12.17のBTC価格下落原因はプラストークンとの分析
- ビットコイン
- 2019.12.18.
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2019年のビットコイン価格は6月26日140万円近くにまで上昇しましたが、その後は下がり続けています。
そんな状況の中、2019年12月17日のAM3時過ぎ、またもや大きく下落しました。
これによってBTCUSDチャートでは、心理的な節目であるといわれていた7,000ドルを割っています。
この下落の要因は、中国発のプラストークンの詐欺である可能性を指摘した独自レポートを発表した企業があります。
プラストークンの詐欺手口や独自レポートの内容などについて、詳しくご説明しましょう。
12月17日にBTC価格が大きく下落
2019年12月17日の朝3時過ぎ、ビットコイン価格は大きく下落しました。
TradingviewのBTCUSDチャートによると下落し始めたのはAM3時25分からで、わずか8分ほどの間に心理的節目といわれていた7,000ドルを割り込む結果となっています。
なお下落した価格は約4%でした。
下のチャートはTradingviewBTCUSDの12月17日の1日表示チャートです。
赤丸で囲んだ個所が大きく下落しているのが分かるでしょう。
価格の下落はプラストークン詐欺と分析
このビットコイン価格の下落要因として、中国のプラストークン詐欺が影響しているとの分析をブロックチェーン分析企業であり、仮想通貨資金洗浄の追跡をおこなっているChainalysis社が自社のブログで発表しています。
画像引用:Chainalysis blog
プラストークン詐欺事件について
プラストークンは、中国のウォレットサービスの名前です。
2018年頃から始められていたこのサービスは、一言で説明すると仮想通貨を使ったネズミ講といえるものです。
その仕組みは、仮想通貨取引所間での裁定取引をAIを使って自動でおこなうことで1カ月の利益は10%になるとの説明で集客し、プラストークンに参加するための条件として、500ドル以上の出資を義務付けていました。
また勧誘アフィリエイト報酬を設定しており、サービスを利用するユーザーを紹介すると、ユーザーが運用した額の9.5%が紹介者に入るだけでなく、この連鎖で9人までのユーザー紹介報酬が1%入る仕組みになっていました。
報酬はプラストークンと呼ぶ単位で配布されるのですが、プラストークンはビットコインやイーサリアムなどの仮想通貨に換金する方法、もしくは換金せずにそのまま運用する方法を選ぶことができました。
画像引用:ciphertrace
プラストークンは日本や韓国、中国などのアジア圏で人気となり、300万人近くが利用していたといわれています。
ここまで利用者数が拡大したのは、プラストークンの共同設立者であるレオという人物の写真にチャールズ皇太子が写っていたことなども影響しているとされています。
プラストークン詐欺の被害
2019年6月末頃から、中国をはじめとする各国のユーザーから資産である仮想通貨が引き出せないという声が上がり始めました。
同時に、6人の中国人がネット詐欺の疑いで逮捕されたことがSouth China Morning Postによって報じられ、後にこの6人はプラストークンの運営者であることが分かりました。
プラストークン側はこの6人について運営者ではなく、あくまでも利用者であると主張しますが、6月末からユーザーの資金が引き出せないことについては、サーバーの不安定を理由にしています。
なお中国の捜査当局は、現在もプラストークンの主要メンバーを捜索しているとのことです。
結局、資金が取り出せないユーザー数は当時で80万人以上になり、ビットコインは18万BTC、イーサリアムは640万ETH、テザーが11万1000USDTなどとなり、総額で20億ドル、日本円にして2180億円の被害が出ているとされています。
Chainalysis社による分析結果
Chainalysis社がプラストークンの被害にあった仮想通貨について分析した結果、ビットコインは18万BTCのうち45,000BTCが、イーサリアムは640万ETHのうち80万ETHがそれぞれ資金洗浄のためにアドレスを移されていると報告しています。
そして移動されたビットコインは、およそ25,000BTCが既に現金化されていること、残りの2万BTCは8,700以上にも上るアドレスに分散されていると指摘しています。
また移動されたイーサリアムのうち、1万ETHも既に現金化されていることも突き止めています。
現金化は中国系仮想通貨取引所の中で最大規模であるHuobiなどのOTC取引を活用しており、この手法で現金化されたのはこれまでで1億8,500万ドル、日本円にしておよそ200億円にもなると解説しています。
つまり、これだけの金額分の仮想通貨が売りに出されたということになります。
詐欺被害の仮想通貨現金化の影響
Chainalysis社の分析では、プラストークンの動きとビットコイン価格の変動には関連性があると指摘しています。
下のグラフはこれらの関連性を示したものです。
オレンジ色のラインはプラストークンのOTC取引量を表しており、青い線はビットコイン価格の動きを表しています。
画像引用:Chainalysis blog
縦の破線はプラストークンが法執行機関によって閉鎖されたタイミングを表していますが、この時まではビットコイン価格も大きく値上がりしていたことが分かります。
この動きはプラストークンに入金する仮想通貨を大量に購入するため、仮想通貨取引所への入金額が大きくなり、それが「買い」の圧力となって価格上昇につながっていた可能性が考えられます。
また6月末にプラストークン詐欺の関係者が逮捕されると、ビットコイン価格も下落基調になっていることが分かります。
さらに2019年9月と同年11月にOTCによる大口の現金化があると、それに反応するようにビットコイン価格が下落していることが見て取れます。
すなわち、プラストークン詐欺の首謀者らが仮想通貨をOTCで大量に現金化することが「売り」の圧力になっていると判断できるわけです。
そしてこの詐欺事件による仮想通貨現金化の影響は短期的に終わるものではないと、Chainalysis社は指摘しています。
それは首謀者らが2019年8月以降、1日に1,300BTCを現金化し続けていることに起因しているようです。
この大量の現金化による「売り」の圧力は、2カ月間ほど続くのではないかと指摘しています。
つまり今後2カ月ほどの間は、ビットコイン価格が下落傾向に陥る可能性が高いと説明しているのです。
Chainalysis社と同じ説を唱える人物も
今回のChainalysis社の分析と同じ意見を唱える人物は複数存在しています。
中でも中国の仮想通貨事情に詳しい米の仮想通貨ファンドマネージャーであるDovey Wan氏は、2019年4月頃から始まった強気相場だけでなく、最近の弱気相場においてもプラストークンの動きが影響していると説明しています。
そして今後の売り圧力に関しても、Chainalysis社の分析と同意見で、やはり2カ月ほど続くのではないかと述べています。
画像引用:Dovey Wan Twitter
まとめ
2019年12月17日のビットコイン価格下落はプラストークン詐欺の影響であるとするChainalysis社の分析と、プラストークン詐欺の手口などについてご説明しました。
仮想通貨に対する規制は厳しくなりつつあり、マネーロンダリング対策なども厳格化する動きがみられます。
しかしこれらの対策が厳格化されても、仮想通貨を利用する人間の心理を突いた詐欺を防ぐことは非常に難しい問題です。
そしてこの詐欺の影響がビットコイン価格にまで大きく影響してしまう現実を突きつけられると、規制や仕組み、プラットフォームの機能などが進化してもこれらを利用する人間の意識が変わらないといけないことを痛感させられます。
仮想通貨を活用して利益を出したい心理は、仮想通貨取引をする人なら誰にでもあることでしょう。
だからこそ、その心の隙に付け込まれることのないように、常に気持ちを引き締めておく必要があることがお判りいただけたでしょうか。