9.25のビットコイン下落の背景とは
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- 2019.09.26.
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画像引用:tradingview BTCJPY
2019年9月25日の未明、ビットコイン価格が大幅に下落しました。
下落幅は1時間でおよそ14万円近くにおよび、3時30分には100万円を切った以降、80万円台に割り込んでいます。
上のチャートは25日20時20分現在のtradingviewのBTCJPYチャートです。
この時の価格は899,796円となっています。
2019年9月6日には116万円ほどの値を付けており、その後下落はあったものの持ち直してから以降は下落傾向ながら、しばらくの間レンジ相場が続いていました。
しかしどうしてこのタイミングで一気に下落したのでしょう。
その背景に迫ってみましょう。
9月23日に大きく下げたハッシュレート
実はビットコイン価格が大きく下落する前の23日に、ビットコインのハッシュレートが大きく下げていたことが指摘されています。
画像引用:BLOCKCHAIN.com
上の表はBLOCKCHAIN.comによる直近30日間のハッシュレートデータです。
赤丸で囲んだ部分が大きく下落しているのが分かるでしょう。
このデータによると、9月21日には9,800万TH/sであったハッシュレートが23日には6,738万TH/sにまで落ち込んでいます。
これはおよそ40%落ち込んだ計算になります。
ハッシュレートとは
ハッシュレートとは1秒あたりでマイニングできる発掘速度、つまり1秒にハッシュを何度繰り返すことができるかという計算能力のことを示します。
ハッシュレートの単位はT(テラ)やG(ギガ)、M(メガ)、K(キロ)で表示され、T (テラ)の場合は1兆を示しています。
ビットコイン価格との相関関係
ビットコインの価格とハッシュレートには相関関係があるといわれています。
例えばハッシュレートが上がるとビットコイン価格も値上がりするといった具合です。
その理由には、以下のようなことが定説的にいわれています。
マイナーが価格を判断しているから
ビットコインをマイニングするためには高性能なコンピューターが必要になり、しかも長時間稼働させなくてはなりません。
それには大量の電力が必要であり、その分の電気代がコストとなってしまいます。
そのためにビットコイン価格が上がると判断できるならマイニングする人が増えますが、その一歩で、価格が下がると判断している場合には、マイニングに参加しない人が増えてくるわけです。
これらのことから、ハッシュレートが上がるということは、ビットコイン価格が上がるとマイナーが判断しており、ハッシュレートが下がる場合にはビットコイン価格が下がると判断しているマイナーが多いということです。
つまり、これらをトレーダーが判断材料にしているともいえるわけです。
信頼感が変化するから
ビットコインを含めた仮想通貨には法定通貨のような管理する機関や組織がなく、適正な価格も存在しません。
それゆえに、市場は少しのリスクにも非常に敏感になりがちです。
ハッシュレートが上がるということはマイニングが順調であり、システム的にも順調に推移していると受け取られますが、ハッシュレートが下がると何らかのトラブルや問題が生じているのではないかと受け止められてしまいます。
その結果、ハッシュレートが上がるとビットコイン価格が上昇しやすく、ハッシュレートが下がるとビットコイン価格も下がることにつながっていくといわれています。
ハッシュレートが下がった要因とは
ハッシュレートがどういう要因で下がったのか、断定することはできませんが、その要因として考えられるものとしては、中国の内モンゴル自治区が中国政府からマイニング業者を停止させる意向を受けていたことが挙げられています。
中国のマイニング業者は四川省に多く存在していることが知られていますが、実は内モンゴル自治区にも数多く存在しています。
このマイニング業者が一定期間停止を命令されたことで、中国政府の取り締まりを懸念して国外などに移転し、これがハッシュレートの下がった要因のひとつではないかともいわれています。
Bakktビットコイン先物の出来高が影響か
ハッシュレート以外にビットコイン価格の下落要因として挙げられているのが、Bakktのビットコイン先物取引サービスです。
画像引用:Bakkt
Bakktはニューヨーク証券取引所の親会社のIntercontinental Exchange(略称ICE)によって設立された仮想通貨の決算プラットフォームです。
このBakktが、2019年9月23日からビットコインの先物取引サービスを開始していましたが、初日の出来高が72BTCのみとあまり良くありませんでした。
実はこのBakktの先物取引サービスは非常に注目されていたため、初日の出来高が良くなかったことがマイナス要因として受け取られたのではないかといわれています。
ただし出来高の推移を見てみると、初日の出来高は前述したように72BTCでしたが、2日目は166BTC、3日目も途中段階で215BTCになっているなど、増加傾向にあります。
2つの要因から考えられる今後の価格
ビットコイン価格が大きく下落した要因ではないかといわれている2つのことについて説明しました。
紹介したこの要因は、あくまでも考えられる要素であり、実際何によって価格が下落したのかは、市場がそれぞれの要因をどう受け止めたのかということに大きく左右されます。
しかし今回説明した下落要因と考えられるものについて、もう少し詳しく見てみると、意外なことも見えてきます。
ハッシュレートの再上昇
「9月23日に大きく下げたハッシュレート」の項で引用したBLOCKCHAIN.comのハッシュレートのチャートには、下落直後にまた大きく上昇していることがはっきりと表れています。
下は同じチャート図ですが、黄色い円内のチャートが急上昇していることが分かるでしょう。
画像引用:BLOCKCHAIN.com
もしハッシュレートの動きにビットコイン価格が連動するのであれば、大きく下げた後に急上昇しているということは、今後ビットコイン価格がどうなることを意味しているのでしょうか。
すなわち、ハッシュレートが下がったことがビットコイン価格の下落の要因であったとするならば、今後一気に価格が上昇する可能性もあるということになります。
Bakktの出来高の上昇
ビットコイン価格の下落要因として挙げられている、Bakktがローンチしたビットコイン先物取引の初日出来高不調ですが、「Bakktビットコイン先物の出来高が影響か」の項でも説明したように、不調だったのは初日だけであり、二日目以降は上昇傾向にあります。
もし、ビットコイン市場やトレーダーがBakktの出来高を意識したために価格が下落したとするならば、今後回復する可能性も十分考えられるということになります。
まとめ
2019年9月25日のビットコイン価格下落の要因とされているものを整理してお伝えしました。
しかし説明したこの要因とは、あくまでも考えられる要因であり、仮想通貨の価格は少しのネガティブ要因やポジティブ要因に大きく反応してしまうため、これらの要因が本当に正しいのかどうかは誰にも判断できません。
また「2つの要因から考えられる今後の価格」の項で説明した内容も、これらが市場にどのように受け止められるのかは分からず、ビットコイン価格に反映されるかどうかも分かりません。
ただいえることは、仮想通貨を取り巻く環境についてのニュースや情報には敏感になっておく必要があることは確かではないでしょうか。