威をふるっており、患者数はおよそ2,800人、死亡した人数は既に80人を超えています。
中国政府は、新型コロナウイルスが発生したとされる湖北省武漢市を封鎖しただけでなく、感染の拡大を防止するために封鎖する地域は広がりつつあります。
加えて海外への団体旅行も禁止され、中国にビジネスなどで滞在している駐在員を脱出させるためのチャーター機も手配されている現状です。
中国から発生した新型コロナウイルスが、まさに世界中を巻き込み拡大している様相を呈してきているわけですが、この新型コロナウイルス騒動は仮想通貨にどのような影響を与えるのでしょうか。
新型コロナウイルスは未だ拡大しつつあり、影響を完全に見切ることはできないものの、関連した報道をまとめてみました。
中国武漢市から新型肺炎が発生
2019年12月8日、中国湖北省武漢市から原因が特定できない肺炎患者が報告されたものの武漢市側はこれを公表しませんでした。
同年12月30日、インターネットで原因不明の肺炎に関する武漢市疾病予防センターが作成したとされる公文書が公開されたことにより、翌日の12月31日になって当局はこの事実を認めました。
当局は武漢市の華南海鮮市場が流行の中心地であると特定し、2020年1月1日に閉鎖しましたが、前日の時点で既に27例の患者が報告されていました。
同年1月9日に61歳の患者が死亡し、新型肺炎初の死亡例となり、1月15日には2人目の死亡例が報告、18日は1人、19日に1人、20日2人、21日3人と死亡例は増えていきます。
感染を封じ込めるため、武漢市は1月23日から封鎖を始めます。
しかし武漢市のある湖北省だけでなく、広東省や北京市内など中国の各省にまで患者は広がり始め、封じ込め策の一環として、中国各地で封鎖や交通機関の停止措置が取られており、1月26日時点での移動制限都市数は11に上っています。
中国の旧正月は本来消費が拡大する時期
2020年1月24日から30日までの7日間は、中国の正月にあたる春節と呼ばれる時期にあたっています。
日本の正月同様に年越し用品を大量に買い込み、大晦日にあたる1月24日には家族全員で食事をして新年を迎えるのが一般的です。
そして正月を迎えると、大量の食材が食卓に並び、街はあちこちで飾り付けがされています。
つまり、日本の正月と変わらない訳です。
日本でも年末には大量の食材を買い出しに行き、普段口にしないような豪華な食材も購入します。
すなわち、中国で個人消費がもっとも活発になる時期が春節なのです。
またこの春節の時期に外出できない、移動が制限されることは、中国国内の個人消費が制限されるということにもつながっていくわけです。
新型コロナウイルスの中国経済への影響
では新型コロナウイルスによって、中国経済はどのような影響を受けているのでしょうか。
2020年1月23日のBloomberg Newsによると、中国の株式相場は大きく下落したとのことです。
画像引用:Bloomberg
報道では、上海証券取引所の株価指数をあらわす上海総合指数が前日比で2.8%安となり、香港株も大きく下落して香港証券取引所の株価指数であるハンセン指数は1.5%安となったことが取り上げられています。
さらに、香港上場の本土銘柄であるハンセン中国企業株(H株)も2%安となっていました。
またBloombergは翌1月24日に、OANDAの市場アナリストであるEd Moya氏の言葉を紹介しています。
投資家は「中央銀行が団結してデジタル通貨のレビューを開始し、ビットコインETFが発生するという楽観論を失い、中国コロナウイルスの懸念、暗号通貨ではなく債券市場への逃避を目論む」
引用:Bloomberg Google翻訳
中国のビットコイン取引高も大幅減少
中国経済が新型コロナウイルスによって大きな影響を受けているだけでなく、ビットコインの取引にも影響しています。
ビットコインの統計情報を提供しているcoin.danceによると、2019年10月頃からビットコイン取引量が下がり始めており、今年に入ってからより低迷していることが分かっています。
画像引用:coin.dance LocalBitcoins Volume
これは習近平国家主席のブロックチェーン発言が大きく影響していることは否めません。
中国はビットコインなどの仮想通貨を推進したいのではなく、ブロックチェーン技術を推進していきたいということです。
しかしその影響下でありながらも、2020年に入ってからビットコイン取引高がより減ってきているのは、新型コロナウイルスによる中国経済の低迷なども影響しているのではないかと推測できます。
ビットコイン価格の推移
ではビットコイン価格はどうなっているのでしょうか。
以下のチャートは、2020年1月28日14時現在のtradingviewBTCJPY1ケ月チャートです。
このチャートをみると、2020年の年明けすぐの頃は大きく値下がりしていましたが、その後は少しづつ上昇し、この時点では987,250円にまで上昇していることが分かります。
画像引用:tradingviewBTCJPY1ケ月
この現象は、中国の取引高が減っているにもかかわらず価格が上昇しているという相反する動きを示しているわけです。
この現象が意味するのはどういうものなのでしょうか。
そのヒントを中国のメディアが報道していますのでご紹介しましょう。
中国の仮想通貨業界とブロックチェーン業界への影響
中国でブロックチェーン関連情報を提供している星球日報が、過去の似た事例として2003年のSARSの時のことを紹介しています。
この時は公共イベントが中止されただけでなく、学校までもが閉鎖されました。
さらに旅行やビジネスでの出張も激減したため、オフライン経済は大きな損失を被っていました。
しかしその一方で、インターネットを介したECサイトなどが大きく発展したと説明しています。
今回の新型コロナウイルスの場合も同様のことが考えられると述べているわけです。
すなわち外出できないことからオフラインでのビジネスが成立しにくくなるため、オンラインでの活動比率が従来より高まっていき、仮想通貨での取引はより投機色が強いものになっていくと指摘しています。
その一方で、中国国内での報道は新型コロナウイルスに関するものがほとんどになり、習近平国家主席が推進するブロックチェーン業界に関する報道は激減するため、ブロックチェーン業界の資金集めなどは厳しくなることを予想しています。
つまり新型コロナウイルスは、中国のブロックチェーン推進政策に陰りを及ぼしかねない事態であるということになります。
ビットコイン価格との関連性
これまでに説明したことを考え合わせて行くと、中国におけるビットコイン取引量は今後増えていく傾向にあることが予想されます。
もちろん中国が推進したいのはブロックチェーン技術であり、あくまでも仮想通貨取引は禁止されているため、影響力は以前のように大きなものではないかもしれません。
しかし2020年に入ってから、これまでの価格上昇が中国抜きでの動きであったと考えるならば、今後中国の投資家が投機の意思を持って参入してくるとすれば、今度更なる高騰につながる可能性が充分考えられます。
まとめ
中国で発生した新型コロナウイルスが仮想通貨に与える影響についてご説明しました。
中国の影響力は仮想通貨に対しても非常に大きなものがありましたが、最近ではその影響力は低下していました。
しかしここにきて、その影響力を再び取り戻す可能性が出てきています。
今後ビットコイン価格がどのように動くかはまだまだ不透明ですが、中国の状況を常に見極めておく必要があるでしょう。