お問い合わせ

仮想通貨の脱税対策が本格化する米国

  • 規制
  • 2019.07.11.

  • ニュース
  • 仮想通貨の脱税対策が本格化する米国

IRS website

画像引用:IRS

 

日本では仮想通貨取引で得た利益は雑所得になり、年間20万円以上の利益が出た場合には確定申告しなければなりません。

雑所得は総合課税になるため、他の収入と合計して税率が定められています。

もし大きな利益が出ているにもかかわらず申告しないでいると、後々税務署から罰金や延滞税が課せられ大変厄介なことになってしまいます。

 

このようなことは仮想通貨FX取引をしている人なら誰もが知っているはずですが、それでも申告せずに税務署に罰金を課せられる人が後を絶たないようです。

仮想通貨に関して脱税する人は日本だけでなく、仮想通貨取引量が最も多い米国にも多く存在しているようです。

そのため、日本でいえば国税庁にあたる内国歳入庁(IRS)が仮想通貨に関連した脱税を防ぐために、GoogleなどのIT企業に協力要請する考えを持っていることが、資料から分かりました。

 

このような要請は、決して米国だけのことではなく、日本においても今後、仮想通貨取引がより活発化してきた時には、同様のことが起こりうるはずです。

このニュースの内容について、詳しくご説明しましょう。

 

IRSが仮想通貨に関する脱税防止策を検討

米国IRS(内国歳入庁)の上部組織である財務省の資料から、IRSが仮想通貨に関した脱税行為の防止のため、Google、apple、Microsoftなど、米国のIT大手企業に対して、協力要請するつもりでいることが判明しました。

IRS Cyber Crimes

画像引用:IRS Cyber Crimes

 

この資料はIRSのJames Daniels氏により作成されたもので、181ページのスライドがGoogleドライブに保存されています。

内容は仮想通貨の基本ともいえるブロックチェーンについてなども書かれており、犯罪防止のために作成されたものであることは一目瞭然です。

この資料の中で、上記のIT大手企業に協力要請することが記述されています。

 

ただこの資料が、IRSが発表のために出したのかどうかははっきりしていません。

可能性として、IRSもしくは財務省からリークされたものかもしれません。

 

記載されている脱税防止策とは

この資料で特筆すべき点は、仮想通貨取引に必要なアプリなどのダウンロード履歴をGoogleやapple、MicrosoftなどのIT企業から提供してもらえるように働きかける可能性が書かれていることです。

実際にこのことをIT企業に打診したのか、回答はどうだったのかまでは記述されていません。

 

また納税者の銀行口座までを調査する旨やクレジットカード、Paypal決済などまで調査対象とすることが書かれています。

これら以外にも、調査に際して必要な仮想通貨ウォレットや秘密鍵などの情報を得にくいものに対しては、SNSのアカウントを閲覧することまでおこなうつもりのようです。

 

ここまでのことを実際にやるのかどうかは分かりませんが、資料内で記述しているということは、IRSは本気で仮想通貨の脱税に対処していくことを考えているのでしょう。

 

これらの方法を実施する際には、調査対象者に調査の許可を得ていると調査そのものに支障があることが予想されるため、許可を得ずに実施される可能性が高いことを指摘する専門家もいます。

 

米国の仮想通貨に対する税制度

IRSがここまで脱税対策を検討する米国の課税制度はどのようになっているのでしょうか。

 

米国では仮想通貨を資産と考えており、それゆえに仮想通貨の取引に対しては課税する方針を2014年にIRSが示しています。

 

仮想通貨に対する課税について、例を挙げて説明しましょう。

トレーダーが1,000ドル分のビットコインを購入した後、価格が値上がりして2,500ドルになったとします。

そのビットコインを全てドルに換金し、2,500ドルのデジタルカメラを購入しました。

この場合、トレーダーには2,500ドル-1,000ドル=1,500ドルの売却益が生じたとし、課税されることになります。

一方、デジタルカメラを販売した業者に対しても、2,500ドルの収入に対する税金が発生する仕組みになっています。

 

この課税方法に対し、二重課税だと主張する人も多く存在していますが、今のところ仮想通貨に対しての課税方法は変更されていません。

 

米国での無申告に対する措置

 

では米国において、仮想通貨の利益に対して申告しなかった場合には、どのような措置が下されるのでしょうか。

 

米国では申告する必要があるにもかかわらず、申告しなかったケースを大きく二つに分けて考えています。

ひとつは軽いペナルティで、もう一つは重いペナルティです。

 

故意ではなく、無申告に納得できる理由があるものには軽いペナルティが課せられます。

例えば、申告する必要があることを知らなかった、何らかの理由で申告できなかったなどが立証されるケースです。

この場合、無申告の期間が1ヶ月以内であれば、5%の加算税が課せられることになります。

無申告期間が長くなれば、毎月5%の加算税が加わり、最高で25%の加算税が課せられることになります。

 

一方、政府に対してfraud(詐欺)する意図があるものは重いペナルティが課せられます。

fraudだと判断された場合には、無申告の期間が1ヶ月以内で15%の加算税となり、無申告期間が長くなれば毎月15%の加算税、最大で75%の加算税が課せられることになっています。

 

 国によって異なる仮想通貨に対する税制度

米国での仮想通貨に対する税制は上記のようなものですが、他の国では仮想通貨に対してどのような税制措置が取られているのでしょうか。

 

実は、仮想通貨に対する税制度は国によって大きな違いがあります。

それは仮想通貨を通貨と見なすか、資産として見なすかによっても異なってくるからです。

日本や米国、オーストラリアでは資産としてとらえていますが、EU諸国では通貨ととらえる国が多く見受けられます。

 

ただしEUでは仮想通貨に対する課税ルールは、国によってまちまちです。

英国では英国歳入税関庁(HMRC)が仮想通貨に対する課税ルールを発表していますが、それによると仮想通貨取引はVAT(付加価値税)の対象外で、仮想通貨を使った商品およびサービスで生じる利益には課税されます。

また為替変動で仮想通貨に利益や損失が出た場合には、法人税のルールが適用されるとしているものの、法人税や非法人税などと仮想通貨の規制はケースバイケースとして判断されているようです。

つまり、あまり積極的に課税していくつもりはないようです。

 

一方、EUの中でもドイツやスウェーデンでは、仮想通貨に対する課税は積極的におこなわれています。

仮想通貨をプライベート貨幣、すなわち金融商品として見なしており、25%のキャピタルゲイン課税が課せられるようになっています。

ただし課税される期間は限定的で、仮想通貨を購入してから一年間に生じた利益には課税されますが、それ以降に生じた利益に関しては課税されることはありません。

 

仮想通貨を資産ととらえているオーストラリアでは以前、仮想通貨購入の際に一般消費税がかかり、仮想通貨で商品やサービスを購入した際にも一般消費税が掛けられていましたが、2017年に仮想通貨を購入する際の一般消費税を廃止しています。

この背景には、オーストラリアが仮想通貨関連企業を優遇する環境を作る意図が働いているようです。

 

もちろん、仮想通貨にとって税制的に有利な国ばかりではありません。

シンガポールでは、仮想通貨はあくまでも商品として位置づけられており、ビジネスとして仮想通貨取引した際の利益やマイニング、仮想通貨による輸入および商品の売買などにもしっかり課税されます。

 

日本での仮想通貨利益の無申告について

米国の脱税対策や諸外国の仮想通貨に対する税制についてご説明しましたが、日本で仮想通貨の利益を申告しなかった場合、税務署に分かってしまうのでしょうか。

結論からいうと、税務署が調べれば簡単に分かってしまいます。

 

例えば、国内の仮想通貨取引所を使って利益が出ていた場合、税務署がその取引所から顧客の情報を引き出せば簡単に分かってしまいます。

海外の仮想通貨取引所の場合は、日本の税務署からの要請に応える可能性は低くなりますが、仮想通貨を現金化して銀行口座に入金すると、税務署は銀行口座を確認することができるため、分かってしまいます。

 

また本来の収入以上の大きな買い物、例えば不動産などを購入することで税務署が不審に思って調べ始めるケースもあります。

つまり、どうやっても税務署が本気で調べると分かってしまうと思った方が良いわけです。

 

では、税務署に無申告の事実が分かってしまうとどうなるのでしょうか。

申告していないからといってすぐに税務調査に来るわけではなく、数年してから調査されるケースがほとんどです。

数年後に調査に来られ、そこで無申告が発覚すると、本来の税額だけでなく追徴課税や利息まで支払わねばなりません。

しかも仮想通貨の税制は雑所得になりますので、利益額が大きいと所得税額も大きくなり、加えて住民税も課税されてしまいます。

もしその時に納税する資金がなければ、破綻という結果にもなってしまうのです。

 

まとめ

米国IRSの脱税対策は資料を見る限りかなり大掛かりで、しかも本気で取り組もうとしていることが分かります。

IT関連企業が協力すれば、おそらく脱税することは不可能になるでしょう。

 

ビットコインの価格が高騰していることによって、日本の税務署も仮想通貨取引に対する利益には今まで以上に目を光らせてくるはずです。

米国のように、IT関連企業に協力を要請するところまで徹底してくるかどうかは分かりませんが、もし米国でIT関連企業が協力したとすれば、日本でも同様の措置が取られる可能性もあるのではないでしょうか。

 

仮想通貨FXで得た利益は正しく申告するようにしましょう。

 

海外の仮想通貨デリバディブ取引は、高水準のリスクを伴う投資であり、全ての投資家に適した投資ではありません。海外の高倍率のレバレッジは少額の資金で証拠金を上回る取引を行うことができますが、仮想通貨は急激な価格変動も多く、短期間に利益を出せる一方で、証拠金の大部分や全てを失ったり、取引額が証拠金を上回っていれば、証拠金額等を超える損失が発生するケースもございます。損失に耐えられない資金投資はするべきではなく、海外業者で仮想通貨FX取引を始めるにあたっては、投資目的やご自身の経験、リスクの許容範囲などを含めて慎重にご検討し、取引内容を十分にご理解いただいた上で、ご自身の責任と判断において取引を行ってください。

リスク警告

海外の仮想通貨デリバディブ取引は、高水準のリスクを伴う投資であり、全ての投資家に適した投資ではありません。海外の高倍率のレバレッジは少額の資金で証拠金を上回る取引を行うことができますが、仮想通貨は急激な価格変動も多く、短期間に利益を出せる一方で、証拠金の大部分や全てを失ったり、取引額が証拠金を上回っていれば、証拠金額等を超える損失が発生するケースもございます。損失に耐えられない資金投資はするべきではなく、海外業者で仮想通貨FX取引を始めるにあたっては、投資目的やご自身の経験、リスクの許容範囲などを含めて慎重にご検討し、取引内容を十分にご理解いただいた上で、ご自身の責任と判断において取引を行ってください。

Copyright ©   BitcoinFXpro All Rights Reserved.