ビットコイン価格の低迷は中国の取り締まりが影響か?
- ビットコイン
- 2019.11.30.
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- ビットコイン価格の低迷は中国の取り締まりが影響か?
2019年11月29日21時時点のビットコイン価格は、およそ82万円前後で推移しています。
11月25日には72万円台にまで落ち込んでいましたが、そこからやや持ち直したものの、6月末の140万円台にまで高騰していたのが嘘のような低迷ぶりです。
中国がブロックチェーンに注力することを宣言した直後には、もっと上がり続けるのではないかと思った人も多かったはずです。
これまでも中国の動きは仮想通貨に大きな影響を及ぼしていることが知られていますが、現在ビットコイン価格が低迷しているのは、中国の仮想通貨に対する取り締まりが一因になっているともいわれています。
この説について詳しくご説明するとともに、現在のビットコイン価格低迷の要因とされている他のポイントについてもご紹介しましょう。
中国が仮想通貨取り締まりを強化
中国が仮想通貨取引に対する取り締まりを強化し、11月だけでも5つの仮想通貨取引所が閉鎖されたとBloombergが報じています。
画像引用:Bloomberg
中国では仮想通貨取引は禁止されているものの、これまでは多くの人がOTC取引などで取引を継続しており、事実上黙認状態にありました。
しかし先月25日に中国の習近平国家主席がブロックチェーン技術を推進することを発表した後、規制当局が仮想通貨取引に対する取り締まりを厳しくおこなっていたようです。
中国のメディアであるイーストマネーが2019年11月21日に報じたところによると、中国深圳市が仮想通貨による投機やブロックチェーン技術を違法行為に活用していることに関して調査を始めているとのことでした。
画像引用:eastmoney
もともと中国深圳市は中国の中でもブロックチェーン企業が多く存在しており、中国版シリコンバレーともいえる街です。
習近平国家主席のブロックチェーン技術推進発言に便乗し、ブロックチェーン技術を違法行為に活用するだけでなく、仮想通貨への投機活動が活発化していたことが背景にあったのかもしれません。
規制当局は、この調査結果に基づいて何らかの措置を講じるものとみられています。
なおこの中国深圳市の調査では、39社の仮想通貨取引事業者を特定したようです。
また中国深圳市だけでなく、中国の中央銀行にあたる中国人民銀行の上海本部でも今後取り締まりの強化を図ることが発表されています。
取り締まりの具体的影響例
ではこれらの取り締まり強化によって、具体的にどのような影響が出ているのでしょうか。
現時点で分かっている事例をご紹介します。
北京にある仮想通貨取引所BISSは閉鎖に追い込まれ、なおかつ逮捕者が出ているとの報道もあるようです。
仮想通貨取引所のBistodaは11月23日に業務を停止することを発表しています。
また11月24日にはAKdexがサービスを停止し、IDAXも中国以外の地域には継続してサービス展開するものの、中国ではサービスを停止しています。
翌11月25日にはBtuexもサービスを停止しています。
そして驚くべきは仮想通貨取引所の最大手であるBinanceだけでなく、仮想通貨トロンを展開しているトロン財団も、中国版TwitterともいえるWeiboのアカウントが凍結されています。
2017年以来の取り締まり強化
中国が仮想通貨に対する取り締まりを実施したのは今回が初めてではありません。
2017年9月4日に中国証券監督管理委員会が仮想通貨に対する規制及び取り締まりの強化を通達していました。
この時の取り締まり強化では当時、中国での三大仮想通貨取引所のひとつとされていたBTC Chinaが2017年9月末で取引を停止するとともに、ユーザーの新規登録を停止しています。
今回の中国での取り締まり強化は、この2017年以来の厳しい措置であるといわれています。
中国の取り締まり以外にもある価格下落要因
上記の中国における仮想通貨取引に対する取り締まりが、ビットコイン価格の下落基調の一因であるとの説がありますが、ビットコインEFT関連企業であるVanEck社の責任者であるGabor Gurbacs氏の説では、中国の取り締まり強化以外にも下落要因があると指摘しています。
Gabor Gurbacs氏の説によると、中国における仮想通貨取引の取り締まり強化は、確かにビットコイン価格の下落基調の一因となっているようです。
特に中国国内にある取引所に対する取り締まりだけでなく、サーバーを中国以外の海外に置いて中国国内を対象にしている仮想通貨取引所も含めて対象にしていることが、投資家の危機感につながり、売りという行動に出ていると指摘しています。
しかしGabor Gurbacs氏はこれだけがビットコイン価格の下落基調の要因ではなく、他にも要因となっているものがあると指摘しています。
米トレーダーの税金対策も影響
中国の取り締まり強化以外の要因として、Gabor Gurbacs氏は米トレーダーの税金対策を挙げています。
米国では1月から12月までの一年間が確定申告対象期間にあたるため、年内に仮想通貨での所得を確定させておけば、結果的に確定申告の金額を抑えることができることになります。
つまり年末になると仮想通貨を売るケースが多いということです。
この現象は2018年にも見られており、仮想通貨に対する税制が明確化されてから顕著になったようです。
ビットコインの流動性の低さが影響
Gabor Gurbacs氏がビットコイン価格の下落基調の要因として、もうひとつあげているのがビットコインの流動性の低さです。
流動性の低い状態とは、ビットコインの市場規模が小さくなっただけでなく、取引量が小さく、買い手が少ないケースを指します。
流動性が低くなると、ビットコインを換金したくてもできなくなり、換金したい総量より買い手が少ないために一部だけの換金にとどまってしまうだけでなく、買い手の少なさによって値引きして売らざるを得ないなどの現象が出てきます。
これら以外にも、たった一度の大口取引によってビットコイン価格が大きく影響してしまうケースも考えられます。
また流動性が低くなると、仮想通貨取引所のスプレッドが広がる現象が起きることをGabor Gurbacs氏は指摘しています。
Gabor Gurbacs氏の指摘を裏付けるように、SkewのチャートではBitMexやBinanceなどでもビットコインのスプレッドが広がっていることが見て取れます。
画像引用:skew Twitter
このスプレッドが広がっている状態は3ヶ月ほど前から起きており、相場の急騰だけでなく急落もあり得るため、トレーダーは警戒感から投資しづらい状態に陥っていると説明しています。
ビットコインによる開発費などを換金
Gabor Gurbacs氏によると、ビットコイン価格の下落基調要因は近年のプロジェクトにおける開発費の支払いや企業買収にビットコインを利用することにも起因していると指摘しています。
つまりプロジェクトや買収された企業のオーナーや親会社などが順調なうちは影響はありませんが、何らかのトラブルや障害が発生したり、大きな支出が必要になった場合にビットコインを換金するケースがでてきます。
これらがビットコイン市場における値下げ基調につながっているということを指摘しているわけです。
まとめ
最近のビットコイン価格が値下げ基調になっている原因として考えられるポイントを紹介しました。
ご説明したように幾つかの原因はあるものの、その中でもやはり中国の仮想通貨取引に対する取り締まりの強化は、最も大きな原因といえるでしょう。
中国という国の大きな影響力には改めて驚かされます。
中国はいずれ自国のデジタル通貨を発行することはほぼ確実でしょう。
そうなった時に世界の人々が、従来からあるビットコインなどの仮想通貨をどう位置付け、仮想通貨市場がどう変化していくのか、誰も予想できません。
しかし中国の動きが今後もビットコインなどの仮想通貨に影響していくことは間違いないでしょう。
中国の動向には今後も注意が必要です。