習近平発言以降に活発化の中国ブロックチェーン関連の動き
- 仮想通貨関連
- 2019.11.01.
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2019年10月28日のニュース記事「習近平の発言がビットコインを高騰させた理由」内でもご説明した通り、中国の習近平国家主席が同年10月25日に開催された党中央委員会でブロックチェーン技術の重要性と開発を加速させる必要性について発言しました。
その発言の後、中国国内ではブロックチェーン関連の動きが一気に活発化しています。
どのような動きがあるのか、詳しくご説明しましょう。
習近平国家主席の鶴の一声
ニュース「習近平の発言がビットコインを高騰させた理由」で、習近平国家主席の発言がトップダウンによって全ての部署や機関などを一斉に動き出させ、政策や各種の施策、補助金の設定などがされ、それによって地方や企業も動き出すであろうことをお伝えしました。
まさにその通りの動きが出始めており、しかもその動きは非常にスピーディーです。
中国における習近平国家主席の発言はまさに鶴の一声であることが証明されたわけです。
ブロックチェーン認証規制を設置
中国における中央銀行である中国人民銀行と国家市場監督局が、デジタル決済とブロックチェーン関連技術のリスクを規制・管理するため、認証システムを導入したと共同で発表しました。
画像引用:中国人民銀行
この認証システムはフィンテック製品認証(Certification of Fintech Products)、略称CFPと呼ばれるもので、ブロックチェーン技術を応用した製品の中で、プロトタイプとオンサイトの両方でテストに合格した製品の申請者に対して認証を与えるものです。
ただし認証は3年毎に再審査や更新することが必要であり、認証している機関であっても生産過程で検査されることになっています。
またCFP認証された申請者の企業などは、製品ロゴにCFP認証マークを付けることができます。
この認証システムでは、今後必要となるデジタル決済に関連するモバイル端末やアプリソフト、セキュリティキャリアなどがあり、全部で11のジャンルに対応しているとしています。
つまりこの認証システムを導入することで、今後登場することがほぼ間違いない中国人民銀行発行のデジタル通貨を使った決済のための環境を整えつつあるということです。
ブロックチェーン教育のための動画を公開
中国中央委員会の広報部が、ブロックチェーン技術について詳しく説明した教育用のビデオを公開したことをCOINPOSTが報じました。
このビデオは一般の人々に向けたものであり、中国政府の考えとして、一般市民にブロックチェーン技術についての知識を浸透させていきたいことが読み取れます。
ビデオの内容としては、ブロックチェーン技術についての基本的なことから、アルゴリズムやプログラミングコード、セキュリティなどにも触れていますが、特筆すべきはビットコインやイーサリアムについても詳しく紹介していることです。
習近平国家主席の発言ではブロックチェーンという言葉は何度も登場していますが、仮想通貨という言葉や、ビットコインやイーサリアムなど、固有の仮想通貨名称は一切登場していません。
これにはブロックチェーン技術は導入するものの、ビットコインなどを全面的に認めるわけではなく、ブロックチェーンもデジタル人民元に対しての土台つくりだと考えていることが分かります。
そして今回の教育ビデオで取り上げたのは、ブロックチェーンを活用した単なる一例として紹介しているのではないかと考えられます。
ただし、中国では大手仮想通貨取引所であるBinanceが2019年10月9日から人民元でのOTC取引によるビットコインやイーサリアムの取引を開始しています。
また2019年10月29日からは中国ユーザーに向け、Binanceの独自トークンであるBNBトークンのOTC取引が可能であることも発表しています。
画像引用:Binance Twitter
本来中国の公的見解では仮想通貨取引所の利用は禁止されているものの、BinanceだけがOTC取引とはいえどもこのようなサービスを表立って展開できることに疑問も生じます。
Binanceが中国本土で利用できることは、中国にとっては何らかの事情があるようですが、ブロックチェーン技術を推進していくうえで、ビットコインやイーサリアムは基本的に視野に入っていないように見受けられます。
アンチブロックチェーン投稿を削除
中国は独自のデジタル通貨を発売するにあたり、これまでに投稿されていたブロックチェーンを誹謗中傷する内容のものについて、削除を進めていると英オンラインメディアであるINDEPENDENTが2019年10月31日に報道しました。
画像引用:INDEPENDENT
中国は、ブロックチェーン技術が詐欺であると主張するオンライン投稿を削除することにより、国が支援する独自の暗号通貨の立ち上げに備えています。
引用:INDEPENDENT Google翻訳
INDEPENDENTの報道はTwitter名cnLedger氏の投稿をニュースソースにしており、これによるとブロックチェーンが詐欺であるとの趣旨の記事は削除されているとしています。
同時に、中国共産党がリリースしている習近平国家主席の指針を学ぶためのアプリ「Xuexi Qiangguo(強力な国家になるための研究)」に広告が出始めたようです。
その広告はビットコインとイーサリアムを含めた、ブロックチェーンについて学ぶためのものとのことです。
画像引用:cnLedger Twitter
中国は2013年から2017年前半まで、仮想通貨取引量は世界一でしたが、ICOは一切認めず、仮想通貨取引所も一部だけでしか認めなくなりました。
それにはICOへの投資熱が過剰になってきたことに加え、ICOに詐欺が横行していたことが大きく影響しています。
そしてICOを取り締まる際の表現として、ICOのほとんどが詐欺やねずみ講であるとして禁止しました。
つまりICOもブロックチェーンも同一視されてしまっていた過去があるわけです。
そのため習近平国家主席の鶴の一声でブロックチェーンを推進するにあたり、都合の悪い投稿は削除する必要が出てきたということでしょう。
まとめ
中国の習近平国家主席が、党中央委員会でブロックチェーンの重要性について発言した以降の中国の動きをまとめました。
習近平国家主席の発言は10月25日であり、わずか1週間ほどでこれだけの動きがあったわけです。
中国は共産圏であり、まだまだ報道されていない事実もあるはずです。
報道されているだけでもこれだけの動きがあるのですから、おそらくもっと多くのブロックチェーンに関する動きがあるでしょう。
中国の素早い動きを目にすると、独自のデジタル通貨は来年にでも発行されるという説に信憑性を感じさせられます。
米下院公聴会でフェイスブックのザッカーバーグCEOが述べたように、中国のデジタル人民元が米の金融面に影響を及ぼしかねないことが現実に迫ってきているのでしょうか。
もしそうなると、世界の金融を中国が牛耳ることにもつながっていくでしょうか。
中国のトップダウンの完璧さと素早さには驚かされますが、米をはじめとする主要国でも仮想通貨に対する素早い動きを期待したいものです。
そしてその動きがビットコインをはじめとする、仮想通貨の本当の価値を高めることになっていくのではないでしょうか。