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G20とV20で協議された仮想通貨の将来

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  • 2019.07.02.

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2019年6月29日、大阪で開幕されていたG20が閉幕しました。

G20では仮想通貨を視野に入れたデジタル流通について話し合われましたが、G20と並行して開催されていたV20では仮想通貨の今後のありかたについて協議が持たれました。

 

仮想通貨の今後に重要な意味を持つG20とV20で、仮想通貨についてどのような協議がおこなわれ、どのような方針が決まったのでしょうか。

 

仮想通貨の将来を大きく左右する重要な内容についてご説明しましょう。

 

G20とV20の違い

G20は多くのメディアで報道されており、主要20か国の首脳が金融と経済に関して話し合う場であることはご存じでしょう。

G20は、リーマンショックに端を発した世界金融危機に対処するため、従来のG20財務大臣・中央銀行総裁会議から2008年以降は首脳が参加するものに格上げして開催されています。

2010年までは半年に一度のペースで開催されていましたが、2011以降は、年一回づつ開催されています。

 

しかしV20に関しては、ご存じない方が多いはずです。

G20と並行して開催されたV20とはどのようなものなのでしょうか。

 

V20とはVirtual Asset Service Provider、直訳すると仮想資産サービスプロバイダー、つまり仮想資産サービスを提供する業者が主体となって開催されるサミットのことです。

G20がデジタル資産、すなわち仮想通貨に対する総論的な方針を決めるものとすれば、V20は仮想通貨に対するより具体的な方針を決めるためのものに位置づけられます。

 

V20には日本はもちろんですが、シンガポール、台湾などの国および地域から仮想通貨取引所や仮想通貨を規制・監督する組織、ブロックチェーン協会代表などが参加しています。

 

G20で確認された仮想通貨関連事項

G20では、デジタル流通についての話し合いがもたれました。

特にデジタル化技術は経済面だけでなく、社会の在り方の全てに影響しているため、この技術を有効活用するべきであるとの認識で一致しています。

またデータ流通に関しても、国を超えてデータの移動を承認する構想であるデータ流通圏を進展させるために必要な、世界各国で共有する決まり事を決めていくことを打ち出しています。

国際的貿易に関する色々な決まり事を定めるWTO閣僚会議が2020年6月に開催されるため、それまでにデータ流通に関して進展させたい意向を表明しています。

 

なお仮想通貨すなわち暗号資産に関しては、現在は世界的な金融システムに対する影響はないものの、今後の進展を注視し、生じてくるであろうリスクには警戒すると述べています。

同時に、FATFの解釈ノート及びガイダンスの採択を歓迎し、完全で効果的かつ迅速な履行を期待するとまで述べています。

 

FATFの規制の基準とは

FATF website

画像引用:FATF

 

FATFとは金融活動作業部会のことで、単一国家だけでは対処しえないマネーロンダリングやテロ資金などへの対策を国際的に協調・推進していくとともに、基準づくりや勧告、指導をしていく政府間機関です。

 

FATFはG20開催前の6月21日に全体会議を実施し、VASP(Virtual Asset Service Provider)に対する規制の基準を採択しています。

これがG20に提言されており、G20が歓迎しているわけです。

 

その内容は、仮想通貨取引業者において1,000ドル、もしくは1,000ユーロを超えた取引がある場合には、その仮想通貨取引業者は厳格な顧客管理が義務となること。

そして業者間でも仮想通貨を移動させるのであれば、その送信者だけでなく、受信者の本人確認も必要であることなどが明記されています。

規制の基準は、基本的に本人確認を義務化していく規制がこの内容の柱となっており、氏名やウォレットなどの口座番号を明確していく必要があります。

なおFATFはこの基準の各国での進捗を一年間モニタリングし、2020年6月に報告するとしています。

 

つまり誰が仮想通貨を取引しているのか明らかにし、それが仮想通貨を取り扱う業者全てで漏れることの無いよう実施されることをG20は歓迎しているというわけです。

 

 V20での重要なセッション

V20でおこなわれたセッションのひとつに、日本の財務省とFATFメンバーが参加者からの質問を受け、それぞれが見解を述べるものがありました。

日本の財務省とFATF関係者が同じ場所でそれぞれの見解について話す機会はほとんどなく、それゆえに大きな注目を浴びていました。

 

日本の財務省からは副財務官である三村 淳氏、そしてFATFからは書記官のTom Neylan氏、またFATF元理事長の Roger Wilkins氏が登壇し、質問を受け付けました。

 

財務省副財務官 三村 淳氏の発言要旨

G20が政策を策定する前に、それぞれの国にどういう課題があるのかを正確に把握する必要がある。

マネーロンダリング規制とテロ資金対策における新しい技術が見つけられた場合には、FATFを通じて専門の機関に調査を依頼し、その結果をG20に報告している。

昨年のG20で仮想通貨に関わる業界全体に規制が必要とされ、FATFが連携して民間企業と課題解決のためのソリューションを検討している状態である。

FATFの規制が、規制する仮想通貨業界だけでなく規制する側にとっても、より有意義なものにしていくためには、常に最新のアップデートが必要であり、そのためには民間企業との連携が不可欠である。

 

日本で仮想通貨に対する規制が早期に整っているのは、大手金融機関が仮想通貨業界に早く参入したからであるが、大手金融機関のようにマネーロンダリング規制とテロ資金対策に適応したツールを活用している金融機関はわずかである。

このツール未活用の金融機関に対する規制は必然であり、規制を守ることでその金融機関のコンプライアンスと信頼度が高まる。

 

フェイスブックが発表した仮想通貨リブラに対しては、今のところ規制する基準は決まっていないが、今後検討する必要はあるものの、消費者保護と技術革新の両方を進めていけるようにしたい。

 

FATF書記官Tom Neylan氏の発言要旨

FATFは規制の枠組みに関する調査と規制に反している場合の勧告を行うが、FATFの発表した規制に、2019年のG20主催国である日本が遵守し、そのために行動することを肯定しました。

またFATFの発表した規制は、全ての加盟国がすぐさま採用する可能性は低いと考えているが、遅れているからと見放すのではなく、規制に設けられた2025年までの準備期間終了後に再び審査、評価する。

 

FATFが発表した仮想通貨業界に対する規制は、恐怖心を生み出す怪物ではない。

この規制が施行されれば、市場が今以上にオープンになる。

 

仮想通貨業界に対する今後の規制動向

G20で採択された「FATFの解釈ノート及びガイダンスの採択を歓迎する」という言葉、そして「完全で効果的かつ迅速な履行を期待する」という言葉からは、FATFに対する支持が読み取れます。

またFATFのガイダンス案が単なるガイドラインではなく、世界的な仮想通貨に対する標準的な規制と受け取れるでしょう。

おそらく今後は、このガイドラインに沿った基準となる規制を策定するため、国同士の話し合いになるのではないでしょうか。

 

仮想通貨に対する取り組み姿勢は国により異なります。

そこには政治的背景や経済なども絡んでくるため、標準化することは並大抵のことではありません。

 

そのことはFATF書記官Tom Neylan氏の発言にもあるように、規制をすぐに採用する加盟国ばかりではないこと、遅れていても警告などを発するような発言がないことなどからも判断できるでしょう。

 

同時に、規制を強化することは仮想通貨だけでなく、デジタル技術の発展を阻害することにもつながっていく危険性もはらんでいます。

そのため、規制をしつつも民間企業との連携などで最新の技術へアップデートすること、消費者保護だけでなく、技術革新の両方を進めていきたいことと言及しています。

 

今後はG20参加国を中心に、FATFのガイドラインに沿って標準的な規制を確立する動きが顕著になっていくでしょう。

仮想通貨や仮想通貨業界が今後どうなっていくのか、次回のG20までにどのような動きがあるか、注目しておきましょう。

 

海外の仮想通貨デリバディブ取引は、高水準のリスクを伴う投資であり、全ての投資家に適した投資ではありません。海外の高倍率のレバレッジは少額の資金で証拠金を上回る取引を行うことができますが、仮想通貨は急激な価格変動も多く、短期間に利益を出せる一方で、証拠金の大部分や全てを失ったり、取引額が証拠金を上回っていれば、証拠金額等を超える損失が発生するケースもございます。損失に耐えられない資金投資はするべきではなく、海外業者で仮想通貨FX取引を始めるにあたっては、投資目的やご自身の経験、リスクの許容範囲などを含めて慎重にご検討し、取引内容を十分にご理解いただいた上で、ご自身の責任と判断において取引を行ってください。

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