LINE PayとVisaがブロックチェーン技術応用で提携
- 仮想通貨関連
- 2019.06.14.
- ニュース
- LINE PayとVisaがブロックチェーン技術応用で提携
2019年6月6日、LINE PayはVisaと包括的なパートナーシップ提携を結んだことを公表しました。
この提携によってLINE Payへの残高チャージ時にVisaカードを利用できるようになるだけでなく、カードの新規発行も可能となります。
LINE Payは同時に、ブロックチェーン技術を応用した新たな決済・送金サービスの提供を予定中であることも告知しました。
今後LINE PayとVisaはどのようなサービスを展開していくのでしょうか。
また積極的にブロックチェーン技術を活用しようとしているLINE Payは、これまでどのようにブロックチェーン技術を応用してきたのでしょうか。
詳しくご説明しましょう。
LINE PayがVISAとの提携を発表
画像引用:LINE株式会社
2019年6月6日、コミュニーケーションアプリLINE上で使える送金・決済サービス「LINE Pay」を運営するLINE Pay株式会社は、Visaとパートナーシップ契約を結んだことを発表しました。
具体的には、以下4つの分野で協力していく予定です。
- Visaカードを経由したLINE Pay決済
- Visa加盟店でのLINE Pay利用
- ブロックチェーン技術を利用した新しいフィンテックサービス
- 2020年東京オリンピックに向けた共同マーケティング
これらの内容について詳しく確認していきましょう。
1. Visaカードを経由したLINE Pay決済
画像引用:LINE株式会社
これまでのLINE Payは、事前に銀行口座またはコンビニから残高チャージしておけば、加盟店での決済に使うことができるというものでした。
ただし、クレジットカード経由での残高チャージには対応していなかったため、クレジットカード経由でチャージ・決済が可能な他社のサービスと比較すると、どうしても残高ジャージの面倒さが足かせになっていました。
また最近は「ポイント二重取り」できるかどうかが決済サービスを選ぶ際の目安にもなっています。
ポイント二重取りとは、
- クレジットカードの利用で⇒クレジットカード会社のポイント付与
- 決済サービス利用で⇒決済サービス会社からさらにポイント付与
といったように、1つの決済で2箇所からポイントを手に入れることをいいます。
つまりクレジットカードに対応していないLINE Payでは、ユーザーにとってもはや当たり前になりつつある、ポイント二重取りができなかったわけです。
しかし今回の提携により、LINE Pay内からVisaブランドカードが利用できるだけでなく、既に持っているVisaカードをLINE Payと連携してスマホ決済することも可能になりました。
もちろんポイント二重取りもできるようになったわけです。
これによりLINEはこれまでの足かせが取り除かれ、「多くのユーザーにシームレスな決済体験を提供できるように」なると見込んでいます。
お金の送金やオンライン決済、請求書の支払い、旅行の予約、フードデリバリーなど、アプリ内でワンストップで完結することへのユーザーニーズの高まりに対して、LINE PayとVisaのこのたびの提携は、世界規模での相互互換性やオープンループ型決済の構築の先がけとなり、多くのユーザーにシームレスな決済体験を提供できるようになります。
引用元:LINE株式会社 ニュース
なお、Visaブランド提携カード(名称未定)は2019年中に日本へ導入される予定になっています。
2.Visa加盟店でのLINE Pay利用
今後は、世界中のVisa加盟店でLINE Payを使って決済できるようになる予定です。
店舗側がLINE Payに加盟していなくとも、Visa加盟店であればLINE Payが利用可能となります。
ちなみにVisaの加盟店数は、世界で3850万店あり、会員数は20億人といわれています。
加盟店数ではMasterカードとほぼ同数ですが、会員数では世界NO.1のクレジットカードです。
クレジットカード決済ができる国や地域、店舗ならまず使えないところはないといわれるほど便利なクレジットカードです。
3.ブロックチェーン技術を利用した新たなフィンテックサービス
「フィンテック」とは「金融(ファイナンス)」と「技術(テクノロジー)」を組み合わせて作られた言葉で、日本では2014年頃から使われ始めました。
フィンテック分野において特にここ数年で注目を集めているのがブロックチェーン技術です。
世界経済フォーラムの2018年9月レポートでは「ブロックチェーンなどの分散型台帳技術は今後10年間で111兆円を創出できる」と結論づけており、自動車分野や流通分野ではすでに活用が進んでいます。
LINE PayとVisaは、このブロックチェーン技術をベースとしたB to Bや決済だけでなく、今後は代替通貨取引ができるサービスを開発していくことを発表しています。
4.東京オリンピックに先駆けた共同マーケティング
最後は、2020年に開催される東京オリンピックでの共同マーケティングです。
LINE PayとVisaはキャンペーンやプロモーションを通じ、日本でのキャッシュレス化を推進していく予定になっています。
日本におけるキャッシュレス決済の利用状況を見てみると、決済額および支出に占める比率はともに増加傾向にあるものの、海外諸国と比較するとまだ低く、さらなる拡大が期待されています。
画像引用:経済産業省 キャッシュレスの現状と推進(平成29年8月)
日本でキャッシュレス決済が普及しにくい背景としては、「日本は治安が良く、現金を持ち歩くことに不安がないこと」、「日本円に偽札偽造が少ないこと」、「幾ら使ったのかが分からず、使いすぎてしまうのではないかと不安を感じてしまうこと」、そして「店舗側がクレジット決済端末のコストを負担しなければならないこと」などが挙げられています。
しかしその一方で、LINEアプリユーザーからは「決済のような日常的機能が利用可能になることへの期待」も高まっていることも見逃せません。
東京オリンピックを契機としたキャンペーンやプロモーションで、日本のキャッシュレス化を進めていくことを考えています。
LINEのブロックチェーン技術応用に対する取り組み
画像引用元⇒LINE株式会社
LINE株式会社がブロックチェーン技術活用への意欲を見せたのは、今回が初めてのことではありません。
すでに2018年8月には、独自のブロックチェーンネットワークをベースとした「LINE Token Economy」構想を発表しています。
その構想について、LINE株式会社は次のように説明しています。
「LINE Token Economy」構想は、LINEが独自に開発したブロックチェーン技術を活用することで、サービス提供者とユーザーの関係をよりフラットにし、ともに成長していくことができる共創関係の構築を目指すトークンエコノミー構想です。
引用元⇒LINE ニュース
「トークン」とはブロックチェーン技術を利用して発行された仮想通貨のことをいい、「トークンエコノミー」とは独自トークンを中心とする経済圏・商圏のことをいいます。
トークンエコノミーが構想された背景には、インターネット利用者がコンテンツを閲覧するだけでなく、積極的に作り出す側になってきていることが挙げられます。
たとえばSNSやブログその他のプラットフォームを通じて投稿することは、もはや特別なことでなく、当たり前の状況になってきています。
2018年9月には、LINE Token Economyにおける今後の具体的な計画が発表されました。
発表の内容を以下にまとめます。
- 海外の仮想通貨取引所「BITBOX」で独自トークン「LINK」の取扱開始
- 国内ユーザーに向けた「LINK Point」概要
- LINK PointとLINKの取引履歴などの確認が可能な「LINK SCAN」の公開
- LINK Pointが利用できる「5つのサービス」を提供していくこと
参照元:マイナビニュース
なお、2019年5月には「5つのサービス」の1つ、「4CAST」正式版が発表されています。
4CASTとはモバイル限定のサービスで、ユーザーはさまざまな予想トピックに対して、選択形式で予想していき、自分の予測が当たればインセンティブとしてLINK Pointがもらえるという仕組みです。
まとめ
LINE PayとVisa提携の内容、そしてLINEのこれまでのブロックチェーン技術を活用した取り組みについてご説明しました。
仮想通貨への活用によってより広く知られるようになったブロックチェーン技術ですが、今後は様々な分野での応用が期待されています。
これまで不便に感じていたサービスが、ブロックチェーン技術を活用すれば、快適に使えるサービスに変化するのです。
ブロックチェーン技術のこれからどのようなサービスが生まれるのか、注目が集まっています。