Coincheckとマクロミルが提携して取引への契機に
- 取引所
- 2019.09.06.
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画像引用:Coincheck PRESS
8月21日のニュース記事で「bitFlyerでTポイントを使って仮想通貨が購入可能に」を掲載いたしましたが、bitFlyerに続いてCoincheckも新たな提携先のポイントを使って仮想通貨に交換できるサービスを発表しました。
Coincheckはマネックス証券と同様のサービスをすでに展開しており、このような提携先のポイントを仮想通貨に交換できるサービスを実施する背景にはどのような狙いがあるのでしょうか。
ニュースの詳細と合わせてご紹介しましょう。
Coincheckがマクロミルと提携
国内仮想通貨取引所Coincheckが、マーケティングリサーチを事業主体とした株式会社マクロミルと提携し、マクロミルポイントを仮想通貨に交換することができる「Coincheckアンケート」を実施することを発表しました。
Coincheckアンケートとは、これまでマクロミルが実施してきたアンケート回答者に対して付与されるポイントを仮想通貨と交換できるサービスです。
これまでのマクロミルポイント活用法
これまでマクロミルでアンケートに対して回答したモニターには、報酬としてマクロミルポイントが付与されていました。
マクロミルポイントは一定のポイント数が貯まれば、商品や他社のポイントに交換できるだけでなく、現金に交換することもできました。
Coincheckアンケート導入によるポイント活用法
マクロミルのモニターはマクロミルポイントをビットコイン、イーサリアム、リップルのうち、自分の好きな仮想通貨に交換することが可能になります。
ポイント交換の条件
マクロミルのモニターが報酬となるマクロミルポイントを仮想通貨に交換するためには、マクロミルにモニター登録するだけでは不十分です。
マクロミルのモニター登録と共に、仮想通貨取引所Coincheckに口座を設けておく必要があります。
またマクロミルポイントを仮想通貨に交換できるのは、初回は300ポイントで、2回目からは500ポイントが必要となります。
なお、仮想通貨へのポイント交換は自動で行われるのではなく、マクロミルの「Myページ」から設定しておく必要があります。
画像引用:MACROMILL monitor
マクロミルにとっての提携メリット
ではマクロミルがCoincheckと提携するメリットとはどのようなものなのでしょうか。
もちろん、アンケートモニターが仮想通貨やその取引に興味を持っていたとすれば、ポイントの交換対象に仮想通貨が加わることは魅力的に映るでしょう。
しかし全てのアンケートモニターが仮想通貨に興味を持っているとは考えられません。
マクロミルポイントが仮想通貨に交換できることだけがマクロミルにとってのメリットではないはずです。
株式会社HashHubとの連携
マクロミルは今回のCoincheckとの提携より前の2019年8月に、株式会社HashHubと連携して、高速でしかも手数料も抑えられるLightning Networkという手法を利用し、アンケートに答えた直後にビットコインを付与するシステムの検証をしています。
株式会社HashHubはブロックチェーン技術を応用したプロジェクトを手掛けているブロックチェーン総合企業です。
ブロックチェーン技術の活用
マクロミルが将来的な構想をオープンにしているわけではないため、マクロミルの提携メリットは推測の域を出ませんが、デジタルマーケティングにブロックチェーン技術を応用し、従来にない高付加価値のサービスを展開していこうと考えているようです。
HashHubやCoincheckとの提携は、そのための足掛かりとして非常に有効だと考えているのでしょう。
Coincheckにとってのメリットとは
ではマクロミルと提携するCoincheckにとってのメリットとはどのようなものなのでしょうか。
最近のCoincheckの動きを知ると、おぼろげながらも見えてくるものがあります。
グループ会社であるマネックス証券との連携
Coincheckはマネックス証券と連携し、2019年4月24日からマネックス証券の取引に応じて貯まるマネックスポイントをビットコイン、イーサリアム、リップルと交換するサービスを展開しています。
もちろんこのサービスにおいても、Coincheckに口座を設けている人が対象となっています。
なおCoincheckはマネックスグループの一員であり、このサービスはグループ会社内で実施されているものとなります。
画像引用:マネックス証券
2019年10月31日からレバレッジを4倍に
2019年9月3日のニュース記事「Coincheckがレバレッジを5倍から4倍に変更」でも掲載した通り、Coincheckは2019年10月31日から、それまで5倍だったレバレッジを4倍に変更すると発表しました。
レバレッジ4倍は法で定められたものではなく、Coincheckが独自に決めたものでもありません。
Coincheckを含め、日本国内の仮想通貨交換業社が加盟している一般社団法人「日本仮想通貨交換業協会」(略称JVCEA)の自主規制です。
自主規制ではあるものの、JVCEAは金融庁に協会として登録されているため、JVCEAの自主規制は実質的に金融庁の規制と同等のものになります。
つまり自主規制とはいうものの、従わざるを得ないと考えるべきでしょう。
自主規制が実施される以前には各取引所においてレバレッジに大きな違いがありました。
例えばGMOコインは最大25倍のレバレッジを掛けることができました。
bitFlyerは最大15倍、Zaifは7.77倍、BITpointは最大25倍など、取引所によって明確な違いがあったわけです。
しかしそれが自主規制により、Zaifを除く全ての仮想通貨取引所がレバレッジ4倍になりました。
Zaifは現在も7.77倍のレバレッジを継続させていますが、これもまもなく4倍に変更されるでしょう。
これはつまり国内の仮想通貨取引所にとって、他社との差別化ができない状態になったということです。
Coincheckの顧客獲得戦略
レバレッジの違いは誰が見ても一目で特徴として判別できましたが、レバレッジが各社横並びになると利用者にとっては大きな特徴がなくなり、どこの仮想通貨取引所を利用しても変わらないように感じてしまいます。
そうなると重要なのが、いかに新規顧客を獲得するかです。
ただ待っているだけでは新規顧客の獲得は難しく、しかもJVCEAの自主規制によってTVCMや広告なども制限されているため、新規顧客獲得の手法はそれほど多くありません。
そこでCoincheckのグループ会社であるマネックス証券との連携に意味が出てくるわけです。
証券会社の顧客であれば、投資経験のない人に比べて仮想通貨を選択する可能性は非常に高いはずです。
しかも自分の資産を使って仮想通貨取引をするのではなく、ポイントを使った取引なら仮想通貨取引の経験がない投資家も試してみたくなるでしょう。
そしてマクロミルとの連携もマネックス証券と同様に、ポイントを活用した新規顧客の獲得のためと考えられます。
ただマネックス証券との違いは、投資に積極的でないアンケートモニターが多くいるであろうこと、そしてポイントを仮想通貨に交換する率が読めないことではないでしょうか。
もちろんこれらは、マクロミルがこれまでに仮想通貨に関するアンケートを実施しており、投資への関心度やポイントなら仮想通貨取引をするかなどを把握しているはずです。
そのうえで、十分新規顧客の獲得につながると判断したため、マクロミルと提携したのではないでしょうか。
まとめ
Coincheckとマクロミルとの提携についてご説明しました。
国内仮想通貨取引所とマーケティングリサーチ関連企業との提携はCoincheckだけでなく、冒頭でご説明したようにbitFlyerもTポイントと提携し、ポイントを仮想通貨に交換できるサービスを実施しています。
この傾向はおそらく今後も続いていくはずです。
仮想通貨取引の経験がない人にとっては取り組みやすく、仮想通貨FXの魅力を知る良い機会になるのではないでしょうか。